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本当に……情けない。
「忘れたくて勉強に集中しても全然無理。何をしてても頭の中にあの人がいて。どんどん好きになっていくんだ。でも、どんなに思ってもどうにもならない」
「そんな女、さっさと忘れちゃえばいいじゃない! 希良君の良さをわからないなんて最低だよ」
亜美は必死に言った。
ちょっと……泣いてる?
「あの人が選んだ人は、最高に素晴らしい男性なんだ。死ぬほどカッコよくて、お金持ちで、スタイルもモデルみたいに良くて……挙げたらキリがない。僕なんか足元にも及ばないよ。亜美も見ればわかるから、誰だって好きになる。わかってるんだ、敵わないんだから早く忘れないとダメだって」
「そんな人好きにならないよ! だって私、こんなに希良君が好きだから」
「……」
何も言えない自分がいた。
「じゃあさ、希良君はずっとその人のこと引きずって生きるつもりなの? 希良君には夢があるじゃん。先生になるんでしょ? ウジウジ引きずって、それも諦めるの? 私だったら側にいて支えてあげられるよ。一緒にいて夢を応援したいよ」
亜美……
「僕の夢……もちろん諦めるつもりはなかったけど、確かにフラフラして中途半端になってたと思う。亜美に言われて、ちょっと目が覚めたかもな……」
「希良君……」
「でも、亜美は、僕を過大評価し過ぎなんだ。僕なんかに関わっても、どうしてあげることもできない。亜美のことは大切な友達だと思ってる。お前なら必ず他にも幸せになる道がたくさんあるから。だから、自分の幸せをちゃんと考えて」
「私の幸せは希良君の彼女になることなのに。そんなこと言うのってひどいよ。本当に……ひどい!! 希良君のバカ!」
亜美は、走ってどこかにいってしまった。
心が……痛かった。
僕が雫さんに同じこと言われたら……きっとつらい。
絶対に、すぐに忘れることなんかできない。
それでも亜美にはちゃんと幸せになってもらいたい、ずっと一緒に勉強頑張ってきて、励まし合ったり支え合ったりできる友達だから。
その気持ちに嘘はないんだ。
俺は、光平のところに戻った。
「亜美にまた告られた?」
小声で聞かれた。
僕はうなづいて答えた。
「あいつ、あきらめないだろうな。お前のこと本気だからさ」
「ちゃんと好きな人がいるって言った。だから……」
「でもなぁ、亜美はしつこいからな。まあ、お前よりイケメンが現れてくれることを祈るしかないな。ところでさ、希良の好きな人ってどんな人? お前がそこまで好きになる女性、1度会ってみたいな」
光平の言葉を聞いて思った。
雫さんに……会いたいって。
1人で行く勇気はなかったけど、光平と一緒なら……
「光平さ、お腹空いたよな? ちょっと行こう」
「お、おい。待てよ」
慌てて片付けて、席を立つ。
図書館を出て、僕達は『杏』に向かった。
自動ドアを入る。
少し、胸が高鳴る。
ドキドキ……してる。
店内は、4時を回ってるせいかお客さんはまばらだった。