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初めての買い出し
朝。
小さなキッチンに、香ばしい匂いが広がっていた。
「……焦げてる……」
フライパンを見つめて、×××がぽつり。
卵焼き。
……黒い。
「いや、それ炭だろ。」
後ろからキルアが突っ込む。
「……難しい……」
「貸せ。」
フライパンを取り上げる。
手際よく作り直す。
「ほら。」
「……すご……」
「当たり前。」
ドヤ顔。
現在。
×××は、キルアたちと一緒に小さな家で暮らしていた。
任務の合間の拠点。
――ほぼ同居。
ゴンは床でストレッチ。
「ねえねえ!今日さ、街行こうよ!」
「賛成だ。」
クラピカも資料を閉じる。
レオリオは新聞を畳む。
「買い出し必要だしな。」
×××は、少し不安そう。
「……人……多い……?」
キルアはすぐ答える。
「俺がついてる。」
即答。
距離、ゼロ。
ゴンがニヤニヤ。
「はいはい〜。」
キルアが睨む。
「黙れ。」
街は、賑やかだった。
露店。
子どもの笑い声。
平和。
×××は、少し緊張してキルアの袖を掴む。
キルアは、何も言わず手を繋いだ。
「……はぐれんな。」
「……うん……」
それだけで、安心する。
露店でアクセサリーを見る×××。
「……きれい……」
店主が笑う。
「お嬢ちゃん、似合うよ。」
キルアの眉がピクッ。
「……それ、俺が買う。」
「え……?」
即決。
「いらねぇ客寄せ。」
店主「???」
×××は小声。
「……独占欲……強い……」
「悪いかよ。」
耳赤い。
ゴン爆笑。
「キルア、完全に彼氏じゃん!」
「ちげー!!」
否定が弱い。
その夜。
家に戻って、夕食後。
×××は、一人でベランダに出ていた。
夜風。
星。
静か。
……でも。
胸が、ざわつく。
過去の記憶が、ふと蘇る。
血。
命令。
裏切り。
(……私……ここに……いていいのかな……)
そのとき。
背後から、毛布がかけられる。
「……寒いだろ。」
キルア。
「……キルア……」
横に座る。
肩が触れる。
「……考え事?」
「……うん……ちょっと……」
キルアは、黙って聞く。
×××は、ゆっくり話す。
「……私……前……たくさん……人……傷つけた……」
「……忘れちゃ……ダメだって……思う……」
「……でも……苦しい……」
キルアは、しばらく黙ってから言う。
「……忘れなくていい。」
「……でも……縛られるな。」
「……これから……どう生きるかの方が……大事だ。」
×××は、目を見開く。
「……そんな……簡単に……」
「簡単じゃねぇ。」
苦笑。
「……だから……俺が隣にいる。」
そっと、額を寄せる。
「……逃げんなよ。」
×××の目から、涙。
「……ありがとう……」
キルアは、少し照れて視線を逸らす。
「……別に……」
でも。
手は、離さなかった。
この夜。
×××は、久しぶりに――
夢を見なかった。
to be continued…