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「女性であんなに自分のお父様の会社を大切にされてる方を、他には知りません。慶都さんにとって妹みたいな存在なら、なおさらマリエさんを応援したいと思います」
「ありがとう。俺もこれから九条グループの副社長として、藤間フーズをしっかり後押しできればと思ってる」
確かにいろいろ言われてつらかった、だけど、マリエさんがどんな思いで慶都さんを諦めたかと思うと……すごく胸が痛かった。
マリエさんや理久先生は、私のせいでみんなつらい思いをしてるんだって、自分を責めそうになる。
でも、私は慶都さんを愛してる。
そこには何の嘘もない、だから……
お願い、許して……
「ところで麗華ちゃんとは会ってるのか?」
「あっ、いえ。残念なんですけど、最近は会えていません」
麗華だって、私とは話したくないだろうし……
だけど、会わなきゃいけないとは思ってる。
「周りが幸せならもちろん嬉しいことだが、家族だからといって、いつも円満でいられるということは……簡単なようで難しい。俺も蓮とはなかなか会えない。連絡はたまにしてるが、お互い忙しくて」
「蓮さんはどんな人なんですか? 慶都さんの弟さんだからやっぱり似てるんですか?」
そこは、かなり興味がある。
慶都さんみたいなイケメンさんが、この世の中にもう1人いるのかと思うとドキドキする。
「周りにはあまり似てないと言われる。身長は俺と同じくらい、でも、あいつは俺よりもガッチリした体育会系だから。短髪で水泳部だった。今はサーフィンをやってるみたいだな。理系でかなり頭が良かったから、もし今でもうちの研究室で研究者として頑張っていたら、ノーベル賞も夢じゃなかったかも知れない。ああ、あと、とにかく女の子にモテていた」
「素敵な弟さんなんですね」
やっぱりイケメンさんなんだろうな。
秀才なのも慶都さんと同じだ。
「子どもの頃は毎日よく一緒に遊んだ。勉強も一緒に頑張ってた。弟でありながら親友みたいな関係で、ケンカもあまりしなかった。本当に、俺には可愛い弟だった」
「もちろん、今も大切なんですよね」
「ああ、そうだな。だから、結婚して幸せになったって聞いた時は心から嬉しかった。今は奥さんと仲良く店を経営してるんだ」
数年離れていた弟さんから連絡がきた時は、きっと感無量だったはず。
「奥様とお店を経営されてるなんて素敵です」
勝手に頭の中で蓮さんのイメージを作ってしまったけど……
実際会ったらその違いに驚くのかな?
それとも想像通りなのかな?
妄想はどんどん膨らんでいく。
「彩葉も、麗華ちゃんと話ができるといいな」
「そうですね。そうしたいです」
「家族は難しい、でも家族だからこそ和解できることもある」
家族だからこそ……
その言葉にはとても重みがあって、でも、何だか温かくて心に染みた。