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ymkg好きなのに普段kgymばっか書いてるやつがお送りします。

癖だよ!!!くらえ!!!!


文才なんかありません。

案の定駄文。駄文。

cpはどこかに記載してます。

主はにわかです。解釈違いがあると思います。

※ご本人様には関係ありません。


年齢操作

ym殺し屋

殺人・暴力要素

倫理観バグ

モブが出ます、でしゃばります

急展開の天災

kgがymに一目惚れ













部屋一面の、赤、赤、赤。

その中でも一際苛烈な、紅蓮あか

それを縁取る長い睫毛が落とす影でさえ美しく、瞼に隠れてしまう一瞬ですら焦らされて、弄ばれているように思える。

叶うことなら、あの紅蓮の瞳をもっと近くで。願わくは、貴方の手で私を…..!!

嗚呼、なんて酷い。酷いことだ。美しい蝶は、蠱惑的な香りに思考を犯され、脚を、翅を、心を絡め取られてしまった。

可哀想に。その儚く美しい薔薇には、数多の鋭利な棘があるというのに。

ゆっくり、されど確実に。心身を埋めつくして支配する色香と、今まで感じたこともない昂揚感。早鐘を打つかのように高鳴る胸。

目の前の美しい男に、その瞳に魅了された加賀美は、頬を紅潮させ、恍惚とした溜息を吐き出した。






煌びやかな装飾が施された室内。 部屋に響く、不快で下品な笑い声。

耳障りなそれに、両手首を縛られ床に座る男、加賀美ハヤトは顔を顰めた。

部屋の中には大柄な男が10人程。その誰とも面識がなく、全くの他人。

今日、学校から帰る際、いつも正門に迎えに来る車に乗りたくなくて、裏門からこっそりと学校を抜け出した。それがいけなかったのだろう。突然目の前に止まった車へと連れ込まれ、今に至る。

所謂誘拐というもの。

普通の人間であれば泣き叫んだり、無意味に抵抗するのだろうが、加賀美は至って冷静に、辺りを見渡していた。

というのも、誘拐されること自体、加賀美にとっては初めてでは無い。

それもそのはず。加賀美の父親は大企業の代表取締役であり、世に加賀美の名が知れている。そんなこともあり、 周りから見た加賀美の印象と言えば、良いところのお坊ちゃん。そして裏の人間から見れば、金稼ぎの道具なのだ。

はぁ、と溜息をつく。

また面倒事に巻き込まれてしまった。お父様とお母様の言いつけを守らず、勝手な行動をした私の自業自得ではあるのだが。


⌜にしてもコイツ、顔は女に負けず劣らずだな⌟

⌜体もほせぇし、オレこいつなら抱けるわ⌟

⌜ダメだろ、ボスの愛玩具だぞ⌟

⌜っは、まだガキだってのに可哀想なもんだな⌟

目の前で行われる低俗な会話に、加賀美は眉をひそめる。

愛玩具。自分の誘拐は身代金目的だと思ったが、どうやら今回ばかりは違うようだ。

どちらにせよ、加賀美にとっては地獄であることに変わりはない。

恐怖と不安から震える体を、手を強く握りしめて誤魔化した。


ガチャッと音を立てて扉が開く。扉の向こうから現れたのは高そうなスーツを纏った中年男性。

男達にボス、と呼ばれたスーツの男は、加賀美を見ると、下卑た笑みを浮かべた。

⌜やあ、加賀美隼人くん⌟

そう言いながら加賀美の太ももに手を触れてくる。下心が透けて見えるような手つき。

気持ち悪い。離して。逃げたい。

頭では思っていながらも、体の自由を奪われていては満足に抵抗することもできない。

「…っ…はなし、」

『っボス!!!!』

突然の大声と共に、ドアが勢いよく開け放たれる。現れたのは黒髪の、青年と言えるような年の男。

『侵入者です!!! 正体不明の何者かが警備を惨殺! こちらへ向かっていると!!!』

その男の言葉に、スーツの男は大きく舌打ちすると、加賀美から離れた。

その際、小さな折りたたみ式のナイフが男のポケットから零れ落ちた。占めたとばかりに、周りに勘づかれないよう、加賀美はそれを拾い上げ、手首の紐をナイフで切る。侵入者の報告に、男達は加賀美の行動を細かく監視する暇は無いはずだ。加賀美は逃げ出す隙を見逃さないよう、睨みつけるように男達の動向を見つめる。

そうしているうち、スーツの男はドアの方へと向かっていた。先程入ってきた黒髪の青年に、背を向けるような形で。

青年の唇が段々と吊り上がっていき。そして。

「…は、」

刹那。スーツの男の首から血が吹き出し、辺りを赤に染めていく。音を立てて撒き散らされた血が加賀美の顔にもかかり、白い肌と血液の赤が美しいコントラストを生み出す。

が、加賀美はそんなこと、気にも留めていなかった。


あぁ、なんと鮮やかで美しいことか。


細い指と小さなナイフ。的確に切り裂かれていく急所。部屋を真っ赤に染めていく血の雨。軽やかに行われるそれは、さながら洗練された踊り子のようで。 男達の悲鳴でさえも、彼を際立たせるBGMに過ぎなかった。

暴力的なまでの美に、動くことすら許されてはいない。

呆然と一部始終を見つめる加賀美の前で、数分と経たないうちに、屍の山が、一面の赤が出来上がる。

仕方を忘れたように詰めていた呼吸を再開する。漸く時が動き出したかのように。身体に燻る興奮を収めるように。加賀美は肺の中の空気を細く吐き出した。改めて吸い込んだ空気は何故か先程より冷たくて、ふるりと身震いする。

青年は屍の中心で動きを止めていた。あまりに身動きをとらないために死んでいるのではという錯覚に陥るが、時々瞳が瞼の裏に隠れることが、彼の生を証明する。立ち姿でさえも絵画のような完成された美しさを纏う彼から、加賀美は未だ目を離せずにいた。

見惚れた。気づけば目を奪われていた。どうしようもなく触れたいと思ってしまった。一瞬で。呆気なくも。

胸が高鳴る。頬が紅潮する。

加賀美は自分の中に初めて生まれた感情に名前を付け倦ねていた。

瞬間。加賀美の視界を濡羽と紅蓮が埋め尽くす。

『…あれ、まだ子供じゃん』

加賀美の喉からひゅっ、と引き攣った音が鳴った。いつの間にこれ程近くに来ていたのか。目と鼻の先に綺麗な顔があった。

次に来たのは背中を強打した痛み。加賀美は訳も分からぬまま、気づいたときには青年に組み伏せられていた。そのまま、加賀美の体の上に馬乗りになる。

『わ、きれーな顔…..あれ、君の顔どっかで見たような…ちょっと待ってね、今思い出すから』

そう言って青年は顎に指を当てて考え出す。いきなりのこと。思考すべきことは山程あるはずが。青年が考え込むその姿があまりにも妖艶で。無意識的に、加賀美は手を伸ばしていた。

パキンッ。

「へ、ぁ、ぃ”あ”あぁ”“ぁ”!!! 」

途端、右肩に襲いくる激痛。

『…ゆめお、待ってねって言ったんだけど、』

加賀美のそれが抵抗と見なされたのか、軽い音を立てて右肩の関節が外された。

青年の不機嫌そうな声とは裏腹に、その顔は新しい玩具を手に入れた子供のように楽しげで、痛みに苦しみ藻掻く加賀美を見てくすくすと笑っている。

ゆめお、とはこの人の名前だろうか。

口からは悲痛な声が漏れ出しているのに、加賀美の頭は至って冷静で、考えていたのはそれ程些細なこと。

そんな加賀美の思考と悲鳴は、いきなり乱暴に顎を掴んで目を合わせられたことで霧散する。

『あ、思い出した。加賀美のとこのお坊ちゃんだっけ?懸賞金かけられてた子。…へぇ、君、俺と同い年くらいでしょ、若いのに大変だねぇ』

納得、というように頷いた後、加賀美に対し同情的な言葉をかけてくる。痛い事をされたと思えば、優しい声をかけられる。弄んでいるような考えの読めない言動に、加賀美の心は掻き乱された。

それでも一つだけ、思わず口走ってしまった。

「っぁ、は、やと…隼人、です…名前で、呼んでください」

予想外。今から殺されるかもしれないというのに。青年にとってはこの男の命など、どうでもいいというのに。すぐに、殺せてしまう。殺されるかもしれない。だというのに。

その発言に、青年は目を丸くする。

時が止まったように静止する青年に、加賀美もまた、不安が募った。

突如。

『…..っくく、ぁはははははっ!!!』

青年が急に笑い出す。可笑しくて堪らない、とでも言うように。それはもう、楽しげに。嬉しげに。

今度は加賀美が目を丸くする番だった。

一頻り笑い、はー、と息をついた青年は、加賀美を見て嬉しそうに目を細めた。

『んふ、いいよ! ハヤト!! ハヤトね、んは、はッー、あ、俺はね、夢追、夢追翔! 良いね、君。うん、ある意味肝が据わってる! 好きよ? 俺、そういうの』

夢追はまだくすくすと笑いながら、確かめるように、加賀美の名前を呼ぶ。

乾いた喉に、冷たい水が通ったような、そんな満たされた心地に、加賀美はいた。

今まで家柄が全てだった。事ある毎に自身の評価に繋がってきた。それがどうしようもなく気持ち悪くて。自分を、自分として見て欲しくて。

この人に、夢追さんに、名前で呼んで欲しくて。

惚ける加賀美に対し、夢追は先程と打って変わって冷たい笑みを浮かべた。

『でもね、ハヤト』

首に硬くひんやりした物が触れる。

『このまま逃がすわけにはいかなくてさ。残念だけど、許してね』

交差した視線。冷えた笑み。 命の危機だというのに。恐らく自分は殺されるというのに。

それなのに、この状況にどうしようもない興奮を覚えてしまって。

初めて生まれた名も無き感情を点として。今までの経験と知識と線で繋いで。そうやって心の奥底に眠るそれの正体に漸く気づいた時。加賀美の身体の細胞の一つひとつが歓喜で満ち溢れる。

嬉しい。美しい。痛い。可愛い。優しい。気持ち良い。怖い。綺麗。


——好き。


嗚呼、この人は薔薇の棘なんて生易しいものなんかじゃない…!

蠱惑的な毒だ! どんな生物でも抗うことの出来ないような、甘い、甘い猛毒…!!

美しさと痛烈さのアンバランスなそれが、酷く他者を魅了し、内側からどろどろに融解させて壊していく。

今の加賀美は可哀想な程に犯されていた。心も、身体も、何もかもを目の前の男に奪われて。その事実にすら狂喜する。嗚呼、その姿のなんと愚かしく、いじらしいことか。

『聞いてる?ハヤト』

艶やかな唇が小さく動いて。絶妙な、唯一無二の音を奏でて。 その美しい紅蓮の輝きが惜しげも無く向けられて。もしも、願いを口にする余地があるのなら。

願わくは、貴方の手で私を…..!!

もっと。もっと。痛めつけて。嬲って。苦しませて。私から全てを。命さえも。

「…好、き」

喉から捻り出された声は、掠れていて。されど、恍惚として魅惑的で。

『…….あは、』

夢追の嗜虐心を煽って。

『…ねえ、ハヤトは何処まで痛めつけたら心の底から絶望して、恐怖して、俺に許しを希うの?』

意図的に急所を外して振り下ろされたナイフは、加賀美の身体に彼岸花を咲かせて。零れ落ちた赤は加賀美の感情を反映したように輝いていた。

『時間はまだあるんだから、そう簡単にくたばんないで』

ありふれた赤の中、一際苛烈な紅蓮あかに見初められて。

『俺に、全部教えてね』


加賀美の琥珀は糖度を増して、とろりと。




その初恋は紅蓮に融けて。




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