桃side
紫「俺ッ…」
紫「ごめんッ…隠しててッ…」
声の止まった紫ーくんに話しかけ続きを促す
桃「何を隠してる?」
紫「ごめんッ…ごめんなさいッ…」
桃「大丈夫。誰も怒ってねぇから」
黄「僕…紫ーくんに救われたんです」
紫「えッ…?」
ぽつりぽつりと弱々しく、でもはっきり聞こえる声で黄が言葉を紡ぐ
黄「僕は空っぽな人間でした」
黄「自分の意見なんて何にもなくて」
黄「そんな時に紫ーくんと会ったんです」
震える声で必死に言葉を紡ぐ黄
堪えてはいるがブラウンの瞳には大きな涙
黄「自分を救ってくれた紫ーくんを…僕は救いたいんですッ…」
俺達はみんな紫ーくんに救われた身。
だからこそ助けたい気持ちが強いんだろう
赤「紫ーくんッ…ポロポロ」
赤「死まで追い込まれた俺をッ…!」
赤「紫ーくんは助けてくれたッ…ポロポロ」
紫「赤くんッ…ポロポロ」
紫side
俺が皆を救った……?
俺……が…?
信じられなかった。
皆、順番に泣きながら話してくれた
共通するセリフがひとつ…
決まって皆そう言った
紫「俺が皆を……?」
橙「そう、皆救われたんやで」
青「皆、紫ーくんに救われたんよ」
桃「だから今度は俺らの番」
黄「僕達は紫ーくんを助けたいんです」
赤「だから話して欲しい……」
大丈夫だって思った
嫌われたくなくて、リーダーだから弱音を吐いちゃ駄目だって思って隠してきたけど…
もう、全部話しちゃおうって
俺の思いを何もかも全部
紫「俺…リスカしてて…」
桃「だと思ったわ…」
赤「だと思ったって…?」
橙「桃ちゃん何か隠してへん?」
桃「わーった、全部話すから」
なんでか桃くんにはバレてたみたいで
思わず声をかけてしまう
紫「桃くん…大丈夫?」
桃「俺は大丈夫だよ、紫ーくん」
そう言って屈託の無い笑顔を向ける桃くん
桃「腕、見してみ」
紫「ッ……」
黄「僕救急箱取ってきますね」
紫「ぁ…」
そう言ってパタパタと部屋を出ていった黄くん
俺は何故か引き留めようとしてしまった
青「紫ーくん、キッチン借りるね!」
紫「ぁ…うん……」
赤「紫ーくんっ!!」
紫「うぇ…?」
いきなり赤くんに名前を呼ばれたと思ったら視線の先ににゅっと顔が現れた
赤「へへ…紫ーくんの膝落ち着く」
隣の隣に居た赤くんはいつの間にか俺の隣へと移動しパタンと体を倒したらしい
桃「みんな紫さんの事大好きなんですよ」
桃「青なんて俺と会う度紫ーくん紫ーくん言ってますよ笑」
知らなかった
俺は何も知らなかった
こんなにもメンバーに愛されてるなんて
リスカしてるって言ったのに…
嫌われたって思ったのに…
でもそんなの思い込みでしかなくて
キッチンからは青くんの鼻歌と甘い匂いが漂ってきて
赤くんが膝の上にいて
桃くんが隣で頭を撫でてくれて
橙くんは向かいのソファにいて触れられる距離では無いものの、それは優しい目で俺の事見つめてて
いつの間に戻ってきたのだろう黄くんから救急箱を受け取った桃くんはサッと俺の手を取る
桃「傷、左だけ?」
紫「ぁ…右も……ごめん…」
もう隠しても意味が無いと思いバラす
桃「ん、分かった」
特にする事もなく手持ち無沙汰の俺は自分の汚い腕を見つめていた
消毒液を染み込ませたらしい濡れたガーゼが固まった血で赤黒く染った部分を拭う
ピリッとした痛みが走り思わず顔を顰める
桃「痛い?」
紫「ッ…うん…」
桃「だろうな笑もうちょっとだから」
血が拭われた腕を見れば沢山の傷
こんなにしてたんだなぁって改めて実感
上からガーゼを被せられ包帯を巻かれる
手馴れた手付きで手当をする桃くんにほんの少しの疑問を持ちつつ左手同様右手もされるがまま
桃「包帯キツくない?大丈夫?」
紫「大丈夫…ありがと桃ちゃん」
両腕を見ると手首から肘まで真っ白
驚く程綺麗に巻かれた包帯に疑問を持つ
メンバーが怪我した時手当をするのはいつも医療知識に長けた黄くんだった
それ故綺麗に包帯を巻けるのは周知の事実
だが桃ちゃんもそうだったとは初耳だった
橙「で?桃の隠し事はなんや?」
青「だと思ったの訳はなんすかさっさん」
黄「全部話してもらいますよ」
赤「紫ーくん好きぃ…」
1人違う事を言ってたような気がするが気の所為だと思おう。
桃「どっから話すかなぁ…」
斜め上を向き考え込む桃くん
橙「勿論最初からや」
桃「……ガムテープある?」
口を開いたと思えば飛び出した言葉はガムテープある?だった
ガムテープ常備してる家中々ない…と思う
俺も例外では無くてガムテなんて置いてない
黄「ガムテープ?」
青「それがどうしたのさ」
赤「何に使うのぉ〜?」
桃「説明に必要なんだよね」
冗談かとも思ったが本人の顔も声色も巫山戯たトーンなんて含まれてなくて
紫「ガムテープは無いかな…」
桃「…んじゃセロテープは?」
紫「セロテープ…?あるけど…」
話についていけず目が点になるメンバー
俺も目が点だが何とか答えを返す
桃「ある?ちょ、貸してくんね?」
紫「へ…?あ…あぁ…良いけど…」
紫「はい、セロテープ」
桃「あ、さんきゅ」
手渡せば少しだけちぎって自分の腕に貼った
黄「?何してるんですか?」
青「桃くん?何するつもり?」
赤「ちょ、何してんの?」
貼ったセロテープを剥がせばそれに着いてくる謎の肌色の物体
橙「なに…しとんの、?」
赤「ちょ、え!?」
青「(あんぐり」
桃「よし…全部剥がれた」
空いた口が塞がらない俺らを横目に肌色の物体を剥がし続けた桃くんがやっと声を発する
桃「とりあえずさ…これ、見てみ」
そう言って見せてきたのは腕の内側
手首から肘まで白い傷跡が沢山あった
赤「ヒッ…」
桃「驚かせてごめんな、赤」
橙「桃ちゃん…その傷…」
桃「見てわかる通りリスカ跡」
青「桃…くん…?なんで、?」
黄「大丈夫…なんですか…?」
やっていたのは高校生の頃だという事、もう何年もやっていない事などをあっけらかんと話す桃くん
桃「だから包帯巻くのも慣れてるし状況に既視感があったから」
そう言う桃くんは笑っていた
作り笑いには見えなかった
橙「今は…大丈夫なんやな?」
桃「おう」
赤「そっか…桃ちゃんが……」
桃「驚かせたよな笑」
黄「びっくりです…」
青「心臓に悪いわ…」
桃「ま、そゆことだよ」
紫「そっか…経験者なんだ…」
桃「無理にやめろとは言わねぇ」
桃「ま、深さは気をつけてな」
紫「刃物…取らないの…?」
桃「取られたらしんどいだろ?」
橙「でもッ…!」
黄「そうですよ…!」
桃「ちょっとずつ切る量減らしてこ」
赤「ちょ!」
桃「お前ら考えてみ?」
赤「なにを…?」
桃「ストレス発散道具奪われた時の事」
黄「ッ…!」
青「僕は…そうなったらしぬかも」
桃「橙と赤は?」
橙「無理や…耐えられへんな…」
赤「無理…絶対耐えれない」
桃「紫ーくんにとって刃物はストレス発散道具なんだよ」
黄「分かりました…取らないです」
青「僕も…取るのはやめとくよ…」
桃「紫ーくん、俺との約束守れる?」
紫「約束…?」
桃「1、切りたくなったら俺に言って」
紫「ぇ……」
桃「2、切っちゃったら報告する事」
紫「ぅ……」
桃「守れる?」
紫「分かったッ…守る……」
桃くんとの約束事を交わした
そしたらメンバーが抱き着いてきた
紫「わぁっ…!」
番外編はまた投稿します
一応、❦ℯꫛᎴ❧
コメント
8件
まじ最高だった....!!! 紫ーくんの気持ちくそわかるから桃くんみたいな人が近くに居たらなって思ってしまう、わら
最高でした😭✨僕も💗くんに手当される世界線が良かった、、❤️くんの💜ぁーくん好きぃが可愛すぎます🤦♀️
うわぁぁぁぁ(´;ω;`)好き