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「わっ!」
開けた途端、予想外にトモハルが側にいて、向こうも突然カーテンを開けて出てきた私に驚いたらしい。みっともなく後ろからずっこけて尻餅をついた。
「トモちゃん!大丈夫?!」
数人のスタッフが慌てて側へ駆け寄ってくる。
「トモちゃんは本当おっちょこちょいだよねえ。」
「えへへ⋯すみません、心配おかけして___」
地べたに座り込んだまま、へらりと笑うトモハルを、私はしばらく見下ろしていた。
___ふーーーーーん。ドジっ子キャラってワケ?その見た目で天然キャラはキツイんじゃない?
脳内で瞬く間に罵倒の嵐が巻き起こるが、私はお得意のポーカーフェイスを纏って、トモハルに話しかける。
「大丈夫?驚かせてごめんね⋯きみトモハルちゃんだよね?♡ この間の表紙、すっごく素敵だったよ♡」
そう言うと、トモハルの緩んでいた口角は力みながら更に上がり、興奮気味に私の手を握り返してきた。
「わ、わ、わ、わ〜〜?!こ、こだまひ⋯⋯姫守谺、ちゃん、だよね⋯!?わ、本物⋯!!初めまして!トモハルこと。ハルカ燈萌と言います!!会えて光栄です⋯!!か、可愛い⋯!!!!」
表紙なんてなーーーーーーーーーんにも覚えてないけどねーーーーーーー。てか何でこいつちゃん付けなの?さんを付けろさんを⋯。
「__あ、もう大丈夫です!ごめんなさい、お仕事止めちゃって⋯。」
慌ててトモハルが私から手を離し、スタッフに向けてあわあわと手を振る。申し訳無さそうにスタッフ達それぞれに深々とお辞儀をすると、スタッフたちは名残惜しそうにトモハルから離れ、各々の仕事に戻っていった。
⋯⋯⋯へえ
ゆっくりと立ち上がり、丁寧に服をはたいて汚れを落とすトモハルの足先から顔まで、私は何気なく視線を這わせた。日本人離れした彫りの深い顔立ち。透き通るような白い肌。きっと一度も染められたことのない地毛の金髪。それにアクセントとなる明るい朱色の瞳。目新しいもの好きな有象無象であふれる世間様は釘付けになる、か___
⋯生まれ持ったものが違う、ってことね。
胸の奥が、ちくりと嫌な音を立てた。
姿勢を立て直して向き直るトモハルに、私は小首を傾げて嘯く。
「⋯凄くきれいな顔だね♡羨ましいな。」
「えっ、そんな、きょうしゅく、です。」
そう言いながらも喜びを隠しきれないトモハルの顔に、私は思わず眉をひそめたが、すぐにいつもの笑顔に貼り直す。
「現代の日本では、目新しいものは目にかけて貰えるからね⋯でも、〝此処〟って弱肉強食の世界でしょ?刹那的な今の楽しみもいいけど⋯いつ愛想つかれるか分からないじゃない?なんだか、トモハルちゃんって井の中の蛙って感じで見ていて楽しいよ♡」
「⋯」
「⋯ま、そういうこと♡」
私は含み笑いで、トモハルの唖然とした顔を見届けて背を向けてから、踵を返し、髪をなびかせながらしふぉんの待つカーテンへと戻った。⋯ちょっと言い過ぎちゃったかな?(笑) でも、この世のルールを知らない純粋なよそ者ちゃんは、センパイがちゃあんと教えてあげなくちゃね。