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「俺と准は中学から勉強ばっかしてた。家の為、自分の為って分かっちゃいるけど、正直つまんない毎日だったよ。……准も今日来れたら良かったね。今はもう一人暮らししてるんだけど」

一人暮らし。

涼は身を乗り出した。

「良いなぁ、かっこいい」

「俺ももうすぐするつもりだよ。君も高校卒業したら一人暮らししても良いんじゃないかな」

「でも、まだ全然想像つかなくて」

親に頼らなきゃとても生きてけないのに。仮に就職しても、ひとりで生きていけるんだろうか。不安に駆られる涼の頭を、創はまた優しく撫でた。


「そんな暗くなんないでよ。嫌ならしなきゃいい。好きな所で暮らすのが一番なんだから」


好きな地で暮らす。それは確かに良いことだ。というよりも、幸せなこと。

家……。

俺は、どこが良いんだろう。居心地の良い場所が見つかるだろうか。


「それよりさ、成哉君。ここからでも、充分綺麗に星が見えるね」

「あ、はい。雲さえなければ、夜中が一番綺麗に見えますよ」

「良いねー。准は全然話さないから忘れてるかもしれないけど……俺、あの夜のことすごい覚えてるんだ。本当に、忘れられない夜だった。君と見に行ったことも、すごい大事な思い出だよ」


……!

開け放した窓から、涼しい夜風が吹き込む。忘れられない、大事な思い出。そう言われた事がとても印象的だった。


「俺も……創さん、俺また……准さんと三人で、星を見に行きたいです!」

「そうだね。いつか行こうね」


そう言って彼は微笑み返した。その笑顔に嬉しくなったけど……“いつか”は、いつ来るんだろう。


創が東京に戻った後も、涼は考え続けた。何故だかちょっと不安になって。本当に彼らとまた会えるのか。そんな事を心配しながら思いを馳せた。

自分はずっと、生まれ育ったこの町で一生を過ごすんだろう。なら彼らがここへ来るか、自分から向こうに会いに行くしかない。そもそも県外へ出ること自体、旅行以外じゃ滅多にない。

知らない場所へ行くのはワクワクするけど、同時に心細さも大きかった。

自分ならどこにいるのが良いんだろう? 居心地の良い場所が、この町以外に見つかるだろうか。

そもそもそこへ行けるんだろうか。

自分の居場所について、思い出したようによく考えた。それでも時間は悠々と流れ、一年、二年と。


創のことも、彼の従兄弟のことも、……思い出す機会は減っていった。



ファナティック・フレンド

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