「ぐぅ…うっ、グス…こんなのあんまりだ…」
2月の下旬。
季節外れの寒さが続く日のもと、高校生の柊奏多は自室にて咽び泣いていた。
泣く理由は志望校に不合格になった、だとか身内に不幸があったなど大層なものではない。
ただ殿堂発表があっただけだ。
「なんで持ってるデッキ全部が殿堂の影響喰らってんだよ!!ふざけんなよ!!!」
そこには持っているデッキが全て規制され、四肢欠損となった新米DMPの哀れな姿があった。
殿堂発表
その言葉を聞けば、あるものは悲しみや寂しさまたは感謝を覚え、Twitterで労いのメッセージを投稿したりする。
あるものは喜びのあまりスレに集まり、絶対アイツは逝ったなと同調を集めようとしたりする。
殿堂 それはあまりに強力すぎるがあまりデッキに1枚しか入れられない規制をかけられる名誉の称号。
簡単にいえば公式のミスや手違い、バクなどで産まれたバカカードを冥界送りにして無理やり環境を一新させるというウィザーズのマーケティング戦略である。
殿堂する要因というのは、様々だが基本的には環境トップにいるデッキの弱体化をするためにそのデッキのキーカードを殿堂させるというのが一般的だ。
しかし、環境トップのデッキを規制するとなると当たり前だがそのデッキを持っていた多くの人はデッキの弱体化、またデッキが崩壊しデッキを泣く泣く崩さないといけないという被害がでる…その故
「返せよっぉ!俺のバルピアとコンプとゼーロとマーシャルループを!!」
こういう人間が産まれてしまうという訳だ。
ちなみにこの柊という男、2ヶ月前に友人に勧められいきなり強いデッキを購入し、デュエマにどハマりし、友人のアドバイスの元、ファイアーバード、青黒コンプレックス、黒単ゼーロ、マーシャルループを購入していた。
殿堂発表の存在を知ったのはその1ヶ月だったのだが…
「おかしいだろッ…返せよ俺のデッキを!少なくとも俺の金は返せよッーー!」
全てを失った虚しい敗北者の声がボロ屋の壁を揺らす
その時
「そこの君ッ!! 」
「うわっ!?」
家の天井を破って何がが現れた
「乾きにかわいているな!さぁ我が口から迸るヒーローソーダをお飲み!!」
「変態だァァァァァァアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
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「えぇ〜っと、つまりタンサンマンさんは乾きにかわいている俺を見て、そのヒーローソーダを飲ませたくてクリーチャーワールドから出てきたという設定の変質者ってことであってますかね?」
「最後は違うが、まぁだいたいそんな感じだ!あとタンサンマンでいいぞ!」
「最早どうでもいいんですけど、この屋根どうしてくれるんすか?さっきから風が入り込んで寒いんすけど」
「まぁ落ち着け!とりあえず私の口から迸るヒーローソーダをっグワッ!?」
「やっかましいわ!どうすんだ変態!!ウチは賃貸だぞ!これで家追い出されて、修理費出されたらどうすんだボケェ!!! 」
あれから数十分後、俺は目の前の仮面変態を正座させていた。
周りに散らばる瓦を見ればわかる通り、こいつの罪はあまりに重すぎるし、説明させても意味が分からなかった
「いきなりボディブローとは手荒い歓迎だな若者よ」
「歓迎してねぇよ、逆だわ逆」
「フム…疲れた顔をしているな若者よ、これは私の口から迸るヒーローソーダをォ!?」
「誰のせいだァァ!!」ギリギリ
俺は目の前うわ言仮面変態をアイアンクローで無理やり黙らせた
目の前の変態が頭を抑えて蹲る
「痛いな、若者よ!私の体内に迸る炭酸エネルギーが無ければ今頃頭蓋が凹んでいたぞ」
「凹んどけや変態」
「ハッハッハ!手厳しいな、まぁ少し話をさせてくれないか!」
「えぇ、警察の後じゃだめ?」
「そうなれば次話すのは法廷になるじゃないか!」
「やばいことしたって自覚はあんのな…まぁいい話せ」
今まで俺の質問攻めだったし、少しは語らせてみよう
「感謝するぞ若者よ!…若者、君はデュエマをしているな?」
「まぁ、始めたばっかだけど、やってるな」
⇡ほぼやってないと同義
「そして君のそのこの世の全てに絶望したようなつまらないしけた顔を見るに、この前の殿堂発表で自分のデッキが全部轢き殺された、そんなことがあったのだろう!」
「お、おう…」
物言いはムカつくが、言っていることが全て真実なだけに驚愕する
こいつ、ただの変態じゃねぇのか…?
「そこで私から提案をさせて貰おう!!」
ごクリと息を呑んだ
「殿堂入りしたカードを共に連れ戻しにいかないか!」
「なっ、何ィぃーー!!?」
背後にピシャッと、稲妻が見えた気がした
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察しの通り作成時間20分もないです
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