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「ほな、乾杯すんで」
「待って大阪、まだ横浜が起きてない」
「…乾杯とかそんな陽キャがするようなの恐れ多くて出来ません…」
「…むにゃあ…」
「早く起きやがれこの野郎!!!!」
騒がしく始まりが告げられようとする忘年会
大阪の居酒屋に集まり、五大都市で忘年会をするのが今となっては普通になってしまった
「え〜?乾杯せな忘年会とちゃうんやん?」
「いやそれはそうですけど…はぁ、文京くんにでも代わってもらえばよかった…」
1人スーツ姿で溜息をつく東京二十三区の代表新宿区
「てかさぁ?新宿くんは何でスーツなのさ?」
「え?残業してきたからですけど…?」
「ヒャー首都って大変なんだね、ヤダヤダ愛ちゃんに首都にだけは絶対ならないでって言っとこ〜」
ヘラヘラしながらコーラを口に含む愛知県名古屋市
「ん〜…う〜…ふふ…」
「横浜、自分何で寝とんねん起きんかい」
「…大阪…?あ…今日忘年会だったか…ごめん」
「別ええで」
自分より実力ある都市に起こされなければ起きない神奈川県横浜市
「本当にお前は失礼な奴だよな!忘年会始める前に寝るとかあるか!」
「…..雑魚に言われたくはない」
「誰が雑魚だコラ」
「川崎に人口抜かされたんだってな」
「うっ…そ、それは言うなよ…」
絶賛人口減少に悩み俯く兵庫県神戸市
「まぁええやん、神戸もええ所やし」
「お、大阪〜!!!」
「あーあ、そうやって甘やかすから…」
「ええやんけ名古屋、此奴も色々あるんやから」
大阪府さながらの兄貴力を見せる大阪府大阪市
の、何とも豪華なメンバーで行われる忘年会
「てか何食べる?」
テーブルの上にあるのは生ビールが2杯、ハイボール1杯、コーラ1杯、烏龍茶1杯で食事が一つも置かれていない
「唐揚げ…とかですかね…?」
「はい!焼き鳥食べたーい!!」
「ん〜…ポテトが良い」
「大阪だしお好み焼き…?」
「OKOK、店員さん!注文聞いてくれや〜」
大阪の声を聞き取り若い恐らくアルバイトの女性店員が五大都市の使っているテーブルまでやってきた
「えっとな、唐揚げと焼き鳥とポテトとお好みお願いできる?」
「承知しました!」
女性店員は紙に注文内容を書き厨房へ走っていった
さて、ここから食事がくるまでは雑談タイムへと入る
「正直さぁ?この忘年会京都呼んでもええと思とんねん」
「な、何故です…?」
「昔は俺らに加えて京都も入れて六大都市って呼ばれとったやん?せやからちょっと呼ばへんのは可哀想な気がしてしもて…」
「大阪は優しいね〜」
まず最初は京都の話題になった
「でも京都さんプライド高いし「ふーん、情けかけたつもりなん?そんなんええさかい、五大都市で楽しんでき」とか言って避けそう」
「ありそうやわ〜…ホンマに彼奴とは合わへん、大阪も言いよったわ。あ、府の方のな?」
「分かってるに決まってるでしょ」
大阪お決まりのジョーク、「あ、府の方のな?」が炸裂し名古屋のツッコミが飛ぶ
次に、話題は福岡の話へと移った
「ぶっちゃけ、横浜お前福岡の事どう思ってんの?」
「…..別に…特には…」
「絶対嘘じゃないですか…「出しゃばってくんじゃねぇクソ田舎」くらい思ってるでしょ絶対」
「俺をなんだと思ってるんだ…そんな事思ってるわけないだろ…それに俺が本当に意識してるのは…」
横浜の視線が名古屋の方へ向く
その視線に気付いた名古屋は見下すかの様な笑顔を浮かべた
「あっは!横ちゃんは俺を意識してるんだ〜、ちょっと意外かもなぁ」
「俺は貴様の好敵手には相応しくないと?」
「いやぁ…別にそんなんじゃないよ?」
「まぁでももしかしたら次忘年会する時誰かが福岡市と入れ替わってるかもしれへんのやからオモロイな」
「マジでそんな不吉なこと言うのはやめてくれ大阪」
「はは、すまんって神戸、許してや〜」
「お話中すみません、お料理お持ちしました」
「うぉっ!?いたん!?」
「はい、先程から」
片手にさっき頼んだ料理を抱え、ずっと大阪の隣にいたという女性店員
「忍者…?」
「流石に失礼ですよ神戸さん…」
「滋賀出身ではありますけどね」
「甲賀やんけ!」
「甲賀忍者の血は継いでないですけどね」
「ほなちゃうやん」
机に料理を置きながらそう話す女性店員
「それでは、ごゆっくり」
「おう、おおきにな」
女性店員が厨房へ戻っていくと、真っ先に唐揚げに箸が伸びる
「唐揚げ…ふふ…」
「あ、新宿ちゃんが笑った〜!唐揚げ美味しいもんね!!」
「はい…残業中のカップ麺くらいしか最近食べてなかったので余計にそう感じます…」
「マジで都庁所在地って大変なんだね…ひ〜やだやりたくなーい!!」
「まぁ…他の23区メンバーより覚えてもらいやすいので私は…結構嬉しかったりします…」
「まぁ確かにそういう利点もあるのかぁ…」
「…そもそも政令指定都市になれば覚えてもらいやすいのでは」
「え〜そうかなぁ?相模原はそんなに知名度無くない?」
「…..それもそうだな…」
「認めるんかい!」
「事実そうだからな…」
横浜は溜息をつきハイボールを1口飲む
「は〜…にしても、政令指定都市か…関東が1番多いんだっけ?」
「そうだな、俺と川崎と相模原と千葉市とさいたま市だ」
「北関東からも来たら最早恐怖だよな…」
「宇都宮が張り切ってたぞ」
「ほーん、なら神戸?姫路にさっさと政令指定都市なりーやって言っといてくれへん?」
「いやいや…えぇ…?」
ニコニコしながら神戸にそう言う大阪の目は圧があり、とてもいつもの大阪とは思えない
「まぁさぁ?頑張ればなれるって!ねぇ?」
「私、区なので関係ないんですけど… 」
チラッと新宿の方を見ながら言う名古屋に正論をぶちかます新宿
流石は都庁所在地、ノリの良さもよく鍛えられている
「…なぁ、東西で酒飲みゲームせぇへん?」
「酒飲ゲーム?」
突如大阪から提案された酒飲ゲームというアルハラ一直線のゲーム
「そーや、どっちが最後まで潰れへんか勝負するんや!」
「ふむ…楽しそうだな」
「へー、チーム分けどうすんの?」
「東チームが新宿、横浜、名古屋で西チームが俺と神戸や」
「へ、へぇ…私強い方ですからね…絶対負けません!」
「乗り気やないか新宿、ほな、やったるで〜!!」
と、いうわけで、東西酒飲みゲームが幕を開けた…
「結局、残ったのワイらだけやったな」
「そうですね…」
結局、残ったのは新宿と大阪だけだった
「また来年もできるとええな」
「そうですね」
こうして、五大都市忘年会は幕を閉じた