コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
紆余曲折あったけど無事に屋久島観光を済ませた私達は、現地にいた人達と交流して次の場所へ移動することにした。次の目的地は、鹿児島県の名物でもある桜島である。前世でも出張で鹿児島へ行く機会があって、桜島を見物する事が出来た。
ただ残念ながらその日は天気が悪くてハッキリと見えなかったのは残念だった。しかも出張は日帰りで宿泊する場合は自腹と言う滅茶苦茶ハードなスケジュールだったからゆっくり見物する余裕もなかったけどね。
もちろん移動する前に朝霧さんへ連絡を入れておいた。報連相は大事だからね。
準備していた屋久島では完全に空回りに終わり、更に次の目的地は桜島だと聞かされた朝霧さん及び政府関係者が激しい胃痛に襲われたのは言うまでもない。
突然屋久島案件をぶん投げられ、その対応に奔走した挙げ句空回りに終わり、次は桜島と聞かされた鹿児島県警の上層部の数人が胃痛と頭痛で倒れたも仕方の無いことであった。
確かにティナは報連相を護った。ただ、自分達が瞬時に目的地へ移動できることを考慮していなかっただけである。具体的には警備体制を整える時間的余裕を考えていなかったのだ。
さて、取り敢えず転移で鹿児島へ向かおうと思ったんだけど……困ったな、お腹が空いた。時間的にお昼時だし、仕方無いんだけどさ。
ここで選択肢は二つ。旅館に戻って食べるか、地元で食べるか。残念ながら私達は地球の紙幣を持っていない。
いや、今となっては大半の決算が電子マネーみたいだけど、それすらない。日本政府におねだりするのもなぁ。充分良くして貰っているし、これ以上は気が引ける。でもせっかく来たんだから、鹿児島の名産を食べたい。前世では食べられなかった鹿児島黒牛、食べてみたい。
どうするか考えていたんだけど、ここはおばあちゃんの知恵袋を借りるとしよう。ばっちゃん。
「美少女天使、ティリスちゃんだよ☆」
「少女って言うより幼女なんだよなぁ」
「幼女って言うな☆」
「ティナは何か食べたいものがあるの?」
「鹿児島黒牛って言う名産があるし、是非とも食べたい!」
「オー、日本の牛のステーキは美味しいって聞くし、私も食べてみたいっ!でも、その辺のお店に入ったら大騒ぎになるんじゃない?」
「あー……確かに」
先ずお金がないんだよなぁ。お金の問題が解決してもそれがあった。他の人達の迷惑にもなるし……うーん。
「旅館で取り寄せて貰えば良いんじゃない?日本は狭いし、この辺りの食べ物を新鮮なまま東京で食べるのも簡単だよね?」
「その手があったかぁ!」
そうだよ、取り寄せて貰えば良いんだ!朝霧さんや女将さんにはちょっと面倒を掛けちゃうけど……頼んでみよう!
「あー……ティナちゃん、そのお肉は夕食で頂こうよ。お昼は適当に済ませてさ」
んー、夕食かぁ。まあ、ばっちゃんが言うなら間違いはないね。
「分かった、夕食で食べてみたいって伝えてみるね」
もちろんいきなり九州の料理を食べたいと要望された旅館やすらぎでは大騒ぎになった。直ぐ様鹿児島黒牛を初めとした黒毛和牛、黒豚などが最優先で手配されることになり、政府の仲裁で一流のシェフも用意された。
これが昼食だったならばとても間に合わなかったが、それを察したティリスの介入によって夕食となり時間的な余裕が出来たのは間違いない。ファインプレーである。
「取り敢えずお昼はどうしようかな?」
「ティナ嬢、もし良ければ屋久島警察署へ行きませんか?ミスター朝霧と椎崎首相が色々と手配をしているみたいですからな」
そう助言をくれたのは、ジャッキー=ニシムラ(最近三刀流に目覚めた)さんだ。
最初はビックリしたけど、どうやら自由時間を貰ったみたいで鹿児島を散策していて、朝霧さんから連絡を受けて私達が到着する前に現地入りしたみたいだ。
……縄文杉は標高千三百メートルの高所に有るのに、どうやって間に合ったんだろう?
「紳士の嗜みですな」
「君に不可能は無さそうだね、マイフレンド☆」
「ハッハッハッ!私など出来ないことばかりですよマイソウルフレンド!」
何か意気投合してるんだよなぁ。何だろう、ちょっとお腹痛くなってきた。
「ヒール。大丈夫ですか?ティナ」
「ありがと、フェル」
治癒魔法で治されたけどさ。じゃあ取り敢えず警察署へ行ってみようかな。
屋久島警察署で派手な歓迎を受けた私達は、地元の名産と言われる飛び魚のお刺身を頂いた。
漁獲量日本一みたいで、地元の味として人気があるのだとか。私はもちろん、フェルもお刺身は経験済みだから問題ないけど。
「へぇ、お魚を生で食べるんだ?☆」
「噂には聞いていたけど、本当に神秘の国だよね。あれでしょ?腐ったビーンズも食べるんだよね?」
「へぇ?日本人の衛生感が心配になってきたよ?☆」
まあ納豆を日本人以外が見たらそうなるだろうねぇ。ちなみにカレンの英語も私達と同じように同時翻訳されてる。アリアは優秀である。
「納豆は人を選ぶけど、お刺身は美味しいよ?お醤油を付けて食べてみなよ」
「ふぅん?」
「ありゃ……意外と美味しい?☆」
「何だか不思議な食感だね。人を選ぶんじゃないかなぁ」
私の薦めで二人も食べてみたけど、評価は好意的かな?
「カレンはお刺身が苦手ですか?」
「んーん、私は好きだけどお父さんは苦手かもしれない。生臭いのが駄目なんだよねぇ」
「へぇ、ジョンさんはお刺身駄目かぁ」
お土産も考えないといけないね。ふと悪戯心が湧いた私は、ばっちゃんに笑顔を向ける。
「ばっちゃん、これ美味しいから食べてみてよ」
わさびを指して教えてあげた。フェルがビックリしてるけど、ばっちゃんは特に怪しまずにパクリとわさびを食べて。
「~~~!!!???」
口許を手で抑えて涙目になって足と翼をバタバタさせてる。
うーん、予想通りのリアクション。あとが怖いけど、良いものを見ることが出来た。ちなみにカレンは一瞬だけ目を見開いて、後は平然としていた。意外と平気みたいだね。
尚、周りで待機している日本人スタッフ達は「なぜ刺身の食べ方を知っていて納豆を知っているんだ?」と首を傾げて。
「魂の連写!連写!連写ぁあっ!」
ジャッキー=ニシムラ()はバタバタするティリスを連写してネットにばら蒔き、数多の紳士を尊死させたが割愛する。