テラーノベル
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第35話 一歩だけ
――期末考査当日。
朝から、教室の空気がいつもと少し違っていた。
みんな机の上に教科書やノートを広げて、最後の確認をしている。
俺も自分のノートを開いていた。
💚「……二次関数。」
昨日、たっつんに教えてもらったところを眺める。
グラフ。
放物線。
二次関数。
……うん。
💚「……やっぱり、よく分かんない。」
閉じた。
無理なものは無理。
……いや、諦めるな俺!
やればできる!やらなきゃ終わる!やれ!!
――もう一回挑戦しよ!
分からないなら、また挑戦すればいい。
今の俺にできることは『諦めないこと』なんだから!
そう思って、もう一度ノートを開いた。
すると。
💛「じゃぱぱーっ。これ…」
💚「んー?」
こちらを見た、 たっつんが目を見開く。
目をまんまるにしたまま、口に手を当てる。
💛「え?じゃぱぱ勉強しとる……??」
驚愕の表情と声。
💚「してるよ!」
失礼な!!
俺だって勉強するよ!!
💛「…へー…珍しっ。」
💚「なんでだよ!」
たっつんがふわっと笑う。
あの太陽みたいなあったかい笑顔。
ずっる!!
💛「まあ、頑張りや。」
💚「うん!」
その一言だけで、なんだか少し安心した。
――そして。
チャイムが鳴った。
いよいよ、期末考査が始まる。
* * *
最初の教科。
問題用紙が配られる。
名前を書いて。
裏返す。
そして
『用意、始め。』
その合図とともに、みんなが一斉に問題用紙を表にした。
俺も問題を見る。
意味不明な文字の羅列。
💚「…………。」
……うん。
分からない。
いきなり分からない問題が出てきた。
前だったら。
きっと、この問題をずっと眺めていたと思う。
分からない。
でも、解かなきゃ。
受験生なんだから。
ちゃんとしなきゃ。
そんなことを考えているうちに、時間だけが過ぎていく。
――でも。
今日は違った。
💚「……次。」
シャーペンを動かす。
分からない問題には、印をつける。
そして、次の問題へ。
こっちは分かる。
その次も。
……よし。
解けた。
そして一通り解き終わってから、さっき飛ばした問題に戻る。
もう一度、問題文を読む。
すると。
💚「……あ。」
さっきは気づかなかったところに気づいた。
途中までなら分かる。
そこから先は……。
💚「……うーん。」
少し考える。
やっぱり分からない。
でも。
焦らずに、落ち着いて。
分からないなら、できるところまでやる。
それでも無理なら、次に進む。
それでいい。
――回り道したっていい。
たっつんが言ってくれたから。
俺は最後まで、諦めずに問題と向き合った。
そして。
「――そこまで。」
先生の声が聞こえた。
💚「……終わった。」
ふう、と息を吐く。
できなかった問題もある。
自信がない問題もある。
でも。
💚「……ちゃんとやった。」
それだけは、分かる。
答案を提出する。
席に戻ると、後ろの方から声が聞こえた。
「この問題、分かった?」
「いや、無理だった!」
「だよねー!」
そんな会話を聞きながら、俺は少し笑った。
みんなも同じなんだ。
分からない問題があって。
悩んで。
それでも、最後までやる。
なんだか少しだけ、気が楽になった。
隣の席に座るたっつんを横目で見る。
机に頬杖をついて、ぼーっとしてる横顔。
視線を前に戻した。
* * *
そして、数日間の期末考査が終わった。
最後のチャイムが鳴る。
💚「終わったぁーーーー!!!!!」
💛「うるさ。」
💚「だって終わったんだよ!?」
💛「はいはい。」
💚「たっつんは嬉しくないの!?」
💛「そら嬉しいけど。」
💚「じゃあもっと喜ぼうよ!」
💛「……じゃあ。」
たっつんが両手を上げる。
💛「終わったーーーー。」
💚「声ちっちゃ!!ほんとはもっとでかい声出せるくせに!デカスピのくせに!」
💛「ここ、教室やぞ?」
思わず笑う。
*
そしていつものようにたっつんと二人で部室へ向かう。
その途中。
🩵「終わりましたねーー!!」
るながこっちに走ってきた。
💚「るな!」
🩵「どうでした?」
💚「……分かんない!」
🩵「えぇ!?」
💛「まあ、いつものじゃぱぱやな。」
💚「たっつんまで!」
🩵「るなは結構できましたよ!自信しかないです!」
るながドヤッ!と胸を張る。
💚「さすが天才!」
🩵「えへへ!」
3人で笑う。
テストが終わっただけなのに。
なんだか、すごく嬉しかった。
結果はまだ分からない。
何点取れているかも分からない。
でも。
俺は今回、途中で諦めなかった。
分からない問題をずっと抱え込むんじゃなくて。
できるところから進んで。
また戻って。
それでも無理なら、次に進んだ。
それはきっと。
昨日までの俺には、できなかったことだった。
*
なんでも相談部の部室。
今日はテストが終わりだからか、相談者は来ていない。
俺とたっつんだけで、いつものように机を並べていた。
💚「ねえ、たっつん。」
💛「ん?」
💚「俺さ。」
💛「うん。」
💚「今回、ちょっとだけ成長した気がする!」
💛「……そやな。」
たっつんが笑う。
💚「点数じゃなくてね。」
💛「分かっとるよ。」
💚「……なんか、前だったら一つ分からない問題があったら、そればっかり考えてたと思うんだ。」
💛「うん。」
💚「でも今回は、いったん置いといて。できる問題からやってみた。」
💛「それでええねん。そっちな方が効率的やしな」
💚「効率厨だなぁ。」
窓の外を見る。
冬の空は、もう暗くなり始めていた。
💚「回り道しても、いいんだね。」
💛「そらそうやろ。」
💚「……そっか。」
俺は笑った。
全部をまっすぐ進む必要はない。
目の前を大きな壁に阻まれたら。
立ち止まってもいい。
誰かに頼ってもいい。
回り道したっていい。
それでも。
ちゃんと先に進める。
💚「……高校受験も、こんな感じなのかな。」
💛「まあ、そうやろな。」
💚「長いなぁ……。」
💛「まだ始まったばっかりやで。」
💚「うぇぇ……。」
💛「でも。」
たっつんが、少しだけ笑った。
💛「一人で全部やらんでもええやろ。」
💚「……うん。」
その言葉に、俺も笑う。
高校受験。
その先にある、高校生活。
まだ知らないことばかりだ。
これから、きっと大変なこともある。
迷うこともある。
立ち止まることだってあると思う。
それでも。
――大丈夫。
一人で全部できなくてもいい。
誰かに頼っていい。
回り道をしたっていい。
そして。
自分で選んだ道なら。
きっと、ちゃんと歩いていける。
俺は机の上のノートを閉じた。
💚「よし。」
💛「何が?」
💚「次は高校受験!」
💛「切り替え早すぎん?」
💚「だって、立ち止まってたら進めないじゃん!一歩踏み出さなきゃ進まない!」
💛「……まあ、それもそうやな。」
💚「ところで受験っていつなの?」
💛「俺に聞かんでよ笑 一般なら二月とかやないの?」
💚「二月かー…てことはあと、二か月ちょっと?」
💛「そやなー、俺は推薦だからあと一ヶ月ちょっとしかないなぁ。」
💚「なんか、思ったより早いね。」
💛「なに?ビビってるの?笑」
💚「び、ビビってないし!!」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
――期末考査は終わった。
でも。
俺たちの挑戦は、まだ終わらない。
これから先、どんな道が待っているのか。
どんなストーリーを描くのか。
まだ、誰にも分からない。
それでも。
自分らしく。
時には誰かに頼りながら。
時には回り道しながら。
俺は一歩ずつ、進んでいこうと思う。
――だって。
その先には、きっと。
まだ見たことのない、新しい景色が待っているから。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
なんでも相談部もう11月下旬ですよ!!4月から始まったはずなのに!早すぎ!!
次回はついに王子様!!!
次回 第36話 踏み出そう!
#カラフルピーチ
ゆあくん/🖤❤️🪽
1,537
#じゃぱのあ
コメント
6件
アンラッキーモンスターですか? 次は何の曲なんやろ?今回もめっちゃおもろかったです!次も楽しみにしてます!
こんな作ったすぐ後にコメント出来たの初めてだ、!今回も面白すぎてうんうんいいながら見てました👀そう解こうと思っても難しいのに凄い、、、!AIの長文超えます(≧ω≦)b次も頑張って欲しいです!王子様、、、一瞬で分かった!王子様の相談ね、なるほど?予想しときますwAI超えられなかった、またコメントします!
「ちゃんとやった」──この一言に全部詰まってるなって思いました。点数じゃなくて、諦めずに向き合えた自分を認められてるのが、前の主人公なら絶対できなかったことだし、たっつんの「回り道したっていい」がちゃんと効いてるんだなって伝わってきました。教室の空気とか、るなとのやりとりも相変わらず可愛くて、でも受験へのカウントダウンがじわじわ迫ってきてる感じがちょっとドキドキしました。次回の王子様編が待ち遠しいです🔥