テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「いのなかの、かわず⋯?」
颯爽と髪をなびかせて去る谺ちゃんを見届けながら、私は思案に老けていた。
「トモちゃん、ぼーっとしてどうしたの?」
谺ちゃんの後ろ姿の前に、心配そうに近くに居たスタッフさんが視界に割り込む。
井の中⋯井ってwell⋯井戸?
「すみません、かわずってなんですか?」
私は思わずスタッフさんに尋ねた。突然の質問にスタッフさんは目を丸くした。けど、すぐフッと笑って優しく言う。
「かわずって⋯『井の中の蛙』のかわずかな?かわずはカエルのことなんだよ。日本語って難しいよね〜、わかんないよね。」
そういって、スタッフさんは私の方をポンポンと叩く。
すぐ、監督に呼ばれてそのまま去ってしまった。
お礼も言えなかったな__それにしてもカエル⋯って⋯。
「ウチのこの帽子、猫ちゃんの耳なんだけどなあ⋯谺ちゃん、カエルと間違えちゃったのかなあ⋯。」
「こっちゃん、おかえり。トモハルちゃんにちゃんと挨拶できた?」
楽屋に戻ると、アスナが紅茶を飲みながら声を掛けてきた。
私は返事の代わりにふふんと息を漏らして、満面の笑みを浮かべた。
それを見るなりアスナは、全身の力が抜けたように大きなため息を吐きながら言う。
「⋯⋯こっちゃん、変なこと言ってないよね⋯⋯?挨拶だけで良かったんだよ⋯⋯?大丈夫だよね?」
アスナが眉間にしわを寄せて怪訝そうに言う。
「ええ、変なことは言ってないわよ。芸能界の常識ってやつを、センパイとして教えたまでね」
「⋯⋯は?」
アスナの顔が更に歪んで、もはや呆れ顔だった。
そんなアスナをよそに、私はいつもどおりスマホを手に取ってカメラアプリを開いた。
カメラを高く上げて上目遣いで見つめてシャッターを押す。
「⋯⋯もしかして例の毎日更新?」
カメラに映っているかもと心配したのか顔を手で隠しながらアスナが言った。
「ええそうよ、自撮りの毎日更新。お陰様でフォロワーも右肩上がり。無理もないわよね、無料で私が毎日見れるんだから」
私は追い加工をしてから投稿する。
途端に増えるいいねと新たなフォロワーの通知を見ると、口角が自然に上がる。
__けれど思わぬ者にフォローされた通知が届いて、私は思わず声をあげた。
「えっ?」
有象無象のフォロー通知に埋もれるように流れていったのは「AndoEnnma」の字だった。
展開が難しくて悩んでいたら描き溜めも出し切ってしまって更新がしばらく止まっちゃっていました (・・;