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第15話、読み終わりましたよ。 「沈んだ宝」というタイトルが、まさに穏やかでノスタルジックな雰囲気を醸していて、とても好きです。 レオンたちが錆びついた鉄の塊に「何かあるかもしれない」と直感したところに、この世界の深みや歴史が宿っているように感じました。 アクセルが自然に手伝い、クルミの父親が戦車を直せるかもしれないという流れも、登場人物同士の距離感が丁寧で、胸が温かくなりました。 このエピソードだけで完結しているように読めるので、次の話がすごく気になります!
次の朝、まだ陽が登って間もない頃のことだった。港の近くの海に、苔や錆に覆われた鉄屑のようなものが沈んでいるというのだ。
住民の何人かが漁船と網で引き上げようとしたが、かなり重かったらしく、クレーンまで動員することになった。
引き上げられたそれは、海藻や苔に覆われて錆びついた鉄の塊だった。元の形が見えないほどに大量の藻がそれを包み込んでいた。
ロッコの町民たちは、それに興味を持って競売を始めた。しかし、いざ始まってみれば皆口々に「何に使えるかも分からないし要らない」という反応を見せた。
レオン「…ずっと沈んでいたのに、何かまだ原型が残ってる気がする。錆と苔を落としたら、何が見えるんだろう…」
レオンもまた、それに対して興味を示した。競売価格は現在8000円程度。ほとんどの町民が購入に対しては消極的で、残った一部の者も興味本位での入札のようだった。
レオン「1万円で。」
司会「1万円出ました!他の方、ありませんか?レオンさんで決定いたしますよ?」
レオンはそれに対して興味を捨てきれず、少し手痛い出費ながらもその鉄屑を購入した。
そこに、少し寝坊しつつも今起きたばかりというアクセルが通りかかった。
アクセル「レオン、早いな。」
レオン「…おはよう。今日は涼しいな。」
今日の最高気温は23℃という予報。この世界ではテレビの放送など勿論無いが、新聞や占いなどでその日の天気や気温の情報を広める文化はあった。
初夏の涼しげな風に、レオンの髪が靡いている。レオンの右手にはスポンジとスクレーパーが握られていた。
アクセル「こんな錆だらけのを直すのか?」
レオン「うん。気になって…」
アクセル「よしっ。俺っちも付き合うぜ!紙やすりと研磨剤なら、工具箱に入ってるしな。」
外装にこびりついた苔はスクレーパーで削ぎ落とし、錆は研磨剤と紙やすりで根気強く擦る。
アクセルの着ているツナギが茶色い錆と苔で汚れ、レオンは途中から靴を脱いで脇によけて作業を続けた。
6時間以上経った頃だろうか。ジリジリと照りつける西陽から察するに、今は午後3時半頃だろうか?
アクセル「こりゃ…なんだ…?」
レオン「キャタピラがついてる。なら…戦車なのかな。砲塔も砲身もずいぶん小さいけど…」
カーキの塗装がされた小さな車体。そして、短く小さい砲身が装備された砲塔。砲塔の横側には、旭日旗のマークが入った金属製プレートが貼り付けられている。
レオン「修理すれば使えるのかな…?」
アクセル「いや…エンジンとか全部、塩害でボロボロになってるかもな。しっかりした技術者を探さないことには…」
2人は若干諦めかけていた。これだけ時間をかけて、外側だけでもようやく綺麗にした後なのに。しかし、塩害でエンジンがダメになっていたらどうしようもないのだ。アクセルの手元にある道具だけで解決する問題でもない。
クルミ「…あの。私の実家…ここにあるんだ。あの…モーターボートの修理屋さん。…もしかしたら…直せるかも。」
レオンはほんの僅かに動揺した。
ここが、クルミの故郷の街。
たったそれだけなのに。
レオン「…ここに、クルミの…生まれ育った家が…」
クルミ「うん。…お父さんなら、もしかしたら…その戦車、直せるかも…!」
レオン「…ありがとう。えーっと…道案内お願いしても…いい…?」
クルミ「うん!えっと…こっちだよ!」
その錆びついた車体を、近隣住民が所有するレッカー車2台を借りてそこまで運んだ。少し値が張ったが、僅かな希望に賭けたかった。