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剣持side
「おはようございます!」
「甲斐田くん、うるさいですよ?」
「あ、やっぱ長尾来ない感じ?」
「そりゃ、景くんには負担になるだろうし……」
しょうがないといえばしょうがない。しかし、この2人はきちんと説明してきたのだろうか。それによっては要らぬ誤解を生んだ上に、今度はこちらが拗れそうなのだが。甲斐田くんと弦月くんの距離も近いし。
「ちなみに、事情は話してきたのか?」
「俺も行く、と言ってついてきそうだったので言ってないです」
「それは……大丈夫?あ、葛葉、全部思い出したよ?ごめん、ね……?」
「……!ごめんじゃねぇよ、まじで……」
泣き笑いをしている葛葉。そんなに嬉しいことだったんだな。僕の虚空教というのは、何に基づいているのだろうか。それ自体はある、と葛葉も甲斐田くんも断言していたけれど。
「あ、それでね?堕ちちゃって今は堕天使なんだよね」
「天界に拒否反応は?」
「ないよ〜?これでも元熾天使ですし?」
「まだ座は空いてるからな」
記憶が元通りになるだけでこんなにスムーズに話し合いが終わるんだ……。これはこれでどうなんだ、とは思うけれど突っ込まないでおこう。
今の2人に突っ込んだら、病んだ答えが返ってきそうだ。いや、確実に返ってくるだろう。イチイと黒薔薇の呪いを互いに掛け合っているぐらいなのだから。
「あ、そうそう。もちさぁん、イチイと黒薔薇のは叶さんが1人でかけたものですからね!最上位はこういうことまでできますから!」
「毎回、2人はどの神族か分からなくなっていくんだけど……」
「もちさん、もちさんも同種というか同類ですからね⁉︎」
「そうじゃないと、神気量がそこまではないかなぁ」
「あ、確かに一回神気当てられてキツかったのある〜。にぃやんはさぁ、堕ちてるから特に問題はない神気だし、葛葉は魔族よりの神気だからまだいいんだけど、圧倒的に剣持のはキツイ。甲斐田は中途半端だから大丈夫」
「ていうか、これ、伏見が喰らったらやばくね?圧倒的上位者からの神気を喰らうのって結構キツイんだろ?」
うん?あれって長尾くんでは?目にハイライトがない。相当、ヤバい状態になるのではないだろうか、甲斐田くんが。ハイライトの消えた子は色んな意味で何をやらかすか分からない、と聞いたことがあるし。
それに、長尾くんの方から人間ではないような気配がする。それを含めて完璧に操っているようだから、相当の手馴れなのではないかと疑える。
「なぁ、晴。なんで勝手に何も言わずにここにいんの?理由聞いたよなぁ?」