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〈nakamu視点〉
「きんとき明日暇?」
この文を送るだけですでに10分以上は経過してる。
打っては消して、また書き直してできたのはなんの変哲もない簡素な文。
送れたことに安堵しているとすぐに既読がつく。
「暇だよ」
その一言に心が弾む。
「まじ!見たい映画あったんだけど、一緒に観に行かない?」
「いいね、面白そう!待ち合わせは?昼ぐらい?」
「 うん!駅前で待ち合わせね!」
「了解ー」
トーク画面を消してスマホの電源を落とす。
真っ暗な液晶画面にはニヤニヤと間抜けな顔をした自分の顔。
こんな小さなことでどうしようもなく嬉しくなる自分に我ながら苦笑する。
でも、好きな人とのお出かけ、それも二人きりで。これはもうデートでは!?なんて思い上がるのもしょうがないと思う。
初対面は高校で同じクラスになったとき。
初めて会ったとき、その深い藍色透き通った瞳に吸い込まれた。
誰とでも話すけどどこか壁がある。
そんな印象の彼と少しでも仲良くなりたくて毎日話しかけたり、ことあるごとにきんときに絡みまくった。
そんな努力が報われたのか、隣を見るときんときが居る。そんな関係になっていた。
最初の頃のような他人行儀でよそよそしい感じはなくなり、初めてあっちから遊びの誘いが来た時は嬉しすぎて変な呻き声をあげたぐらいだ。
そのせいで、たまたま隣にいたきりやんに変な目で見られたけど。
この頃から、今まで知らなかったきんときが見えてくるようになった。
爽やかな見た目をしているのに意外と体育系なとことか、困ってる人を放って置けないとことか。
なにより春の陽だまりを連想するような、あの優しい笑顔。
あれは国宝級だと思う。
あの優しい笑顔を自分に向けてくれるとき、あの透き通るような瞳に自分が映ってるときどうしようもなく胸が締め付けられる。
段々と友情から違うものに変化していく自分の気持ちに戸惑いはした。
でも、この気持ちがなんなのかわからないほど俺は初心でもない。
勘のいい友人にはすぐに見抜かれ、伝えないと後悔するぞ、なんてありがたい助言をもらったが、、
正直この関係は居心地がいい。彼の親友でいる限り一番近くに居れる。
そりゃあ、欲を言えば恋人として彼の隣に立ちたい。 当たり前だ。
でもこの関係を崩すのが怖い。
もしも俺にもう少し勇気があれば、、俺が女の子だったら、そんなことを考えたのは一度や二度じゃない。
だけど、残念なことに俺は正真正銘男だし、きんときから見ると大事な親友だろう。
それに、振られて関係が気まずくなったら立ち直れる自信なんてあるわけない。
少なくとも一ヶ月は寝込む。
ましてや、優しい彼のことだ。
俺が傷つかないように、自分のことを二の次で告白を無理やり受けるなんてことがあったら…。
そんなこと考えたくもないけど。
だからこの気持ちはしまっておく。
俺はきんときが幸せになってくれればそれでいい。それだけでいいんだ。
でも、もし許されるなら。彼に好きな人ができるまでは…それまでは、彼の隣を独占したい。
そう思ってしまうのは我儘だろうか。
next…