僕は、何かを感じていた。何かが迫ってきている。そんな予感…僕は分かっていた。悪魔の足音がすぐ近くまで迫ってきていることを…
─ガチャ─
(来た…!)
僕は誰が来たのかわかっていた。この人物以外ないと…
「久しぶりだね、父さん。」
「久しぶりだな、愛しい息子よ。」
ゾクッ
背筋に悪寒が駆け上がった。きっと僕は父さんの言葉を気味悪がった。父さんが心から僕を愛しているのは知っている。けど…虐待をしていた事実は変わらないんだ。警察なんて信用できない…僕はそう思っている。
「父さん、僕は決めてるよ。母さんの日記を読んだんだ。」
「あの日記か…」
「!?」
父さんの表情が凄く…優しく慈しむものになった。なんで…こんな優しい顔をしてるんだろう?
「と、父さん…僕は父さんと住まないよ。ぼくはひとりでいきていくから…」
「そうか…俺は拓馬の意思を尊重する。」
僕はまたしても驚いた。こんなに早く引き下がるなんて…
「まぁ、俺も…」