あれから1週間後。
寝室にバスローブ姿の阿部がやってきた。
❤️「さて」
💚「ついに俺たち初夜だね」
❤️「そう、これが初夜です」
2人で初夜を強調して笑い、阿部が抱きついてくるのを受け止めながらベッドに沈んだ。
胸に顔をくっつけてすり寄る阿部の髪を撫でていると、手がバスローブの紐に伸びてくる。
阿部の事は性に関してドライだと思っていたが、存外に貪欲だった。
はだけたバスローブに手を差し込んで俺の肌を撫で、うっとりしている。
💚「はやく」
と催促までしてくる始末だ。
❤️「まあまあ、夜はこれからだよ。あ、初夜はね」
💚「あははは」
急に子どもみたいに笑ってムードも何も無いような雰囲気にしておいて、俺の身体に向き直る頃には目つきから指先に至るまで全てが艶めかしく、まるで別人のように変貌する。
照を諦めるために一晩抱いてくれと言ったのも、今こうしている姿を見ればその手段を選んだ事も何らおかしくない。
それが意外であり、今では魅力的でもあった。
だがそんな阿部のペースにのまれる訳にはいかない。何せ俺はこの初夜を思い出と愛に満ちたものにするために、ずっとシミュレーションをしてきたのだから。
体勢を入れ替えベッドに組み敷かれた阿部の頬が染まっている。
今度はこちらから阿部のバスローブの紐を解いて合わせを左右に開こうとすると、 その手をそっと掴んで見つめてきた。
💚「待って、もう少し暗くして…」
あんな色っぽい顔をして自分からぐいぐい迫るくせに、自分がされる側になったら何も知らないような顔をして恥じらう。
その落差に戸惑い、引き寄せられ、心を阿部への愛おしさで雁字搦めにされるようだ。
❤️「一緒に宮舘の薔薇風呂、入ったでしょ」
💚「それとこれとは…別」
❤️「はいはい、かしこまりました」
間接照明を少し下げ、俺の手首を掴んでいた手が緩まったので今度こそ脱がせる。
❤️「綺麗だね」
💚「あんまり見ないで…」
❤️「見て欲しくなるまで溺れさせるから」
💚「なん…ぁ」
首筋に唇で触れる。燃えるように熱くなって期待に満ちているのがわかる。
そして俺の唇までも、触れるほどに熱を持つ。
❤️「すごい、熱っぽいね」
💚「ドキドキしちゃって…んっ」
❤️「綺麗、俺もドキドキしてるよ」
手をとって胸に当て『ほんとだ』が聞こえたので、指を絡めてベッドに押し付け鎖骨、胸と口付けていく。
阿部が声を殺して吐息を漏らすたび、身体の火照りが増す。居ても立ってもいられず起き上がって覆いかぶさり、キスをした。
腕を回して縋り付くように俺を求めてくる阿部の熱を持った身体と蕩けた表情に追い込まれていく。
阿部が欲しい、欲しい。
全部俺のものにして、めちゃくちゃにしてやりたい。
たくさんプランを考えていたのに、目の前の阿部はそこにいるだけで媚薬のようで、俺は何度も阿部を愛し、繰り返し達してはまた求めた。
そして阿部もまたそれに応えてくれた。
❤️「大丈夫?」
💚「ん…平気」
2人ぐったりベッドに横たわり、顔の横に放り出した片手を繋ぐ。
💚「嬉しかった、ありがとう。舘さん、大好き」
❤️「俺も阿部が好きだよ」
愛を囁き、寄り添って何度もキスをして、随分と情熱的な自称初夜は眠気に任せて終わっていった。
🤍「えー!?阿部ちゃんの恋してる人って舘さんだったの!?そんなの叶うわけないじゃん」
後日みんなに報告をした時、ラウールがそう言って崩れ落ちる。
それをたまたま隣にいた翔太が面倒そうに、でも大切そうに慰めていた。
終
コメント
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わーい、初夜編がー🥹💓 淡い恋の予感にも、妄想捗ります!ラウが可愛い🥹
あら新しい恋の予感🤭