学園長「5試合目を行う。一覇衆5番手前へ!」
?「はい!」
学園長の声に出てきたのは小柄で華奢な男だった。男は指に糸のようなものを絡ませ、俺達の観覧席までやってきた。
?「初めまして。僕の名前は陽(はる)。竹谷八左ヱ門殿にお相手願いたく参りました。」
八左ヱ門「っ俺か。」
俺は微塵を握りしめて立ち上がった。
陽「はい。行きましょう。」
校庭の真ん中に向かって歩きながら、俺は陽を見た。陽は左目が閉じていて右目があいている黒の半狐面をしている。面の額にはよくカラクリなどに使われるネジが描かれていた。
陽「お手柔らかにお願いします。」
そう言って微笑んでいる口元を見ると、悪寒が走った。陽の雰囲気は独特だ。
八左ヱ門「あぁ。こちらこそ。」
陽「では、お相手願う。」
校庭の真ん中で陽は舞うように攻撃をくり出してきた。
俺は自分に向けられた糸を微塵で弾き返す。
八左ヱ門「っ!鋼?」
俺がそう言うと、陽は驚いたと言わんばかりに動きを止めた。そしてニヤァと笑った。
陽「へぇ~分かるんですね。さすが!」
再び動き出した陽は正確に攻撃してくる。
八左ヱ門〜!右から3本!〜
首を狙って右からやってくる3本の鋼糸を避けると左から糸が来る。隙のない攻撃に俺は避けるので精一杯だった。
陽「避けるだけじゃ僕には勝てませんよ!」
八左ヱ門「クッ!」
八左ヱ門〜立ち止まってくれてたらまだ戦いやすいのに動きながらだもんな。~
八左ヱ門は苦無を陽に向けて投げた。
陽「甘い!」
陽は糸で苦無を弾き返した。そして八左ヱ門を見た。
陽「なっ!」
そこには誰もいなかった。
陽「っ!!後ろか!」
陽は右手に付いてる糸で八左ヱ門の首を狙った。
八左ヱ門「おっ!」
八左ヱ門はしゃがんでそれを避ける。
陽「チッ!」
陽は死角を取り苦無を取り出した。
それに気づかない八左ヱ門は攻撃を避けつつ、陽へ攻撃を繰り出す。お互いに一歩も引かない。
陽「そろそろ終わりにしましょう。」
陽は両手を広げ、内側に動かした。
八左ヱ門「クッ!」
八左ヱ門は上に飛び上手くそれを避ける。が、眼の前に飛んできた苦無を弾き返した際に体制を崩してしまった。
陽「僕の勝ちです。」
地面に叩きつけられるように落ちた八左ヱ門の上に馬乗りになった陽は嬉しそうに笑った。
八左ヱ門「っ!まだだ!」
八左ヱ門が持ってる苦無で陽の首を狙おうとするが、それより早く陽が布を八左ヱ門の口に当てた。
八左ヱ門「っ!」
陽「大丈夫。ただの眠り薬です。」
学園長「そこまで!勝者陽!」
遠くから聞こえる学園長の声を聞きながら、八左ヱ門は意識を手放した。
陽ー神楽。ー
神楽ーおう!ー
陽に呼ばれた神楽が、眠っている八左ヱ門を肩に持ち上げる。すると、
三郎「待て!八左ヱ門はこちらで手当をする!」
三郎が神楽の腕を掴んだ。
伊作「そうだよ!八左ヱ門は忍術学園の生徒だ!手当までそちらがしなくても、」
陽「竹谷殿に使った眠り薬は僕たちの仲間が作った特別なものなんです。作ったものが見たほうがいいと思いません?下手したら竹谷殿、死んでしまいますよ?」
伊作「‥‥‥‥‥。」
陽の言葉に伊作は黙り込む。
陽「はぁ。そんなに心配ならこちらに来ればいいじゃないですか。とって食いはしませんし。神楽。」
伊作は陽と神楽のあとを黙ってついていくのだった。
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