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──ベッドの縁に腰掛けて、眠っている彼のことをじっと見つめていた。
そんな無防備な姿、目の毒なんだけどな……。
溜め込んで吐き出せない想いの代わりに、ハァ…とため息が漏れる。
「……いい男すぎなんですってば……」
行き場のない気持ちがつい口からこぼれた、その一瞬の虚をついて、
「……うん?」
パッと蓮水さんが目を見開いた。
「……あ、起きられたんですか?」
顔を覗き込んで尋ねると、
「……うん?」と、その人はまた寝ぼけ眼でくり返した。
ああ、まだ完全には目が覚めていないんだ……。
それじゃあ、もう少し寝かせておいてあげようかなと、ブランケットを掛け直そうとすると、
「……三ッ塚さん、」
と、唐突に呼びかけられた──。
「…は、はい。何でしょうか?」
お水でも持って来てほしいってことかなと、ベッドから立ち上がろうとすると、ふいに手首が捕まれくっと引かれた。
「え、手を……」
驚いて振り向いた私に、彼の口からさらに驚愕の言葉が飛び出した──。
「……服を、脱がせてくれないか?」
「服、って? ええっ?」
「……脱がせてほしい」
「ぬ、ぬぬっ……!」
声にならない声を発して、口をぽかんとあける。
たった今言われたばかりの言葉が、頭に咄嗟には入ってこなかった。
「……熱いんだ。……服を、脱がせてくれないか」
(あっ、ああ、酔って身体が火照っているから、だからそうしてってことだよね……)
心の中で自分に言い聞かせるように唱えて、鳴り止まない胸のドキドキをなんとか収えようとする。
「えっと、あの…ど、どこまで脱がしたら……」
動揺のあまり、なんでそんなことを聞いてるんだろうということを、焦って口走ってしまう。
「……早く、してほしい」
「あっ、は…はい!」
ぎこちなく彼のスーツに手をかけて、脱がそうとすると、
「……ダメだ、そんなんじゃ……」
耳元で言われて、ふぅーっと吐息が吹きかかり、
「なな、何がダメなんですか!?」
動揺は一気にピークに達した──。