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# 02 . 共有仲間
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青「 …新しい子、ですか… 」
先生「 うん、そうだよ 」
「 この子も君と同じで虐めにあってたんだ 」
青「 そう、ですか… 」
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僕は初対面の人が苦手だ
第一印象を覗きたくなくても、
覗いてしまうから、毎回落ち込む
逆に第一印象が良いと思ってくれる人とは
今も仲良くできるし、仲良くしたい。
だから、期待もあれば
不安の方が大きいまである
でも少し、楽しみな気持ちもある
ほんと、自分でも面倒くさいと思ってる
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青「 今日、ですよね… 」
先生「 うん 」
「 大丈夫、良い子だから 」
青「 良い子…か 」
そう印象の人ほど、僕のことを知ったら
軽蔑してくることがある
でも同じ虐めを受けた人ならきっと
僕のことも分かってくれるかもしれない
何より、能力は隠し通せばいい話だ
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青「 …ぁ、っ… 」
×「 …初めまして… 」
青「 初め…まして…? 」
僕の目の前に立っている子の頭に浮かんだのは
驚きと動揺、並びに安心感だった
青「 …… 」
そして何より、僕の能力じゃなくて
直感が異質な感じと認識してるし
僕の中でざわついてる
先生「 紹介するね 」
「 この子の名前は[ 一ノ瀬 赤 ]くん 」
「 青くんと同い年だよ 」
青「 …そう、ですか… 」
特有の人見知りも発動しちゃってる
これは普通に僕の性質だから
どうしようも無い。赤くん、ほんとごめんね。
赤「 …よろしく、… 」
青「 あ、うん…。よろしく 」
握手の手を差し伸べてきたから
その手を取って握手する
赤「 …え、っと…名前は、? 」
青「 …ぁ、僕の名前は[ 河野 青 ]です… 」
文の始まりに「 あ 」付けちゃうとか
僕ほんと陰キャ過ぎ
これは何とかしないとな、
赤「 …後で色々話そ、笑 」
さっきまで表情が強ばってたのに
急に柔らかくなった
笑った顔の方がいいな。
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先生「 あ、そうだ。先生は次の時間、職員会議があるから初対面で二人きりだけど大丈夫? 」
青「 僕は大丈夫です 」
赤「 俺もで〜す 」
意外と気楽な人なのかな
いや!僕と違ってコミュ力があるんでしょ!!
僕がコミュ力無い陰キャなだけ!!
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赤「 …ねぇ、青くん 」
青「 青でいいよ? 」
赤「 じゃあニックネームで青ちゃん 」
青「 どうぞ、笑 」
僕も自然と笑顔が出てくる
初対面の人の前で笑ったことなんて
久々というか初めてかも
赤「 …いきなり、なんだけど… 」
「 青ちゃんって人の心とか頭見てるでしょ 」
僕の中で何かが揺らいだ
さっき持った異質感がもっとざわついた
青「 …見てるというか覗いてしまってる 」
でも何故か、話していいと思えた
赤「 …青ちゃんも能力者だったんだ笑 」
「 俺と同じだね笑 」
「 俺と同じ 」って、赤くんも
僕と同じか、違う能力者ってこと…?
僕以外にも、居たんだ
そう思うだけでも胸がスっと軽くなる
青「 赤くんも、人の心を覗いちゃうの? 」
赤「 …俺は見えるんだよね 」
「 相手の見てる世界…というか… 」
青「 つまり、人の感覚が分かるってこと? 」
赤「 …そんな感じ、笑 」
目を伏せて眉を八の字にして笑った
僕が覗いてしまった赤くんの心は
仮面を取った赤くんが笑っていた
青「 僕は覗けて、君は見えるんだ… 」
「 …僕らは運命なのかもね、笑 」
僕は嬉しくて、冷静になれば
めちゃ恥ずかしいことを呟いていた
赤「 …運命?笑 」
赤くんは鼻で笑った
あんなこと聞いたら僕も鼻で笑う
青「 能力のせいで似たような環境になって、人に虐げられてきた 」
「 けどここで境遇者にあって笑い合える未来があるかもしれないことに気づく。なんてさ 」
赤「 …そうだね、笑 」
赤くんはまた笑ったけど、
さっきとは違う笑いだった
言葉で表すには難し過ぎる表情をしてた
けどその笑顔おかげで僕の胸は
暖かくなって軽くなったのは事実で
その後の僕から出た笑顔も感情も
久々に心の底からの笑顔だったと思う
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暗雲が立ち込めたと思ったのに、
それは暗雲じゃなくて、晴朗だった
出来たのは、仲間とも呼べる存在で
同じような人生を歩んできた人
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赤「 青ちゃんはさ、 」
「 ギフテッドとか、信じる? 」
青「 信じるよ笑 」
「 実際にある先天性なものだし 」
赤「 俺がそれだって言ったらどうする、? 」
僕はふと赤くんの顔を見てしまった
それと同時に赤くんの心を
また、許可無く覗いてしまった
けどその心の中の赤くんは怖がっていた
青「 怖がらなくても平気だよ、笑 」
赤「 …ありがとう、笑 」
僕が笑ったら、赤くんも笑った
少しは安心させられたようで良かった
赤「 青ちゃんは何か…持ってるの? 」
青「 何か、って…障害とかってこと? 」
赤「 …うん、… 」
また不安な表情に戻っちゃった
僕は平気なのに
青「 僕はサヴァン症候群 」
「 知的じゃなくて精神疾患の方だけど笑 」
赤「 そっか、 」
「 お互い大変なんだね、笑 」
今度は不安そうな表情にならなかった
僕が笑った、からかな
青「 赤くんはギフテッドって言ってたけど 」
「 IQ系?芸術系? 」
赤「 両方、って言われた 」
「 頭も、芸術も、ずば抜けてるんだって 」
青「 …そう、なんだ 」
「 羨ましいな、笑 」
僕は頭はともかく、
絵とかの芸術は壊滅的だからなぁ
赤「 そうかな、?笑 」
青「 そうでしょ笑 」
赤「 俺はこの学校に秀才や天才がいる 」
「 って聞いたから転入先に選んだよ 」
青「 なんで? 」
赤「 高得点とか賞とか取っても、あんまり目立たないと思って 」
青「 大変なんだね… 」
赤「 さっきは羨ましいとか言ってたのに笑 」
僕もだけど、たぶん赤くんも
目立ったりしたら能力のことが
周りにバレたりするから
目立ちたくないんだと思う
僕も運動能力のことで目立っちゃって
そのせいでバレたことがある
それからは人前で運動に手を抜くようになった
青「 というか、秀才とか天才だらけだったんだ… 」
赤「 生徒なのに知らなかったの?笑 」
少し呆れてるように見える
まぁ生徒なのに知らなかったら
そりゃそうだよね
青「 この教室から出ないからさ、笑 」
赤「 そっか、人が怖いのか。ごめん 」
まぁそれに関しては別に気にしてないけど
間違えないで欲しいことがある
青「 …人の闇が見えるのが怖いんだ 」
「 人が怖いんじゃないよ 」
赤「 そっか。そうだよね 」
「 俺も同じ境遇なのにわかってなかった 」
青「 感覚なんて人それぞれだし、そこまで気にしてないよ笑 」
割とマジで悲しそうな表情するから
こっちが申し訳なくなってきた
ってか、
青「 …天才とか秀才ってどんな人がいるんだろ… 」
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「 ピアノ上手だね! 」
「 羨ましい笑 」
×「 …ありがとう…笑 」
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×「 ピアノが上手くたって、音楽が出来たって…良いことなんてッ゙… 」
「 無い、のに゙… 」
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コメント
1件
赤くんは見えて、青くんは覗ける、似た者同士で良かったね