僕は知っている。父さんの心を…
「父さん、やめてっ!殴らないで!」
「父さんもな、本当は殴りたくないんだぞ?でもな、お前がこんなことでミスなんかするから…ごめんな…これはお前のためなんだ…」
そういった父さんの心からは本当に罪悪感の音がしていた。だからこそ怖いんだ。心の底から僕達を愛し、それが暴力となって僕達に降り注いでいたことが。父さんの心はいつも愛情に満ちていた。しかし、深い絶望や怒り、悲しみにも満ちていた。昔、父さんと遊んでいる時に『心の声』を聞いた。
(愛おしい拓馬…お前は俺がしっかりとした大人に育ててみせる。俺のように親に見捨てられて辛い思いをしてほしくないんだ…)
父さんは少年時代、親に虐待されていたらしい。毎日ありもしないことで罵られ、親戚に助けを求めても、親戚は大人の言ったことしか信じない…そんな感じだった。父さんの心は…
(深い愛情と裏切りによる悲しみ)
そんな感じだった。
コメント
2件
お父さんの心を知っていても,いくら愛されていると知っていても暴力を振られるのは怖いですね。