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side.若
あれから何日か経って、警察に事情聴取をする、と呼ばれた。
涼ちゃんは来させたくなかったんだけど、ちゃんと話したい、と言ってついて来た。
元貴も相当なストレスだったみたいで、白髪が増えたらしい。
取調室?みたいなところで涼ちゃんが事細かく説明をした。何をされて、自分がどういうことをしたか、まで全部。
ロータリーでの出来事は俺と元貴で話した。
警察の方もだいぶ捜査が進んだみたいで、すごく感謝された。
涼ちゃんは終始苦しそうで涙目だったけど、一生懸命思い出して伝えていた。
そこまでしなくてもいいのに。
帰りの車の中で、なぜか清々しい顔をする涼ちゃん。
若井「涼ちゃん、あそこまで細かく言わなくてもよかったのに。」
大森「何回も思い出して、辛かったでしょ?」
藤澤「うーん、でも、僕が話したらこれから被害が減るかもしんないじゃん」
若井「そうだけど…」
藤澤「それに、なんだか吹っ切れちゃった~!」
へらっと笑う涼ちゃんはとってもかっこよかった。
未来の犠牲が減るために、なんて。涼ちゃんらしくて素敵で、でもなんだか辛い。
大森「正しい判断がされることを願うよ」
藤澤「そうだねえ…」
若井「よし、じゃあご褒美にパフェ食べに行こう」
藤澤「なんのご褒美?」
大森「頑張った涼ちゃんに、俺らに向けてだよ」
藤澤「最高!行こ行こ!」
結局あの犯人は痴漢をする犯罪グループの一人だった。
いろんな人を痴漢して、ホテルに誘拐した後、犯してその動画を売っていたんだって。
涼ちゃんの正直な説明と他の証拠が結びついて、その犯罪グループは全員検挙できたらしい。
最低で理解できない奴らは一定数いる、ということを改めて感じた。
若井「そういえば、あの犯人さー」
大森「あー、あのゴミクズ?」
若井「終身刑だとよ」
藤澤「えええ…なんか厳しくない?」
若井「15人ぐらいに同じことやってたんだって」
大森「それにうちの涼ちゃんに手出したんだからな」
藤澤「怖いねえ…まあ、ひとまず良かった」
あの日の後、しばらく涼ちゃんは眠れなくなってしまったけど、今はもう大丈夫。
元貴も白髪がなくなったらしく、ほぼ全てが元通りに戻った。
大森「なあ、若井」
若井「ん、?」
大森「涼ちゃんに空手教えようと思うんだけど」
若井「頭いい…笑 俺も一緒にする」
大森「当たり前だろ。ちゃんと叩き込まないとね」
姫を守る計画は、着実に進んでいる。
終わったあ~…あとがきもぜひ。