テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
午前0時 蓮の自宅
涼太❤️『どう言う状況?』
向かい合わせに座る長身の男が二人。
床に額が付く程に土下座をする一人の男は首筋に薄っすらと汗を掻き、もう一人の男も負けじと土下座をすると涙を床に落とした。
翔太💙『ねぇ〜顔上げなよ二人ともぉ〜////』
騒動の根源の色白の男はニヤニヤと笑っている。
遡る事10時間前〜
翔太 side
玄関の前まで追いかけたものの閉ざされた扉を開けて外に出る勇気はなかった。蓮を傷つけたくないあまり、扉一枚隔てた向こう側に居る阿部ちゃんを傷つけてしまった。
〝俺の気持ち少しは考えた?〟阿部ちゃんの言葉が棘のように突き刺さって胸が痛い。きっと本人はもっと痛いはずだ…
扉の向こうで、紙が破れる音がしてノートを破ったのだと思った。 〝これは俺の一部だから…〟あのノートの事をそう言った気がする…そのノートを破るなんて…でもいつの記憶だろうか?ノートを持ってきた時に言った言葉だろうか?
亮平💚『ひとりぼっちは強いんだからね…翔太愛してる』
扉の向こうで悲しそうに〝愛してる〟と言った亮平の足音がどんどん離れて行く。好きな気持ちはあるのに…どうして蓮の気持ちにだけ寄り添ってしまったんだろう。
気が付いたらノートを握りしめ裸足で飛び出していた。エレベーターを押しても降りていったゴンドラはまだ下に向かったまま上がってくる様子はなく、非常階段を必死で駆け降りた。1階まで駆け降りて辺りを見渡すけど阿部ちゃんの姿はなくて、そのまま飛び出すと外は真夏の日差しがジリジリと肌を焼く程の暑さだった。
マンション向かいの公園を歩く阿部ちゃんの姿が見えて、全速力で追いかけた。
亮平 side
後方から恐ろしいくらいの形相で全速力で追いかけてくる翔太は、正直全然可愛くなかった。
涙を流しながらノートを片手に握りしめ、なぜか裸足だった。
ちょっと恐怖を覚えるくらいの翔太の勢いに身じろぎ反射的に逃げてしまった。ノートを投げつけるんじゃないかってくらい怒ってるように見えた。
翔太💙『何で逃げるの?』
亮平💚『あんたが怖い顔して追いかけてくるからでしょ!来ないでよ』
翔太💙『待ってったら…あっ…うわぁ』
大人なのにこんなに転ぶかってくらい盛大に転んでる。あの日と同じように転んだまま動かない翔太に恐る恐る近づく〝しょ翔太?大丈夫?立てる?〟全く反応がなく心配になる〝痛い〟とボソッと声を発した…良かった元気みたい…
翔太💙『バカ何で逃げるんだよ!くそ足痛ぇし、お前靴下貸せよ熱くて歩けたもんじゃない』
あんなに喋らなかったくせに何だよ。しゃがみ込んで翔太の足の裏を見ると、灼熱のコンクリートの上を走ったせいで真っ赤になり軽く火傷している。
亮平💚『バカじゃないの信じらんない!何がしたいんだよ…ンンンッ!』
いきなり飛びついてきた翔太は俺の唇に噛み付くようにキスをした。その拍子に地面に手を付いたようで〝熱っつ!〟と騒いでいる。俺は何が起きてるのか状況が分からず仕舞いのまま、尻餅を付いた。
翔太💙『亮平大好きだ///俺ともう一度やり直して?』
〝亮平〟と呼ぶ色白の男の子は子供みたいに無邪気に笑うと〝なかなか衝撃的だったぞ お前の浮気現場!一生忘れないし一生許さないからな〟
許さないと言いながら、もう一度俺にキスすると俺の頰に伝う涙を拭った〝亮平の泣き虫〟
亮平💚『今泣かないで、いつ泣くんだよ…信じらんないこんな事ある?こんなんで記憶戻るなら一発殴ってみれば良かった』
翔太は俺の手を取ると〝気が済むまで殴っていいよ。もう嫌いになった?もう手遅れ?〟そんな上目遣いズルすぎでしょ〝嫌いになれないから困ってるんじゃないか〟そう答えると翔太は照れ笑いを浮かべて頭を掻いた。翔太を近くのベンチに座らせると靴を取りに戻り履かせる〝蓮のマンションに帰るよ〟そう言って手を取ると、その手を振り解き小走りで大通りに出るとタクシーを止めた。〝亮平早く乗って〟訳も分からず乗り込んだ。〝どこ行くんだよ?〟と尋ねると、
翔太💙『運転手さん、ここから一番近いラブホに向かってください』
亮平💚『なっ////』
あまりに突然の暴言に言葉が出ない。タクシーの運転手も困惑してるし、バックミラーでチラチラこちらを覗き込んでる。俺は被っていたキャップを目深に被ると、少し姿勢を下げた。その様子を見ていた翔太はずっとクスクス笑ってる。
翔太 side
走馬灯って本当にあるんだよ亮平…
あの日の記憶が蘇る。自分だって散々、彼の知らないところで俺の意図せぬところでだけどキスをしてる。記憶を無くす程のショックな出来事でも何でも無かったはずだった。だからこそ、このくらいの事〝忘れちゃおう〟ってそう思っただけだ。
頰を赤らめた男が2人、勢いだけでラブホに入ると平日の真っ昼間からこんなとこ居るのは俺らくらいかと思ったけど…
亮平💚『えっ結構居るんだね…バカップル…で何番?』
翔太💙『へっ…?ヤダ…緊張してきた…亮平決めてよ…』
イヤらしいムードたっぷりな部屋の数々を食い入るように見る亮平に若干引き気味の俺は〝もうどれでもいいだろう〟あまりの恥ずかしさに目を瞑って適当に押した部屋に入る。〝あんたがここ連れてきたんでしょ〟とブツブツ文句言いながら俺の手に轢かれ部屋に入った途端亮平に唇を奪われ、カチャカチャとベルトを外す音がする。
翔太💙『まっ待って待ってよ////』
服を脱がす作業を止める気はない亮平は〝何?〟と少し怒り気味に言いながら、ズボンは既に膝下まで下ろされ、俺はバランスを崩して尻餅を付くと、顔の両横に腕を付いた亮平と目が合った。
翔太💙『待ってね?ちょっとお話ししよ?話したい事が沢山あるんだ…ンンンッ//ねぇ…あっ…聞いてる?ヤッちよっと』
シャツを捲ってお腹に舌が這う。〝こんな所でまともな話が出来るとでも思ったの?〟ピンクの照明で照らされた室内は嫌でも〝そう言う気分〟になる。亮平は時折舌打ちをしながら徐々にイライラを募らせている。
亮平💚『キスマークどんだけつけてんだよ!イライラする…何なのアイツ』
蓮に嫉妬する亮平はすごく可愛いかった。ずっとひとりでブツブツ文句言ってる。蓮が全身につけたキスマークを塗り替えるように吸われて、身体中が上気していく。何処もかしこも熱く頭がおかしくなりそうだった。香水の香りが鼻を掠め亮平に包まれているような感覚がする。
翔太💙『亮平の匂いでドキドキしちゃう…』
亮平💚『あんたは蓮の匂いがしてイライラする』
翔太💙 『なんでそんな意地悪言うのさ…お風呂入ってくる汗かいたし!』
亮平💚『ダメだよ…汗の匂いもイヤらしいね。一生忘れないように身体に刻んで今のままの俺たちを…また忘れても思い出せるように何度でも。匂いもこのベタつく身体も赤らんだ可愛い頰も全部忘れないから…覚悟してね』
そんな事言われたら益々恥ずかしくて頰が赤くなる。亮平と居るといつだって初めての時みたいにドキドキする。徐々に上昇してきた亮平と唇がぶつかって優しくキスされた。
翔太💙『待って…やっぱりちょっと納得いかないんだけど!』
〝何?〟あからさまに亮平はイライラして怒ってるけどこっちだって怒ってる。
翔太💙『佐久間の事まだ言い訳してもらってない!』
そうだ、この言い訳次第では亮平をぶん殴ってやる。亮平は流石に怒りを胸に収めるとベットの上に正座して〝魔が刺した〟と悪びれなく言うとはい終わりと言わんばかり俺をまた貪った。〝ぶさけんなよ、そんなんで納得するかよ〟
亮平💚『2人ベランダで夜景見てたらなんか‥そうなったのよ言葉じゃ言えない』
翔太💙『無理無理あり得ないよ。そのくらい自然な事だったって事?もう無理亮平と付き合えないやっぱり別れる俺帰る』
跨ったまま腕をシーツに縫い付けると〝覚悟してって言ったよね?〟亮平は人差し指で俺の身体をなぞる。くすぐったくて変な声が出ると亮平は楽しそうにイヤらしい目で俺を見つめた。
翔太💙『ンンッやめて…誤魔化すなよ』
亮平💚『キスした事は本当に悪かったと思ってる。でもね本当に疲れてて心の通ってないキスだった。お互いそうだった』
翔太💙『心の通ってるキスは?どんなキス?俺にして見せて////』
亮平💚『バカ////いつもしてるでしょ////手加減しないぞ…..』
亮平 side
こんなバカップルが居たってイイ。きっと世界中にこんな意味のないやりとりをしてる愛すべきおバカさんがきっと居る・・・
どちらのものか分からなくなる程絡まった二人の足が互いの存在を確かめるように擦り合うと、翔太は明るい部屋に白磁の肌を晒した。上気した身体は忽ちピンク色に染まり俺を誘っている。
主張する翔太の花茎に触れると先端を掌で擦った。透明の愛液を出すそこはドクドクと脈打ち次第に硬さを増していく。
亮平💚『翔太…育ってます////痛っ叩くな』
翔太💙『やめろよ…素敵な言葉穢すなバカ』
口に含むと翔太は手を彷徨わせて〝お手手握って〟
なんて可愛い事言っている。片方の手を繋ぐと顔を上下して屹立を扱く。ジュルジュルと音を立てて先走りを吸い上げると腰を浮かせて気持ち良さそうに鳴いた。
翔太💙『ンンンっあっ////亮平…出ちゃうよ…』
放った白濁を飲み込むと、ローションをたっぷりと後孔に塗り指を挿入した〝翔太足上げて〟恥ずかしそうに翔太は自分の足を持ち上げるとギュッと目を瞑っている。〝ふふっちゃんと俺を見てよ二度と忘れないで〟グチョグチョと指を咥える音が部屋に響く。
翔太💙『あっ…あん、あんヤッ///リョウ気持ちイイすごく気持ちぃ…』
亮平💚『可愛い翔太////いっぱい気持ちよくしてあげる…』
屹立を扱きながら、隘路に俺の熱茎を挿入すると翔太は肩を窄め、俺の腕に掴まって〝まっ待ってゆっくりゆっくりして…またイっちゃう〟余裕なんてなかった。一気に奥を突くと翔太は掴んだ腕に力が籠ると白濁をお腹に放った。それでも止まらぬ律動に何度も絶頂を繰り返した。
翔太💙『ヤァッあん、亮平もう…ンンンンッ気持ちイイ…ンアッ////いっぱいキスして亮平』
互いの存在を確かめ合うよに何度も身体を重ねると翔太の額に光る汗を拭いおでこにキスをする。
翔太💙『亮平…愛してる』
涙腺崩壊の俺は翔太の胸に突っ伏すと子供みたいに声を上げて泣いた。突然泣き出した俺に翔太は〝どうした?亮平大丈夫?〟と言って頭を撫でた。
亮平💚『初めてだよ…翔太が俺に愛してるって言ったの』
翔太💙『えっ〜?そうだっけ?もう一回聞きたい?』
亮平💚『何度もお願いします』
翔太💙『愛してる亮平愛してる』
亮平💚『ふふっ////愛育ちまくってる♡』
2時間前〜
涼太 side
亮平に内緒で蓮と会っている。余計な事とは分かっていても、幼馴染が辛い思いをするのはこれ以上正直耐えられなかった・・・きっと蓮は話せば分かってくれる俺には分かる。〝よぉ…お疲れ〟本当にお疲れのご様子の蓮はあまり顔色が良くなかった。〝お前大丈夫?体調悪いの?忙しいのにごめんな….〟行きつけの日本料店に呼び出した俺は蓮のスケジュールを思い起こし配慮が足りなかったと反省する。
蓮 🖤 『構わないよ…嫌なら最初から断ってる….説教してもらいたかったのかも….』
蓮は俺が言いたいことは重々承知しているようだった。
涼太❤️『で….何が問題なの蓮。悪いと分かっているなら….』
蓮は涙を堪え目を赤く染めると〝館さん…覚えてます?俺が翔太と別れようか悩んで相談した時のこと〟そう言って俺を真っ直ぐと見て決して逸さなかった。あの日と同じ目をしている……
涼太❤️『あぁ覚えてる凄く驚いたまさか翔太と付き合ってるだなんて思いもしなかった。翔太の全てを知っているつもりだったのに….あんなに恥ずかしいと思ったのはあれが初めてだった』
幼馴染の俺たちは何をするにも一緒だった。暫く離れていた期間もあったが高校でまた再開した時は、そんな空白の時間も気にならない程俺たちは急速に距離を縮めた。俺は翔太で翔太は俺で互いの心が分かる程に理解し合っていると勝手に思っていた。そんな筈ないのに….蓮とのことは全く気づかずに正直かなりの衝撃だった。小さい頃は何をするにも一緒だったし、辛いこと、悲しいこと、楽しいこと、嬉しいこと常に二人で〝半分こ〟って勝手に思っていたけど俺らはもういい大人で自分だけが幼い幼馴染の頃の気持ちのままだった。それに翔太は何かに執着するような奴じゃない。ましてや人に執着するなんて事….
涼太❤️『あいつは本当に蓮の事好きだった…だからこそ執着してお互い辛い思いをしてた』
蓮 🖤 『あの時館さんは、翔太と別れないでくれっお前しか居ないんだって言ったんだ!館さんだって好きだったでしょ翔太の事?なんでそんな事俺に言えたの?近頃ずっとあの日の事を思い出すんだ!俺は館さんになれない・・・』
忘れて欲しいのに不思議とそう言う事は忘れない。
涼太❤️『相手を思えば想うほど幸せになって欲しいって….亮平と付き合ってからのアイツの笑顔最高だと思わない?亮平にしか出来ないって思ったんだよね。蓮と付き合ってた時と同じだよ』
トドメを刺してしまった。翔太や亮平と同じようにまた、蓮も優しいことを俺は知っている。
蓮 🖤『お前しか居ないって今回は言ってくれないんだね…ずるいよ館さん…』
涼太❤️『そうだね….お前に〝好きの向こう側〟を聞いた時から俺はずるい奴だ』
答えのない質問を蓮にした。翔太と別れるなって言いつつも、あの時の俺は最愛の人が誰かのものになる事が本当は嫌だったんだ。〝答えられないようじゃ本当の愛には辿り着けない〟なんて俺だって愛が何かなんて知らないくせに・・・
で、冒頭のシーンに戻るわけだが・・・
涼太❤️『どう言う状況?』
亮平💚『蓮、お願い俺に翔太を返して!』
ただのパフォーマンスでしかないこの男と(もう既に取り返してる)
蓮 🖤『お願い…黙って俺に譲って』
何の勝算もないのに最後の悪足掻をするこの男(とっくに舘に白旗あげてる)
翔太💙 『ふふっ///ねぇ涼太…こいつら俺の取り合いしてる….』
愛した二人からの求愛にただただデレてるこの男(自分が全ての元凶だという自覚がない)
亮平💚『一髪殴っていい?コイツ』
蓮・涼太『いいよ』
斯くして一件落着と言えるのか…
蓮 🖤『まぁ別に諦める気はないんで…5年分の思いはこんなもんじゃないですよ阿部ちゃん』
亮平💚『はぁ?』
翔太💙『やん////俺ってモテモテ////』
亮平💚『イイ加減にしなさい💢翔太帰るよ!』
二人が帰ったリビングは静まり返っている。最後に蓮に真意を尋ねる〝 ねぇ本気なのさっきの?〟
蓮 🖤『本気ですよ。舘さんこそ、いつ本気出すんですか?』
蓮の問いには答えずマンションを出ると、仲睦まじくタクシーに乗り込む二人の姿が見えた。俺に気付き窓を開けて身を乗り出した翔太は〝涼太おやすみぃ愛してるよ〜〟無邪気に手を振る翔太は昔から変わらない。俺にだけに言う薄っぺらい〝愛してる〟が都会の真夜中のビル街に響き、俺はそれだけで充分満足だった・・・
コメント
29件
好きの向こう側の質問が舘様なのも何か意味あるのかなと思っちゃう🤔舘様の悔し紛れ以外に。
記憶戻った💙おめでとう👏 良かった良かった! 私タクシー運転手に転職しようかな