妊娠 / 黒尾鉄朗
最近、🌸の様子がおかしい。夜のお誘いは全部断られるし『あんまりくっつかないで 』と言われる始末。何かしでかしたか心配になって早めに🌸に聞くことにした。「なァ、俺🌸に何かした?」俺がそう聞くと🌸は気まずそうな顔をしながら俺から顔を背けた。きっと何か隠してるに違いない。『何もしてないよ』背中でそう答えられた。少し苛立ちを感じながらも隠されてることに胸が痛む。「なぁ、俺ってそんな頼りない?」気づけばそんな言葉が俺の方から溢れていた。「彼氏なんだからさ、もう少し頼ってくれてもいいんじゃねぇの」🌸の肩を掴み無理矢理こちらへ向かせた。🌸の瞳には涙が溜まっていて🌸が瞬きをすると同時にその雫は一気に流れた。「…どうした、何があった」優しく怖がらせないように🌸に聞いた。🌸は口をパクパクさせながら一文字ずつか弱い声で俺に話した。『…妊娠、しちゃったの』その言葉は🌸の大粒の雫と一緒にボソリと溢れでた。「…は」高校3年生での妊娠。辛いに決まってる、全部俺のせいだ。『ごめんなさいごめんなさい』🌸はごめんなさいを繰り返し膝から崩れ落ちた。「待って、ごめん全部俺のせいだ」ゴムに穴が会いていた?だとしたら激しくしすぎた俺のせいだ。高3で妊娠なんて不安でいっぱいに決まってる。「🌸は…産みたい?」これだけは確認しときたかった。🌸を抱きしめてソファに座らせる。『…私は…産みたい、けど…』不安だよな、怖いよな。「🌸が産みたいなら俺だって手伝う。病院調べてもう一回検査しに行こう」俺なりの精一杯の声かけだった。『…うんっ』🌸の目からまた大粒の雫が零れ落ちた。俺はその大粒の涙を拭き取り「俺が絶対2人とも守るから」と誓い🌸の小さな身体を抱きしめた。
重い愛 / 二口堅治
『何で私以外の女の子と仲良くするの?』そう🌸に問い詰められたのは部活が偶然OFFで一緒に帰った帰り道。「は?何だよ急に」『堅治は私だけ見てればいいじゃん』拗ねてように吐き捨てる毒のような言葉でさえも可愛くて嬉しくて仕方なかった。「俺は全員と仲良くしてぇの」とわざと🌸に向かって言った。煽れば煽るほど🌸は俺に執着する。離れなくなる。『…は?私以外の女が言いわけ?』🌸は俺にグッと近づき手を繋いでいた手に力が篭っていた。「それは言ってねぇだろ」『言ったも同然でしょ?!』声を荒げ1人で拗ねて怒って狂う🌸は俺の心を満たしてくれる。「俺は🌸しか見てねぇし、他の女なんてどうでもいい」これが俺の本音。正直、🌸以外の女なんて面倒臭いだけだしブスしかいないし。俺を満たしてくれるのはきっと🌸だけだろう。『…本当に?』「うん」『嘘じゃない?』「嘘じゃない」さっきまで沈んでは怒っての繰り返しだった🌸が急に周りに花が咲いたかのように明るくなった。あーなんでこんなに可愛いんだろう。いっそ誰も居ない場所に閉じ込めて一生俺だけと関われる場所に閉じ込めておきたい。そうすれば誰もコイツに触らないし喋れなくなるだろ?『じゃあ…堅治は私だけだね』狂ったような目。「うん。俺はお前だけだしお前だって俺だけだろ?」俺がそう聞くと🌸は大きく頷いて『堅治の為だったら死ねるよ』その一言だけで俺は満たされる。🌸が俺のために自分を傷つけるのも、俺に近づく女を片っ端から消して回ってることも全部知ってる。俺だって🌸に近づく男共は全員消して回ってる。コイツの裏の顔は俺だけが知ってればいい。コイツは俺のモノ誰にも渡すつもりなんて微塵もない。『だいすきだよけんじ』「俺も」冷たい風が俺たちを拒むよう。いいんだ、それで。この世界に俺と🌸以外要らない。全員消して不安の種は全部取り除きたいのに。コイツを見てると虐めたい、俺だけを見て欲しいっていう衝動に狩られるのはそれほど🌸を愛してるって証拠なんだろう。絶対逃してやらない。愛が重くて殺してやりたいほど可愛い俺の恋人は今日も誰かに毒を吐く。
喧嘩 / 孤爪研磨 … ⚠️ 長いです
『いっつもゲームばっかり!私といる時くらいはゲームやめてよ!!』そう言われて頭にきた。彼女の🌸とはそれなりにいい関係を築いて🌸は俺のことを1番わかってると思ってた。「は?俺がゲーム好きって知ってるよね」ゲームのしすぎで寝不足だったのか、日々のストレスなのかわからない。けど、今日の喧嘩はなぜか今まで以上に強い口調になっていた。『知ってるよ!けど…流石に度が過ぎてる!』意味わかんない。知ってるなら一々口出してこないでよそう言いたくなった。🌸のことは好きだし、なるべく喧嘩はしたくなかった。けどこればっかりは🌸が悪い。『お家デートの時だっていっつもゲーム…私の気持ち考えてよ!』「考えてるよ。🌸だってゲーム好きでしょ」俺がやってるのは🌸が好きなゲーム。俺なりに気を遣ってる方。そんなこと言うんだったら一緒にやればいいのに。『私は研磨とゆっく過ごしたいの!』「俺はゲームしたい」🌸の目には涙が溜まっていて今にも溢れ出しそうだ。そしてこの人には何を言ってもダメだと言わんばかりの目で俺を見つめてくる。「ゲームして何が悪いの?俺、縛られるの嫌いなんだけど」違う、こんなこと言いたいんじゃない。「重いよ、🌸。俺たち価値観合わないのかもね」止まってよ俺の口、もう動かないで。我に帰った時にはもう🌸の姿はなくて、やっちゃったと思わずソファーに崩れ落ちた。(ていうか…これ、俺悪いの?)俺の中で言い訳が沢山出てきた。不満だって俺にだってあるし🌸だけ怒るのは違くない。突然、通知が鳴った。クロかなと思いつつ確認すると【別れよう】の文字が並んでいた。「…え?」🌸からの連絡。急すぎて頭が追いつかない。何で?そんなに酷かったの?俺。グルグル考えてるうちにまた🌸からの通知。【もう耐え切れないの、ごめんね】🌸のせいじゃないのに。俺が言いすぎた🌸の気持ちも考えないで勝手に言い訳して。嫌だ別れたくない。俺は咄嗟にスマホをぶん投げて急いで🌸の家向かって走った。多分部活よりも全力で走ってると思う。🌸の家に着いてインターホンを鳴らす。ガチャッとした音と共に🌸が顔を出した。俺を見て驚いた🌸が反射的に扉を閉めようとするけど俺も反射的に扉を掴んで無理矢理開ける。運動が好きじゃない俺でも一応バレー部だ。🌸より力はある。「別れるって何」無意識にその言葉が先に出ていた。『何って…別れようってこと』俺と目も合わせないで素っ気なく答える🌸。もう冷めちゃったのかな呆れた?色んなことで頭がパンクしそう。こんな時どうすればいい?ぐるぐる考えてるうちに🌸は呆れてようにして溜息をつくから俺は咄嗟に「ごめん」と言って🌸を抱きしめた。『な、何…離して!』拒絶されて胸がチクリと痛む。俺がやって自業自得なのに別れて当然なのに別れたくないって我儘だよね。「ごめん、俺すごい🌸を傷つけた」『今更何?』「ごめん俺別れたくない。酷いこと言ったけど🌸のこと大好きだしもう絶対こんなことしないって誓うから」だからお願いって何回も🌸に縋りついた。何分か経ってやっと🌸が口を開いた。『本当に…もうしない?』「うんもうしない約束する」俺は抱きしめている腕に力を込めて🌸を見つめる。『…ラストチャンスだから』やっと目が合った。「うん…ごめん」やっと目合って話せたって1人で浮ついてる。俺ってこんなに🌸のこと好きだったんだ。「ごめん🌸、好きだよ」『私も好き、ていうか大好き!!私もごめんね』あーまじで。「🌸のせいじゃない。愛してるよ🌸」「ずる!…私も愛してるよ」抱きしめていた腕を解いて🌸をジッと見つめる。なるべく優しく傷つけないように俺は🌸の唇に自分の唇を押し付けもう2度と泣かせないと誓った。
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