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「ねぇ。俺ってじんちゃんからみてどう」
隣に座っている男から唐突に放たれた言葉。「どう」と聞かれたところで、そんなこと考えたこともないし、すぐには浮かばない。
「なんだその付き合いたてのカップルみたいな質問」
それでもまぁ余りに真剣な顔をしてるもんだから。とりあえず、考えてみることにする。
どれくらい考えたかは分からない、多分2分ぐらい。
「すっげぇ晴れた空に雪が降ってる。みたいな」
「変な例えだね」
「うん、俺もそう思う」
けど、ほんとにそんな感じ。きっと他のメンバーに言ったって分かってはもらえないだろう。
「なんだそれ」って口を揃えて変な顔をするだけ。そんな変な例えをされた本人はというと、とりあえず気に入ったそうで、ニコニコしながらさっきまで放置されていたスマホのゲームにとりかかっていた。
一体、どこから話せばいいだろうか。柔太朗みたいな素敵な人の、素敵さを、どうしたら伝わるだろうか。ついでに今2回でた素敵はわざと。それだけ凄いんだって思うよ。おれは。まぁどうでもいいか。
「単純だよ。きっと。」
「なにが?」
「比べるまでもないくらい。俺に足りないもんを、お前が全部もってんの。悲しくなるくらいには。」
数えだしたらきっとキリがない。話しながら数てたけど、やめとこう。ほんとに悲しくなっちゃう。
「俺はさ、不安とか迷いとか、全部お前とっかえられたらって、結構思う」
「結構思うんだ」
「思うね。俺には柔太朗みたいな優しさはないわけでさ」
「そんなこともないと思うけど」
「いやほんとほんと。月が夜道を照らしてくれるから、俺らは歩けるわけじゃん」
「やっぱ歌詞書いてる人の言うことは違うわ」
「はっ倒すぞお前。…いやぁまぁさ。だから、俺にはお前がいるんだよ」
普段ならきっと言わない。こんな言葉。こんなの告白と変わらない。それでも、大した抵抗もなく言えたのは、こいつが素敵なやつだから。柄にもないことをしたなと思った。目の前の男が満足そうに笑っているので、まぁ、よしとする。