「夕食も済ませたし、この後はどうしようか?」
彼の問いかけに、「うーん……」と、頭を巡らせる。ただ、いろいろと考えてみても、やっぱり究極は一緒にいられればそれだけでいい気もしていると、
「……まぁ君といられたら、それでいいんだがな」
そう彼が口を開いた。
「……あっ、それ今、私も思っていました」
二人の気持ちが通じ合えていたことに、心がじんわりと満ち足りていくのを感じる。
「君も、同じ思いでいてくれて嬉しいよ」彼がメガネの奥の眼差しを和らげて、ふっと微笑む。
そのイケメン過ぎる笑い顔に、つい見とれていると、
「……そうだ、まだ昼のワインがあるから飲まないか?」
彼が思い出したように口にした。
「残りもののワインは、サングリアにするのもいいかもな」
「サングリア、ですか?」
「ああ、ワインにフルーツを入れたカクテルだ」
彼に言われて、バーでフルーツをたくさん漬け込んだボウルから掬ったワインをお客さんに提供しているのを、見たことがあったと思い出した。
「サングリアなら、君にも飲みやすいと思うから、冷蔵庫にあるフルーツで手早く作ろう」
「それなら、私も手伝います」と、彼と一緒にキッチンに立った。