〜未花の過去〜
母の死を境に、父は変わっていった。
母の命を奪った私を恨み、未心だけに愛情をそそぐようになった。
だから私は、少しでも愛してもらえるようになろうと、努力した。
小学生ながら、家では家事や未心の世話を全てこなした。
それでも父は愛してくれなかった。
当たり前といえば当たり前かもしれない。
私はお父さんと未心から大切なお母さんを奪ったのだから。
だから私は、父から愛してもらうのを諦めた。
でも、
愛してもらえなくてもいいから、認めてほしい。
その一心で、私は学校でも絵に描いたような
「優等生」
を演じた。
運動だって勉強だって頑張ったし、先生や生徒からの信頼をたくさん得ることができたと思う。
それでも父が認めてくれることはなかった。
だから私は、諦めたんだ。
父や未心と家族でいることを。
それでも、私は今も「優等生」を演じ続けている。