コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
紫苑は、今日も母の声に戦々恐々として家に入った。
母は、誰よりも自分が正しいと信じ、気分次第で暴君のように振る舞う。
「どうしてこんなこともできないの?本当にダメね、あんた」
「言い訳なんて聞きたくない。お母さんの言う通りにしなさい」
叱責や無視、理不尽な要求――すべてが紫苑の心を押し潰す。
学校や部活でどれだけ頑張っても、母の前では価値がない。
だが、突然、母は表情を変える。
「今日もよく頑張ったわね。お母さん、誇らしい」
怒鳴り声から一転して、微笑みと優しい言葉。
紫苑は戸惑う。
「本当に…今のは…?」
その優しさが、母の圧力をさらに強くする。
怒鳴り、否定し、責め立てることで心を支配し、
次に優しくなることで依存心を植え付ける――
このループは、終わることを知らない。
紫苑の心は、怒りと恐怖、安堵と希望が交錯し、揺れ続ける。
母の優しさに触れるたび、逃げ出したい気持ちは抑えられ、
母の怒りに触れるたび、絶望が深く刻まれる。
家を出れば自由かもしれない。
だが家の外での安心は、母の優しさに比べると脆く、
紫苑は今日も、母の揺れる感情の渦の中で、押し潰されそうになりながら生きていく。
俺の毎日はこうだ
タイトル:揺れる家の1日
6:30 – 朝の目覚め
紫苑が起きると、母親はすでに不機嫌な顔で台所にいる。
「また寝坊?何やってるの、あんたは!」
理由もなく叱られ、朝の支度は急かされる。
制服の乱れ、髪型、朝食の進み具合まで逐一チェックされ、指摘される。
7:30 – 家を出る直前
「今日も学校で何か失敗するんじゃないの?」
車に乗るまで、母の言葉は止まらない。
紫苑は無言でうなずきながら、怒りや恐怖を押し込める。
外に出ると、一瞬だけ自由を感じる。
12:30 – 学校・昼休み
柔道部仲間と笑う時間。
しかし心の片隅には、帰宅後の母の態度が常にちらつく。
「また怒られるかもしれない…」
昼食も味気なく感じる。
17:00 – 部活終了後
汗だくで家に戻る。母の機嫌次第で出迎えは天国か地獄。
17:30 – 怒鳴り声の嵐
母はテーブルに置かれた柔道着やプリントの向きに目を光らせ、突然怒る。
「片付けもできないの?本当に何やってるの!」
言い返せば、母は耳を貸さず、紫苑の存在そのものを否定する。
18:30 – 静かな無視
母は口を閉ざす。
話しかけても返事はなく、食卓に座っても視線を合わせない。
無視の間、紫苑は心の中で葛藤する。
「今度は何を怒られるんだ…」
19:00 – 急な優しさ
突然、母は柔らかい声で話しかける。
「今日も頑張ったのね。お母さん、誇らしいわ」
抱きしめたり、笑顔で褒めたりする。
紫苑は戸惑う。恐怖と安堵が混ざり、頭の中は混乱する。
20:00 – 勉強・宿題のチェック
母は些細な間違いを見つけると再び叱責する。
「こんな簡単なこともできないの?本当に頭が悪いのね」
しかし、少しでも正解すると「まあ、少しはましになったわね」と言う。
怒りと優しさが1時間ごとに入れ替わる。
21:30 – 就寝前のループ
母が寝る前に「今日はよくやったね」と微笑むと、紫苑は少し安心する。
だが、明日の朝にはまた怒鳴られ、優しさと虐待のループが再開することを知っている。
。
そんな日々を過ごしていた、ある日の夜、母親は突然紫苑に声をかけた。
「紫苑、今までお母さんがあんたにかけてきたお金、全部返してもらうから」
紫苑は思わず息を飲む。
母は学校の費用、部活の道具、生活費――すべてを「投資」と呼び、今になって請求してきたのだ。
「え…そんな…どういうこと…」
「当たり前よ。お母さんが苦労して働いてきたのに、感謝もできないなんて最低ね」
母は怒鳴るでもなく、淡々と自分の正しさを押し付ける。
「今まであげたのは貸したんだから、返すのが当然」
「それができないなら、あんたは本当に無価値な人間よ」
紫苑は胸が詰まる。
母の情緒不安定さ、怒りと優しさのループに加え、今度は金銭という新たな支配が加わったのだ。
何も言えず、ただ母の視線に縛られるしかない。
母は一瞬、柔らかい声で付け足す。
「でも、あんたが頑張れば返せるわよね。お母さん、信じてるから」
その言葉で紫苑は一瞬救われた気持ちになる。
だが次の瞬間には、また母の圧力と怒りの影が襲い、日常のループはさらに深くなった。
紫苑は、自分が自由になる日は来るのか、母の支配は永遠に続くのか――胸の奥で絶望を感じながら、布団に潜り込むのだった。
そして気付いた、母はもう、 変わらない
紫苑は高校を卒業する頃には決意していた。
「もう母親には支配されない」
日々の心理的虐待と金銭の請求に耐えた経験は、心に深い傷を残したが、同時に絶対に自分を守る力も与えていた。
その力を活かすため、紫苑は警察官になる道を選んだ。
数年後。制服に身を包み、現場で冷静に任務をこなす紫苑。
ある日、訓練の合間に連絡が入る。
「母親が近くに現れ、騒いでいる」と。
母は相変わらず情緒不安定で、ヒステリックに叫びながら要求していた。
「紫苑!お金を返して!全部返してちょうだい!」
「あなたのことを心配してやってるのに、どうして感謝しないの!」
周囲の人々が固まる中、紫苑は冷静だった。
怒りや恐怖に振り回されることはない。
過去の虐待を経験し、自分を守る術を身につけていたからだ。
「母さん、落ち着いてください」
声は低く、揺るがない。
母のヒステリックな行動は、以前なら紫苑を押し潰していた。しかし今は違う。
母の叫びは続くが、紫苑は毅然と対応し、周囲の安全を確保する。
母はヒステリックに泣き叫び、暴れ、周囲に迷惑をかける。
母は「今日は、一旦帰ります。 」
そう言って出ていった
それから母親を忘れて1年ぐらいの時
紫苑は警察官として経験を積み、冷静かつ的確に現場を指揮するまでに成長していた。
だが、過去の影は完全には消えていない。
ある日、母親が突然紫苑の勤務先に現れた。
「紫苑!全部返して!あんたは本当に恩知らずね!」
母の声は以前にも増して荒れ狂い、廊下中に響く。
同僚たちは慌て、局内は一瞬騒然となった。
しかし紫苑は冷静だった。
「母さん、ここは落ち着いて話せる場所じゃありません。警察としても、まず安全を確保します」
母は暴言と泣き叫びを繰り返す。
だが紫苑は毅然として対応し、母を安全に退室させる。
過去の虐待の記憶が蘇るが、もはや心は揺らがない。
母は職場や知人を通じて、紫苑に関する根も葉もない噂を流し始めた。
「息子は、私に借金を返さず不義理な人間だ」
「警察で問題を起こしているらしい」
一時は同僚や上司の目が気になった紫苑だったが、証拠のない噂は簡単に否定できるものだった。
紫苑は冷静に対応し、事実を整理して説明することで噂は沈静化する。
過去の母親の心理的虐待、ヒステリックや、金銭請求、根も葉もない噂――
すべてを乗り越えた紫苑は、自分の正義と判断力を信じ、冷静に行動できるようになった。
数年後、紫苑は警部として現場で活躍する。
後輩や部下たちからの信頼も厚く、危険な現場でも的確に指示を出す。
母親の影響で形成された精神的強さは、今や社会の中で人を守る力となっていた。
紫苑は思う。
「母の支配は逃れられないものかと思った。でも、自分の人生は、自分の手で守れる」
母親は相変わらず情緒不安定で自己中心的だが、紫苑の心はもう揺るがない。
彼の背中は、過去の虐待をすべて乗り越えた者の揺るがぬ強さを示していた。
こうして今の自分がいる
虐待された日々は地獄一生心に残るだが
今は今だから頑張る、
そこの君も頑張れ!
ファイト!!!!!