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圖阿です!
新連載です!
今回のお話は恋愛要素はまったくありません!
それではどうぞ!
・・・
💎side
僕はとある一流企業の社長の子として生まれた。
両親にはなかなか子どもができず、そんな中でできた僕のことを大切に育ててくれた。
けれど……ある日僕は自身の体に違和感を覚え、母に相談した。
なにかの病気だったら遅いと言われ、その日のうちに僕は病院に連れて行かれた。
母「……あの…息子は何処かが悪いんでしょうか?」
そう、心配そうに聞く母に医者は言った。
医者「…息子さんの体は特に問題はありません」
医者「ただ………」
母「……ただ……なんですか?」
医者「息子さんはISのようです」
母「あい……えす…??……あの、それは一体…」
医者「ISとは…「インターセクシャル」の略で、性別が医学的に男性と女性のどちらかに明確に分類できない状態のことを言います」
母「……息子はそのIS…なんですか?」
医者「はい」
自身がISと分かってから、僕の生活は一変した。
僕は男性でも女性でもないため、父の跡継ぎとしては不適格になってしまった。
そのため、父の僕に対する興味は一切なくなり、僕を赤の他人のような目で見るようになった。
しばらくして、父は愛人との間に男の子を授かり、僕と母は家を追い出された。
母は父と結婚すれば、一生楽して暮らせると思っていたため、仕事も辞めていた。
母は下から仕事をすることに向かない人だったため、再就職をしようともせずにホストクラブに通うようになった。
そして、毎日のように僕にあたるようになった。
母「お前がッッ!!お前がそんな不良品の体で生まれなかったら!!」
母「本来なら今あの女がいる場所は、私の場所だったのにッッ!!」
母「ふざけるなッッ!!返せ!!私の人生返せッッ!!」
そう言って僕を殴り、蹴る母。
あれほど優しかった母は今では僕の恐怖の対象でしかない。
僕がどんなに泣こうが、辞めてくれと言おうが、母はむしろそれを嘲笑うかのように暴力を振るう。
母「お前なんて生まれてこなければよかったんだッッ!!」
ある時、そう言われた。
その時、自分の中で何かが切れたのがわかった。
…………あぁ…そっか……僕は…生まれてこなければよかったのか…。
そう思ってからは全てがどうでもよくなった。
高校生になって、ふとしたことから僕のISが発覚し、いじめを受けるようになっても……何も思わなかった。
あれだけ辛かった母からの暴力も今では何も感じなくなった。
💎「……………………」
学校について早々、僕はバケツで水をかけられた。
水が髪を伝って床に落ちても、制服に染みて体に服が張り付いても………何も思わなかった。
生徒「傑作wwwww」
生徒「なぁ、こいつのことネットで流したらおもろくね?ww」
生徒「お前天才かよww」
そう言って、笑うクラスメイトを僕はただ『あぁ…またか……よくもまぁ飽きずにやるな』…それくらいにしか思わなかった。
けれど、反応が悪いと彼らは暴力も振るってくる。
まぁ、それもどうでもいいのだけれど。
先生「HR始めるぞー……さっさと席付けー…!」
先生「…はぁ……お前毎朝そうやって床汚して楽しいのか?」
そう言って、僕を冷めた目で見る先生。
いじめを受けるようになって、僕の味方をしてくれた先生は一人もいなかった。
この先生もその一人。
先生「ったく……校長にバレたら俺がめんどいんだ」
先生「毎朝濡れるんだったら、せめて床が濡れないように対策を立てたらどうなんだ??」
💎「…………すみません…」
先生「…はぁ……お前、高校生にもなって、謝ればいいと思ってるのか?」
💎「………………すみません…」
そう言うと、ため息をついて、先生はHRを始めた。
生徒「…にしても…!朝のは傑作だったな!w」
生徒「ほんと、ほんと……マジあいつが担任でよかったわーw」
そう言いながら、校舎裏で僕を殴るクラスメイトたち。
毎日のように母やクラスメイトに暴行を受けるため、傷は治らず、生傷が増えるばかり。
生徒「つうか、お前よく死なないよな?w」
生徒「言ってやんなって??ww」
生徒「俺だったらとっくに死んでるわww」
死ぬ……か……。
死のうと思わなかったわけじゃない。
けど、死に方がわからなかった。
飛び降り自殺をすれば、誰かに迷惑がかかる。
包丁で自分の胸を刺してみようとしたこともある。
けど、家で死ねば不動産側に迷惑がかかり、何処か誰もこないような場所で死んでも結局誰かしらに迷惑がかかる。
……そんなことを思っていたら、結局一度も死ねなかった。
クラスメイトから解放され、僕は家に帰っている途中でふと思った。
💎「……………何処か……遠い所に行こうかなぁ……?」
💎「お母さんも…クラスメイトも…先生も…誰も僕のことを気にしない……だったら遠いところに行ってもいいんじゃないか…?」
💎「どうせ、死んでもいいと思われてるなら、最後に何かしてから死のうかなぁ……」
そう思い、僕は家と逆の方向に向き直し、歩いた。
どのくらい歩いたのだろう。
空はすっかり暗くなっていた。
今……何時なんだろう?
しばらくまた歩くと、公園が見えた。
公園なら時計があるはず……。
時刻を確認すると、短針が7を指していた。
どうやら、学校が終わってから3時間弱歩き続けたようだ。
…………どうしよう……このまま時間が過ぎると、未成年は報道されちゃう…。
どうしようかと途方に暮れていると、公園のベンチに上半身だけを預け、床に座っている男性が見えた。
赤の他人だから、掘っておくこともできたが、なんとなく、それは嫌だったため、僕は男性に話しかけた。
💎「………あの………こんなところで寝たら…風邪……ひきますよ……?」
男性は眠っている。
今度は、肩に手をかけ、少し揺すって声をかけてみる。
……………
反応はなかった。
💎「……………………どうしよう……」
🦁「…………ッ……ん゛……?」
すると、突然、先ほどまで眠っていた男性が目を開け、僕を見た。
🦁「…………だぁれや……あんた?…。o○」
そう、眠たそうに目を擦りながら追いかけてくる男性はほんのり頬が赤かった。
風に乗って、ほんのりお酒の臭いもする。
酔っ払いなのだろう。
💎「……僕はただの通りすがりです」
💎「こんなところで寝たら風邪ひきますよ…?」
🦁「そうやなぁ……あんたは帰らんのぉ…?」
💎「……行くところがないんです……」
そう言って、ハッとした。
言うつもりなんてなかった。
けれど、なぜだかこの人に言ってしまった。
気まずくなって、その人の方を伺うと、特に何も気にした様子はなく、「そっかぁ……そうなんやぁ…」っと呟いていた。
すると、男性はゆっくりと立ち上がり言った。
🦁「行くとこないんならぁ…家においでやぁ♪」
💎「………ぇ…」
🦁「今日わなぁ、確かこれから雨が降るんよぉ♪」
🦁「だぁからぁ……家においでやぁ♪」
驚いて、言葉がでなかった。
そんな風に、何のメリットもないことをする人……いなかったのに…変な人。
そう思っていると、男性は僕の腕を掴み、「しゅっぱ~つ!!」と陽気に移動し始めた。
その掴む腕の優しさが温かくて、本来なら、振りほどいたほうがいいのだろうけれど、僕はそのまま男性の家に行った。
家に着くなり男性は、部屋のあれこれを教えてくれた。
半ば強引にお風呂に入れられ、上がると、男性はソファで心地よさそうに眠っていた。
あまりにも気持ちよさそうに眠っていたため、起こすのも申し訳なく、男性をなんとかベットまで運んで、僕はソファを借りて眠ることにした。
…………明日…出ていけって言われたら……何処に行こう…?
そんな不安を抱えて、僕は久しぶりに柔らかいクッションの上で眠りについた。
続く
・・・
先に言っておきますが、このお話はBLでもございません!
そう言えば、私事ですが、尊敬様にフォローしていただけました✨
これからも、頑張ります!!
見てくださりありがとうございました!