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ここから二つのルートに分けるけど、 佐久早&古森ルート 侑ルート どっちを先に見たいですか?
(佐久早の力強い腕が、翔陽を逃がさないように絡みつく。その重みと熱が、心臓の奥まで突き刺さるように感じられた)
🏐日向(心の声)
「……佐久早……やっぱり強引で、苦しいのに……まだ、心臓がこんなにドキドキする……なんで……?」
(唇に残る感触。あれほど拒もうとしたのに、体の奥底では懐かしさに震えている自分がいる。かつて愛されて、守られて、束縛されても「必要とされている」ことが嬉しかった日々が蘇ってしまう)
🏐日向(心の声)
「俺は……本当に逃げたかったのか?それとも……あの時もただ、怖かっただけなのか……?」
(佐久早の言葉「翔陽は俺のもんだ」という執着が、かつては窮屈で、重くて、息苦しかった。けれど今、心の奥で小さな声が囁く――)
🏐日向(心の声)
「……俺が、誰かにここまで必要とされたのって、あの時だけだったんだ……」
(揺れる気持ちに、翔陽は自分で自分が嫌になる。もう別れたはずなのに、未練を完全には消しきれていない自分がいる)
(だがその時、侑の怒鳴り声が響き、強引に腕を掴まれて引き離される)
侑
「翔陽が嫌がっとるやろ!放せって言ってんねん!!」
(侑の手が自分を引く。その掌から伝わる温もりは、佐久早の熱とは違って、優しくて安心できる温もりだった。引き寄せられた瞬間、胸の奥に広がるのは安堵だった)
🏐日向(心の声)
「……侑……。なんで……こんなにホッとするんだ……?」
(佐久早に抱きしめられた時は、心臓が暴れて息が苦しかった。でも、侑に触れられると、不思議と呼吸が整っていく。まるで『大丈夫』って言われてるみたいに。)
(そして翔陽は気づく――)
🏐日向(心の声)
「佐久早の腕の中は、強烈で、忘れられなくて……でも、侑の隣にいると、俺は……安心できる……」
(過去の熱と、今の安心。どちらも自分の心に確かに存在していて、答えを出せないまま、ただ揺れる)
🏐日向(小さく震える声で、誰にも聞こえないくらいに)
「……俺……どうしたらいいんだ……」
(佐久早の鋭い視線と、侑の必死な瞳。その二つの間で、翔陽の心は張り裂けそうに揺れ動いていた――)
(侑が翔陽を引き離し、佐久早と古森に向き合う。空気は一気に張り詰める)
侑(怒鳴り声)
「いい加減にせぇっ!翔陽は嫌がっとるやろ!!お前らの勝手な執着に巻き込むな!!」
佐久早(低く睨みつける)
「……黙れ。翔陽は俺のだ。こいつがどれだけ俺に必要か、わかりもしねぇくせに」
古森(にやけながら、侑を挑発するように)
「侑くんだったっけ?君に翔陽の何がわかるのさ。俺たちはずっと一緒にいたんだよ。翔陽の全部を知ってるのは俺たちだ」
侑(拳を震わせながら一歩踏み出す)
「知ってるだけでいいんか?翔陽が苦しんでることすら見えてへんやん!そんなの愛ちゃう!」
(言葉がぶつかり合い、睨み合う二人。古森は余裕の笑みを浮かべ、佐久早は必死に感情を剥き出しにする。その間で翔陽は立ち尽くしていた)
🏐日向(心の声)
「……やめてよ……俺のせいで、みんなが……」
(佐久早の束縛は苦しい。でも「必要だ」と叫ぶ声は、心を強く揺さぶる。侑の守ろうとする声は温かくて安心できる。どちらも心に刺さって、逃げ場がない)
🏐日向(心の声)
「俺なんかのために……侑と佐久早がぶつかり合うの、見たくない……」
(視界がぐらぐら揺れる。鼓動は速く、呼吸が浅くなる。耐えられなくなった瞬間、翔陽は思わず一歩、後ずさった)
🏐日向(小さな声で)
「……ごめん……」
(その言葉を残し、翔陽は駆け出した。体育館から遠ざかる足音が、廊下に反響する)
侑(振り返り、慌てた声で)
「翔陽!?待て!!」
佐久早(顔を歪め、追おうとする)
「翔陽っ!!逃げるな!!」
古森(楽しそうに笑いながら)
「あははっ、翔陽はやっぱり可愛いなぁ……」
(翔陽は振り返らず、ただ必死に走った。胸の中で未練と安心が交錯し、涙がこみ上げそうになる。誰の声も聞きたくなくて、誰の腕にも掴まれたくなくて――)
🏐日向(心の声)
「俺は……どうしたらいいんだ……!佐久早も、古森も、侑も……みんなが俺を掴んで……でも、俺は……」
(足音が遠ざかり、翔陽は合宿所の外へ飛び出した。夕暮れの風が熱くなった頬を冷やすが、胸の中の葛藤はますます熱を帯びていく――)