テラーノベル
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第34話 もう一回挑戦しよ!
それから数日後。
期末考査まで、あと一週間。
放課後のなんでも相談部には、いつものように俺とたっつんがいた。
俺は机の上に広げた問題集を眺めながら、うーん、と唸る。
💚「……分かんない。」
数学の問題。
さっきから同じところを何度も読んでいるのに、さっぱり頭に入ってこない。
ニジカンスウ?
エックスノニジョウ?
何を言ってるんだろう?
💛「どれ?」
💚「これ。」
たっつんが俺の隣から問題集を覗き込む。
💛「あー、これな。ここはXに当てはめるだけやから、割と簡単やで。」
簡単……??
たっつんがペンを持って、問題の湾曲した謎グラフを指差した。
💛「まず、ここを……」
💚「……あ。」
なんか授業で習ったような……。
確か…放物線ってやつ?
💛「分かった?」
💚「うん。多分。」
💛「多分かい。」
💚「いや、今のは分かった! 多分じゃない!」
💛「どっちやねん。」
たっつんが笑う。
俺もつられて笑った。
――こうして勉強を教えてもらうのは、初めてじゃない。
もう数え切れないくらい何度も教えてもらった。
たっつんは、勉強ができる。
学年順位だって、いつも上の方。
……というか、普通に生徒会長のもふくんとバチバチで、学年二位とか平気で取る。
全教科九十点以上なんてことも珍しくない。
ギリギリ平均点に届く程度の俺とは、だいぶレベルが違う。
💚「……やっぱり、たっつんってすごいよな。」
💛「急になんやねん。」
💚「だって学年二位だし。」
💛「まあな。」
💚「そこは否定しろよ!」
💛「なんでや。事実やろ?」
💚「そうだけどさぁ……笑」
そんなことを言っていると。
コンコン。
部室の扉が開いた。
そこには水色の髪の毛の女の子が立っていた。
にこにこと明るく笑っている。
🩵「こんにちはー!」
💚「あ、るな!」
入ってきたのは、るなだった。
手には、何冊かの教科書とノート。
カラフルな付箋がたくさん貼られていて表紙は少し折れている。
🩵「お勉強してたんですか?」
💛「まあなー。期末近いし。」
🩵「じゃあ!」
るながぱっと笑う。
🩵「今回の期末も、一緒にお勉強しましょー!」
💚「…いいよー!おいでー!」
椅子にるなを手招きする。
🩵「はい!」
そういえば、前にもこんなことがあったよなー。
一学期の期末考査の時。
ちょうど梅雨で、雨が降っていた。
あの時も、るなが勉強に困って相談部に来たんだっけ。
なんだか懐かしい。
💚「じゃあ一緒に勉強しよー!」
🩵「やったぁー!」
💛「また、三人でやるかー。」
俺たちは机を並べた。
まずは数学。
るなも問題集を開く。
🩵「……。」
💚「……。」
しばらく、三人とも無言。
そして。
🩵「……たっつんさん。」
💛「ん?」
🩵「これ、分かりません。」
るなは相変わらず数学が苦手なようだ。
💛「どれどれ。」
たっつんがるなのノートを見る。
💛「ここはなー、一次方程式やから…。」
すぐに説明を始める。
俺も横から聞いていた。
……やっぱり、説明が上手い。
順番に一つずつ説明してくれるから、俺でも分かりやすい。
…いや、一年生の内容だからもちろん俺も余裕で分かってるけどね!?
多分。
🩵「あっ、分かりました!」
💛「お、よかったやん。」
🩵「じゃあ次は……」
るなが次の問題を見る。
🩵「……分かりません。」
💛「またかい。」
💚「ははは!」
🩵「じゃぱぱさんも笑ってないで助けてくださいよー!」
💚「いや、俺、説明とかできないもん!」
💛「お前ら二人とも数学苦手やなー。」
💚「悪かったな!」
自分の中では一応、数学は得意な方なんだけどね!?
🩵「悪くないですよ!仲間です!」
るながぐっと親指を立てる。
💚「その仲間意識いらない!!」
三人で笑った。
それから少しして、今度は社会の勉強を始める。
💚「……えっと……日本国憲法の公布っていつだっけ?」
🩵「1946年11月3日です!」
💚「即答!?」
🩵「はい!」
💚「なんで一年生なのに三年生の範囲覚えてんの!?」
💛「早くない?すごいね。」
🩵「社会は得意なんです!」
るなは得意げに胸を張った。
そうだった。
この子、社会と理科は異様にできる子なんだった。
それで英語も割とできて。
…でも覚えたことを使って考える、国語と数学はちょっぴり苦手で。
🩵「資料問題以外満点でした!ふふん!」
💚「すげーー!」
🩵「そういえば、じゃぱぱさんは好きな教科とかあるんですか?」
💚「俺の好きな教科は給食のおばちゃんだよ!!」
🩵「給食のおばちゃん……??」
💛「こいつに構わへんでええで。」
💚「だって全部できないんだもーん。」
🩵「じゃあるなに任せてください!」
今度はるなが先生役になった。
さっきまで数学で「分かりません」と言っていたのが嘘みたいに、三年の範囲をすらすら説明してる。
💚「るな、めっちゃ詳しいじゃん。」
🩵「覚えるのは得意なんです!」
💛「変わらへんなぁ。」
俺はその光景を見ながら、ふと思った。
――得意なことも、苦手なことも。
人によって違う。
たっつんは数学が得意で。
でも、古文が苦手。
るなは理科や社会が得意で。
でも、国語や数学が苦手。
のあちゃんはお菓子作りが得意で。
でも、運動が苦手。
ゆあんくんは運動が得意で。
でも、初対面の人と話すのは苦手。
シヴァさんやどぬやうりりんもふくんにだってそれぞれ得意なこと苦手なことがあって。
俺だって、みんなより得意なことがある(はず)。
だから。
全部を一人でやろうとしなくてもいいのかもしれない。
最近の俺なら。
分からないことがあったら、分かるまで一人でずっと考えていたかもしれない。
部長だから。
受験生だから。
ちゃんとしなきゃいけないから。
――でも。
今は。
💚「……たっつん。」
💛「ん?」
💚「これ、もう一回教えて。」
一瞬だけ、たっつんが目を丸くした。
それから、ふっと笑う。
💛「おう。ええで。」
たっつんが俺のノートを覗き込む。
💛「ここな。さっきの問題と似とるんやけど…。」
その隣では、るなが国語の問題を解いている。
💛「…ちょっとは素直になったやん。」
💚「俺はたっつんと違ってずっと素直だよ。」
💛「え?」
💚「だってツンツンじゃん。」
💛「ちゃうわ!」
問題集に目を落とす。
最初よりかなり解けるようになった。
分からないところはたっつんやるなに聞いて。
分かるところは自分で頑張って解いて。
三人で、少しずつ進めていく。
―― ひとりで全部できなくてもいい。
誰かに頼ることは、悪いことじゃない。
むしろ。
ひとりじゃ敵わなかった問題も、仲間と一緒なら。
なんでもできる気がするものだ。
塞ぎ込んでても始まんない。
一歩踏み出さなきゃ進まない。
だからこそ、仲間と一緒に助け合おう。
そんな当たり前のことを。
俺は、ようやくちゃんと理解できた気がした。
しばらくして。
🩵「……疲れましたー!」
るなが机に突っ伏した。
俺はまだぎり耐えている。
💚「早いって!」
🩵「だって国語難しいんですもん…人物の気持ちとか分かるわけ…。」
💛「ほら、あとちょっとやで。」
🩵「たっつんさん鬼です……。」
💛「鬼やない。るなならできる!るなは天才やろ?」
🩵「…確かに!るなってやっぱり天才なんで、できる気がしてきました!!」
るなが再び起き上がり、もう一度挑戦する。
💛「ほら、るなは頑張ってるで?一年生を見習え、受験生。」
💚「たっつん、厳しい!」
💛「じゃぱぱ!やればできる!やらなきゃ終わる!」
💚「んぇー…。」
💛「――やれ。」
💚「はい!!」
また三人で笑った。
窓の外は、もうすっかり暗くなっていた。
期末考査まで、あと少し。
そして、その先には高校受験も待っている。
きっとこれから先も。
分からないことや、難しいことはたくさんある。
全部をひとりで乗り越えられるかなんて、分からない。
でも。
――ひとりじゃなくてもいい。
頼っていい。
回り道をしたっていい。
七転びして八転がったって、みんなといればレベルアップできる。
一緒に進んでいこう!
そう思えるようになっただけで。
前より少しだけ、未来が怖くなくなった気がした。
今の俺にできることは、『諦めないこと』!
💚「……よし。」
俺はもう一回、問題集を開いた。
💚「もう一回挑戦しよ!」
――期末考査まで、あと一週間。
俺たちの勉強会は、まだまだ続きそうだった。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ちょっとるなちゃんの相談の時と似てましたね!
元ネタ解説です!↓
💚「だってツンツンじゃん。」
このセリフは、アーカイブが残ってないじゃっぴの配信と、からぴち結成前のたっつんの配信で言ってた、 たっつんの名前の由来はツンツンしていたからじゃっぴがつけたあだ名というやつが元ネタです
うりりんとかばっくんとかたっつんとかじゃっぴのあだ名のセンスすごい笑
🩵「そういえば、じゃぱぱさんは好きな教科とかあるんですか?」
💚「俺の好きな教科は給食のおばちゃんだよ!!」
このセリフと、
「たっつんは数学が得意で。 でも、古文が苦手。」
このセリフは公式様のプロフィールを参考にしてます!
ちなみにじゃっぴが数学得意と言っていたのは、じゃっぴの配信で言ってた、意外と文系じゃなくて理数系というのを参考にしました!
💛「やればできる!やらなきゃ終わる!やれ。」
これはハゲーずの配信で言ってたやつが元ネタです笑
そして今回はあの曲ですね!めっちゃ好きな曲です!!
いつもは元ネタ解説してないんですけど、今回は気分で解説してみました笑
次回 第35話 一歩だけ ♡100↑
#からぴち
まい
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コメント
6件
アンラッキーモンスターだ! 今スマホのアラームにしてて毎日聴いてる! 今数学の単元一緒だ!明後日からここの単元のテスト!(T ^ T)
曲のヒントです!
うわぁ〜〜〜第34話、すごくよかったよ!!😭💕 期末前の勉強会っていうほっこり設定なのに、じゃぱぱの心の成長がしっかり描かれててさ…「ひとりで全部できなくてもいい」「頼っていい」って言葉、めっちゃ沁みたよ…! たっつんとるなとの掛け合いも相変わらず絶妙で、苦笑いしながらもちゃんと教えてくれるたっつんと、元気いっぱいのるなの存在がじゃぱぱの背中を押してる感じが伝わってきた〜! そして最後の「もう一回挑戦しよ!」ってセリフに、前向きな気持ちがギュッと詰まってて、読んでるこっちも頑張ろうって思えた!!次回も絶対読むよ!🌸