「…えっ、…と、?」
当然。声をかけた男は困惑している。そりゃ確かに、今の俺は傍から見たら変な奴だ。それでも、消えた天才とサッカーをして、本当に消えたんだと確信したい気持ちは変わらない。
「だぁかぁらァ〜…俺とサッカーしろよ」
「い、や。全然良いんですけど…急だったのでびっくりしちゃって…それと、名前…」
意外とあっさりしている性格なんだな。と思いつつ、そう言えば名前を知っているのは相手からすると不思議だろうな、なんて考えた
「…埼玉の消えた天才ちゃん♡」
嫌味ったらしく言ってやった。すると潔世一は少し動揺したように見えた。
「…はは、やだなぁ…新聞で知ったんですね笑」
「…まァ、もう消えたらしいけどネ?♡」
「…はは」
(なーんか、日本人ってカンジ)
龍聖の発言に対して、悔しそうな表情を浮かべる。が、本人は隠しているのか…それとも自分を押し殺しているのか。少なくとも龍聖には、後者の様に感じた。
「なぁ、早く俺とサッカーしろよ」
「あ、1on1でいいですか?」
「オウ、お前からだ。やってみろ」
))トンっ ザッ
「…(違う、ソレじゃない)」
龍聖は思った。潔世一のサッカーに。自分を押し殺す生き方に
「違うジャン。ソレはお前じゃ無い」
「ッえ、」
「自分を押し殺すンじゃなくて魅せてくれよ」
「何、を」
初対面で言う事じゃ無いだろう。普通の人が言われたならば困惑する、が潔世一は違う。だって、中学時代まではそのエゴを存分に使い、凌駕しまくる楽しさを知っている。そして、今のプレーは自分を殺していた事も。
龍聖は楽しいサッカーがしたい。喰って喰われて殺して殺されて。その龍の名に合う気性と生存本能…圧倒的エゴ。今の潔は弱い。だが何故か思ったのだ。『コイツなら俺に爆発を魅せてくれる』と…
「ほら…ヤんねぇの?♡」
再び同じ問いを
『…ヤる』
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御精読ありがとうございます。
コメント
2件
最高 すぎます … 😭 🙏🏻 ついつい 、フォロー しちゃいました 😵💫︎ 💕︎