テラーノベル
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何を知ったつもりだ
ずいぶん立派なことを言うじゃないか
画面の向こうを眺めて
全部わかった顔をして
「間違っている」
「こうするべきだ」
――便利だね、正義って。
責任を取らなくても
大声だけは出せる。
見えないものは
存在しないらしい
ならば君の背中にある
その巨大な死角は
いったい何なんだ?
千里眼を持ったつもりの友よ
足元の小石で転ばないでくれ
遠くの間違いを指差す前に
自分の靴紐くらい見ておけ。
「こっちが正しい!」
「いや、あっちが正しい!」
声だけが増えていく
中身はどこかへ置いてきたらしい。
おめでとう。
議論は白熱しました。
なお、誰も
相手の話は聞いていません。
ざわざわ
がやがや
正論、正論、また正論。
その正論で
誰かの人格まで
踏み潰す必要があるのか?
悪いことをしたなら
悪いことを批判すればいい。
間違った言葉なら
その言葉を正せばいい。
なのにどうして
「お前はダメだ」
「消えろ」
「存在する価値がない」
そこまで行く?
――ああ、なるほど。
批判と八つ当たりを
同じ箱に入れたんだね。
ラベルはもちろん
「正義」。
なんとも便利な収納箱だ。
それでも僕は進む。
一歩ずつ
遅くても
笑われても
疑われても
昨日より少しだけ
前へ。
やめろと――なんて
景気よく歌う余裕はない。
息は切れるし
道は長い。
それでも進む。
だって、
口だけで世界を変えられるなら
とっくに世界は
完成品だったはずだから。
さあ、好きなだけ吠えればいい。
僕は聞く。
必要な言葉だけ拾って、
残りは――
ゴミ箱へ。
分別くらいは
ちゃんとしておこう。
コメント
1件
あ、これ…………詩、だよね。第18話でここまでグッとくる構成、すごいなあ。 「正義って便利だね」「責任取らなくても大声だけは出せる」――この辺、ほんとにそうだなって思う。ネットでよく見る光景そのまんま。それでいて「それでも僕は進む」ってところに、ちゃんと希望とか意思みたいなものもあって、読んでて苦しいけど、ちゃんと最後まで見届けたくなる感じ。 飛鳥.ミラゐさんの言葉選び、短いのに重みがあって、心に刺さります🥀
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#七つの大罪シリーズ
夢野 ゆみ
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