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居酒屋の個室。落ち着いた照明に、にぎやかな笑い声がこだまする。

仕事終わりの夜、久々に6人全員がそろった特別な時間。


こさめがグラスを掲げながら、「みんなで集まるのほんっと久しぶりだね!」と笑えば、

らんも「なんか、大人になった感じだな」と笑顔を返す。


そこへ、すかさずいるまがニヤついた表情で話題を切り込んだ。


「でさ、お前ら旅行中に見せつけてくれたよなぁ〜?」


なつもグラスを口に運びながら、くすっと笑って続ける。


「ね、あれは正直…ごちそうさまでしたって感じ」


その言葉に、こさめとらんが興味津々に顔を寄せる。


「え、何それ!何があったの!?」

「なになに、聞きたい〜!」


するとみことが慌てたように手を振りながら、

「ち、ちがっ……!すちをちょっと煽ったら……なんか……」と曖昧な言葉を探す。


だが、そこでいるまが悪戯な笑みを浮かべて畳み掛ける。


「“ぐちゃぐちゃにされてるとこ、電話越しに聞かせさせた”って……な?」


その瞬間、みことの顔はぱぁっと真っ赤に染まり、両手で自分の頬を覆いながら声をあげる。


「やっ、やめてっ!言わないでぇぇぇっ!!」


その反応に全員が大爆笑。

すちは隣で平然とおしぼりを畳みながら「事実だけどね」とぼそっと呟き、

さらに追い討ちをかけるようにして、いるまが肩を揺らして笑う。


「いや〜、俺らまで巻き込まれるとは思わんかったわマジで」


なつも「うん。でもあれは、ほんとに可愛かったよ?みこと」と悪気なく微笑む。


みことはもはやテーブルに突っ伏す勢いでうつむき、耳まで真っ赤。

その肩を、すちが優しくぽんと叩きながら、「ごめんね」と小声で囁いた。


それぞれの関係性があたたかく絡まりながら、

にぎやかで、ちょっと恥ずかしくて、でも幸せな夜はゆっくりと更けていく──。




個室に広がる楽しい空気の中、料理や飲み物が次々に運ばれてくる。

皆がそれぞれのグラスを手にして乾杯するなか、みことの前だけには、ずっと手つかずのウーロン茶。


それに気づいたらんが、首をかしげながら言う。


「ねえみこちゃん、今日は飲まないの?」


ひまなつもそれに乗っかるように、じっと見つめながら聞く。


「そうそう。全然飲んでないじゃん。どうしたの?」


急に注目が集まり、みことは目をぱちくりさせて少し戸惑った表情。

それでも小さな声で、ぽつりと答える。


「……あの、俺……酔うと……すちに、すごく甘えちゃって……」


場が一瞬静かになったあと、すぐにひまなつが声をあげる。


「え、それってさ──大学時代に2人で飲んだ時は平気だったのにってこと?」


みことは頷きながら、少し困ったように笑う。


「うん……その時は、まだ“すち”のこと好きになってなかったから……」


「ふふっ、好きになってから我慢きかなくなったんだ?甘えんぼさん♡」

ひまなつのからかいに、いるまが吹き出すように笑う。


「わ〜、それ初耳。可愛すぎるだろ」


すると、すちが少し驚いたように、みことの方を見て真っ直ぐに聞く。


「えっ、そうなの? 俺、知らなかった……」


その純粋な反応に、みことは急に恥ずかしさがこみ上げてきて、顔を真っ赤に染めて目を逸らす。


「う、うん……自分でも気づいてなかった……けど……」


そんな様子を見ていたこさめが、優しく微笑んで言った。


「ふふ、飲んでないのに……ほんと、飲んだみたいに赤いよ、みこちゃん」


メンバーの笑い声とあたたかな空気がふわっと広がる。

すちは照れてうつむくみことの肩に手を添えて、そっと呟いた。


「……今日は帰ったら、いっぱい甘えていいから」


その言葉に、みことの顔はますます真っ赤になり、テーブルに隠れるようにして小さな声で「……ばか……」と返すのだった。



___




ふと手元に視線を落としたみことの目に、いるまの左手の薬指に光るゴツめのシルバーリングが映る。

その隣に座るなつの指にも、まったく同じデザインのリングが。


「わっ……いるまくんとなつくん、指輪……おそろい?」


みことが驚き混じりに声をあげると、なつは得意げに微笑み、リングをくるりと回して見せた。


「でしょ。シンプルだけど、ちょっと主張強めなやつ選んでみたんだ~。俺らっぽいからさ」


「まあ……お前と一緒だからつけてるって感じ。お前が選んだのだしな」


照れくさそうに言う姿に、みことはぽわっと頬を染める。


すると、今度は向かい側の席でさりげなくグラスを持ち上げたこさめの細い指にも、キラリと輝く細めのリングが。


「……え、こさめちゃんも?」


こさめは小さく笑い、隣のらんと目を合わせる。

らんの指にも、まったく同じ形のリングが優しく光っていた。


「俺たちはちょっと華奢めのデザイン。こっそりおそろい、って感じかな」


らんは照れ隠しのように頬をかきながら、


「リングとかつけ慣れないけど、こさめが勧めてくれて……今はけっこう気に入ってる」


「素敵……」とみことがぽつりと言ったあと、テーブルには小さな拍手が起こった。





こさめがふと、グラスを揺らしながら微笑んだ。


「そういえば……なつくんって、いるまくんのどこが好きなの?」


何気ないようでいて、みんながちょっと聞いてみたかった問い。

一瞬でその場の空気がやわらかく静まる。

ひまなつは「えぇ〜〜急にそういうの恥ずかしいんだけど……」と口元を手で覆い、ちらりといるまの方を見る。


その視線を感じ取ったいるまは、少し困ったように目を細め、それでもどこか嬉しそうな甘い表情を向ける。


ひまなつはその顔に見とれたように目を瞬かせ、頬を染めながら言った。


「……そういうとこ。今みたいな顔、ずるい……でも、ほんとに好きっつーか。優しいのにたまにからかってきたりとか、でもちゃんと見ててくれるし、たまに甘くなるとこが……もうダメ」


ひまなつの言葉に、こさめは「わかる〜〜」と頷き、らんも思わずニヤニヤしてしまう。

そして、その流れに乗ってらんがぽつりと口にした。


「ってかさ、すちもよくそういう顔みことにしてるよね。ちょっと見てらんないくらい甘い顔」


「えっ、俺? そんな顔してる?」


すちは笑いながらも少し動揺したように眉を上げる。

みことは、急に全員の視線が向いてきたことで真っ赤になりながら「し、してる……かも」と小さく頷く。


「だって……朝とか、ふいに優しい顔で見られると、心臓止まりそうになるんやから……」


その言葉に、すちは思わずみことの頭をぽんと撫でて「じゃあ、もっと見せる」と照れ隠しのように言った。


甘くて温かい空気が漂う個室。

カラカラとグラスの音が響く中、誰もが心の奥で「こんな夜がずっと続けばいいのに」と思っていた。



「こさめはらんのどこが好き?」


一瞬の静寂のあと、こさめはぱっと元気いっぱいに答えた。


「全部だよ!いつも甘やかしてくれるけどダメなとこは叱ってくれて、一緒にいて楽しい!」


らんは顔を赤くして、「そんな、普通に照れるじゃん……」と照れ隠しで笑いながら答えた。


周りもそのやり取りにほっこりと笑い、和やかな雰囲気が続いた。





酔いがまわり、店内の空気もすっかり柔らかくなったころ。

ひまなつはぽやんとした表情で、子どものようにいるまの肩に頭を預け、静かにうとうとしはじめる。


「なつ、寝るな〜」

いるまは苦笑しながらも、倒れないようにしっかりと支えていたが、ひまなつは返事もせず、完全に身を委ねてくる。


「……起きる気ないな、これ」


そう呟いたかと思うと、いるまは躊躇なくひまなつの唇にそっと口づけた。

そのまま、舌を差し入れ、やさしく、でもしっかりと絡める。


「んっ…ふ……」


苦しげな吐息がひまなつの喉から漏れ、まどろみの中で目を覚ます。

息が足りず、目に涙をためながら、いるまを見つめる。


「……ん、もう……びっくりした……」


泣きそうな表情のまま、ひまなつは甘えるようにいるまの胸に顔をうずめた。

そんなひまなつを優しく抱きしめながら、いるまはちょっとだけ申し訳なさそうに笑う。


周りのメンバーは少し遠巻きに見守りつつ、ニヤニヤと微笑ましい様子を楽しんでいた。






酔いがまわったらんは、こさめをそっと引き寄せると、そのまま耳元で真顔のまま囁く。


「……ほんと、世界一可愛い。まじで奇跡レベル」


「……はいはい、酔ってる酔ってる」


呆れたような口ぶりながら、こさめもその腕の中に自然と身を預けて、まんざらでもない表情を浮かべる。

こさめは、らんのこういう“甘々モード”にすっかり慣れているようだった。


そんな様子を見ながら、唯一シラフで炭酸を飲んでいたみことは、ぽっと顔を赤らめる。

周囲の甘いムードと、らんやひまなつの酔い方に目を丸くしつつ、


(……俺も酔ったらこんな感じ……なんやろか……)


と、自分の“甘えんぼスイッチ”が入った時の記憶を思い出して、さらに顔が熱くなる。


その様子をちらっと見たいるまが、ニヤリと悪戯っぽく言う。


「なあ、すち。みことも赤くなってるし、我慢せんで今ここで意地悪してええんやで?」


からかうような調子に、場がどっと沸く。


だがすちは、みことの方へ優しく目をやると、静かにグラスを置き、涼しげに、そして少しだけ艶っぽく返す。


「……大丈夫。家帰ったら、めちゃくちゃにするから」


その言葉に、一瞬場が静まり返ったあと──


「うわぁ……」「さらっとすごいこと言った……」

「えっろ……」


と、騒がしく盛り上がるテーブル。

みことは耳まで真っ赤になり、テーブルに突っ伏して小さな声で「もう無理……」と呟いた。


すちはその背中をそっと撫でながら、口元だけで小さく笑っていた。




飲み会も無事お開きとなり、夜風が頬を撫でる中、2人は寄り添いながら帰路についた。


帰り道、静かな歩道に靴音だけが響く。

すちは何も言わず、みことの手をしっかりと握っている。

みことはというと、家に近づくにつれて妙に意識してしまっていた。


(……さっきの「めちゃくちゃにするから」って……冗談、だよね……?)


けど、すちのあの真顔と静かなトーンを思い出すと、どうにも冗談とは思えない。

それどころか、どんどん胸が高鳴ってくる。


(でも……あんなに人前で堂々と言うなんて、いつも以上に……本気っぽかったし……)


家の鍵を開ける手も、いつもよりぎこちない。

中に入ると、すちは靴を脱ぎながらふとみことを見る。


「……緊張してる?」


ドキリとして、みことは一瞬固まる。


「え……いや……その……ちょっとだけ……」


正直すぎる返答に、すちは微笑んだ。そして、優しく髪に触れる。


「冗談っぽく言ったけど……今日の俺、ちょっと意地悪かもよ?」


その一言に、みことの顔が一気に赤く染まり、喉がきゅっと鳴った。


すちはいつものように急がず、みことを抱き寄せ、耳元で囁く。


「……でも、怖いことはしない。緊張するなら、やめとく?」


「……やだ。大丈夫……俺、ちゃんと……受け止めたい」


その言葉に、すちは穏やかに目を細め、静かに唇を重ねる。


まるで、今夜は言葉よりも確かめ合うためのものだと伝えるように──。


──こうして、玄関のドアが静かに閉じられた夜、

灯りの落ちた部屋の中で、また新たな温もりが重なっていった。


部屋に戻り、夜の静けさが2人を包む中、すちはベッドに座ったまま、みことの手をそっと握った。


「……やっぱり、怖いことしてもいい?」


低く囁くような声に、みことの心臓が跳ねる。けれど、その瞳にはいつものように優しさが滲んでいた。


みことは一瞬目を伏せるが、すぐにすちの目をまっすぐ見て、小さく首を横に振った。

「怖いのは……やだ。でも……」

一呼吸おいてから、顔を赤くしながらも、真剣な声で言う。

「すちになら、なんでもしてほしいって思う。俺、すちのものだから……」


その言葉に、すちは驚いたように瞬きをし、すぐに笑みを浮かべる。

「みこと、ほんとに……可愛すぎる」

そっと額を寄せ、唇を重ねる。強くも優しくもない、深い想いを確かめるようなキスだった。


「怖いって思わせないようにする。……なるべく」

すちの声は少しだけ掠れていた。胸の奥で膨らむ想いが抑えきれなかった。


みことは微笑み、そっとすちの胸に顔を埋める。

「うん、ありがとう。……俺、すちに全部任せるから」


2人の間にあるのは、ただの甘さだけじゃない。信じ合っているからこそ、踏み込める心の距離。

その夜は、互いを大切に包み込みながら、静かに過ぎていった──。




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