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12 - 第12話 セイギのミカタ

2025年04月10日

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「魔神?七王サタン?意味判んないよぉ」南川が頭を振りながら泣きじゃくる。「もう止めてぇ」

「判らなくて結構。そして、まだ止めません。それでは参りましょう。テイク……おや?」

南川に冷酷な宣告をしていた36号は、何かの気配を察知すると、背後に視線を向けた。そして、気配の主が誰なのかを確認すると、顔をほころばせる。

「白身君、御自分で肩を嵌めたんですね。中々やりますねぇ貴方」

駄目になってしまった右手をダラリと垂らし、背中を丸め、手負いの獣のように肩で息をしながら白井は立っていた。皮を剥がされたとはいえ、右手に比べれば無事な左手だけで「構え」を作ると、白井は絞り出すように言った。

「南川、早く逃げろ」

白井の言葉を受けて南川が体を強張こわばらせる。

「ぼやぼやするな。行け!早くっ!」

白井の再度の言葉に背中を押され、南川はヨロヨロと立ち上がり、這々ほうほうていで公園を逃げ出した。いつの間にか、彼女の足から「痺れ」は消えていた。

36号が手を叩き、乾いた拍手を白井に送る。

「素晴らしい。実に素晴らしい。自分より弱い者を守るため、勝ち目の無い相手に敢えて挑む。そうです。「武」とは本来、こういうものでなくては」

拍手を止めた36号が、探るような視線を白井に送る。

「時に白身君。貴方、正義のヒーローに憧れて武の道に入ったのでしょう?いつから悪党ヒールの側に転向したんです?」


いつから悪党ヒールの側に転向したんです?


この言葉は白井の心に刺さった。


いつから悪党ヒールの側に堕ちたのか?

道場入門早々、先輩たちにイジメそのもののシゴキを受けた時か? 「正義のヒーローなんて居ない。小学生にもなって、いい加減その幼稚な趣味を捨てろ」と、酒に酔った親父にヒーロー玩具を全部捨てられた時? ケンカで追い詰められ、初めて柔道の技を使って、その威力に暗い満足感を覚えた時?

いつからだ? いつから俺は……

心の傷トラウマに触れた36号。かつての弱かった自分を思い出させる根岸。イジメをした道場の先輩。中学時代「太っているから」という理由で、一世一代の告白を拒否したクラスの女子と、それを笑い者にしたクラスの男子ども。

大事に集めていたヒーローグッズを捨てたDV気味の父と、雨の中泣きながら地面に座り込んで玩具の残骸を拾い集めていた、かつての惨めな自分。

誰に対する怒りと苛立ちかも分からぬまま、白井は感情のまま叫んだ。

「忘れちまったよ、そんなモン!」

「そうですか。では−−

1秒に満たない時間だった。

36号の放つ左フックが白井の右こめかみテンプルにヒットし、続く右フックは白井の下顎チンを再び強打した。

脳を激しく揺さぶられた白井は、意識を失い、切り倒された木のようにその場に崩れ落ちた。

「−−病院のベッドの上で初心を思い出して下さい。弱い者イジメよりも、もっと大切な物が貴方にはあった筈ですから」

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