「…あァ〜♡…楽しカッタ♡」
「あぁ…よかった、です笑」
「…」
結果的に言うと、士道VS潔の1on1は士道の勝利に納まった。失望した、こいつも同じで、『サッカー』を本気でただの球蹴りだと思っているのか。なんで生きてんだ、こいつは、と正直に感じた…
と言うのは今まで潰した人間に湧いた感情であった。
「…おまえ、良いサッカーしてんねぇ〜?♡」
…そう、龍聖は潔世一に見事に魅せられたのだ。確かに実力不足だ。1on1では圧倒的に弱いヤツ、だが思う、きっとコイツは視野が広い。コイツの力の発揮所は1on1なんかじゃない…駒が創れる、チームでの試合だろう。
「はは、そうですか、?」
先程とは違い、穏やかな青。
「ねぇねぇ、天才ちゃん♡俺と来ない?」
咄嗟に出た言葉だった。だが、自分でもこんな事を言う理由なんぞ理解っている。欲しいのだ。”あの碧”が。手放したくないのだ。自分の手のひらから、拳から、視界から。あの、ぶち壊したくなるような、ぶち壊されたくなるような、エゴにまみれたあの碧に。
「…あー、いや。君とのサッカーは楽しかったけど、俺、高校生だし。無理ですよ。」
「えェ〜??どうでも良いじゃん、サッカー以外の事とかさ♡」
「…はは、だめですよ笑笑」
そういえば、この少年に自分の名前を教えてなかった。『君』と呼ばれるのは抵抗があるし、慣れていなさそうな 敬語もなんだか不快だが、今は何も言わない。自分がグチャグチャにされて、コイツをグチャグチャにするまで、何も教えてやらない。龍聖は心の中で1人誓う。
「てか、お前ん家知りてぇから、連れてってよ♡天才ちゃん、♡」
「え??あ、あぁ…まぁ。うん。こっちです。」
「はーい」
大人しく世一の案内を受け入れ、横を歩く。だが、あることに気づいた…すごく見覚えがある。そう、凄く、だ。それはもう…先程自分が歩いた道のように。
「ココ、おれんちです」
「…あ?♡」
…隣。となり。トナリ。
「…トナリ…」
「?…となり?がどうかしましたか?」
「いや…俺んち」
そう、隣だったのだ。…なにがって?そりゃ、龍聖と世一の家が、だ。もしてかして、とは龍聖も思っていた。来た道が一緒だったのだから。ここまで一通り混乱した龍聖だったが、直ぐに気持ちが切り替わった。
「じゃーあ、いつでもサッカーできるな♡天才ちゃん?♡」
自分よりも断然小さな身体を押し倒すような勢いで抱きしめながら言った。
「!…ま、また。サッカー、してくれるん、ですか?」
「!」
存外。世一は龍聖の言葉に目を輝かせた。
(…これは…♡)
…かわいい。かわいいな。ウン。カワイイ。
龍聖は抱きしめる手の力を少しキツくした。
「う…な、なんか、強くなった…デスか?」
「ふはっ、敬語使えてねぇじゃんW」
「だっ…ふん…じゃ、じゃあまたあした…」
「おう♡天才ちゃん♡」
ぎこちの無い笑顔でさよならを告げた世一の頭を優しく撫で、家に入るまで見届けた。
「あー、かわいい」
𝐍𝐞𝐱𝐭➯💗300
コメント
4件
まじ, すき … 大すき 😣 💕
最高ゥ☝🏻💖💗♥️ʚ(。• •。c )ɞ ~♡。