元貴 side …
ズカズカとこちらへ歩いてくる若井は、俺の前でピタリと止まった。俺は殴られると思い、反射的にぎゅうっと目を瞑った。だが、若井に殴られることはなく、若井の手は俺の頬に優しく触れた。
「…そんな顔して泣かないで」
「ッ…やめてッ、怖いよッ…泣」
若井は冷たい瞳のまま俺の事じいっと見つめる。その瞳は一見優しいように見えて、奥の方には黒い何かが渦を巻いていた。若井の指が俺の涙を少しだけ強く拭う。若井の仕草に少しだけ安心したその時、右頬に弾けるような強い衝撃を感じた。
「ぅ゛ッ…、!」
突然の痛みに目を瞑る。頬が遅れてジンジンと痛み出す。床にポツポツと水滴が1粒2粒と落ちていく。俺、今若井に殴られた?もう怖さで泣いているのか、痛みで泣いているのか分からなかった。
「元貴、俺のこと、好き?」
若井が俺の目を見つめて問い詰める。その圧、瞳、表情はなんだか人ではない気がして、まるで人形のような顔をしていた。その真っ黒な瞳に映る自分の顔を見る。俺、めちゃくちゃ酷い顔してる。恐怖かな、痛みかな、上手く呼吸ができない。
「はあ゛ッ…はあ゛ッ…!泣」
「好きかって聞いてんだよッ」
再び左頬に強い衝撃を感じた。床には赤い水滴がポツリと1滴落ちていった。顔を上げることができない。痛みなどでは無い。もう若井の顔が怖くて見れなかった。
「ごめ゛ッ、ごめ゛なさい゛ッ、泣」
必死になって謝罪を告げた。口の中に血の味がじんわりと広がっていった。若井が怖い。目の前にいるのは俺の知らない”若井”だ。若井は俺の無ざまな姿を見て、はぁと小さくため息をついた。
「…ベッド行くよ」
若井が俺の手を掴んで俺を引っ張る。突然のことに俺は膝から床に崩れ落ちる。
「や゛だッ!泣や゛めてッ、!!泣」
「黙ってろよ゛ッ、!」
若井が俺の脇腹を蹴る。痛みと恐怖でまたしても視界が涙でぼやける。それでも俺は必死で若井に逆らった。このままベッドに行ったら終わりだ。若井にされるがままだ。絶対にダメだ。
「わ゛かい゛ッ泣お゛ねがい゛ッ!!泣」
若井はもうこちらに振り向くことはなく、ただただ強い力で俺の事を引っ張った。俺は足を滑らせ、ついに若井に引きずられてしまった。
「い゛やぁ゛ッ、!!誰かッ!たすけて゛ッ!!!泣」
必死に助けを求めて叫んでも、誰からの返事も無かった。暗い廊下に俺の叫び声が響く。それはものすごくうるさくて仕方がなかった。遠のいていくリビングの扉。俺は暗い寝室へと飲み込まれていってしまうのか。
このお話、
もう作者の頭の中では完成済みなのですが、
なかなか文に出来ない…😅
ぼちぼち頑張っていきますので、
どうかお付き合い下さい…!!!
ではまた次のお話で^^
コメント
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めっちゃすきです😭😭😭大好きです😭😭😭😭💗💗💗