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目を覚ましたとき、天井の白さだけがやけにくっきりしていた。


「ここは…..?」


頭がぼんやりとしていてはっきりしない。

白く光る蛍光灯が眩しくて目がくらみそうだ。

瞬きを繰り返すうちにだんだんと理解した。

ここは病室だ。

どうして僕は病院なんかにいるんだろう。

倒れたりでもしたのかな、いやでも倒れた記憶なんかないんだけどな。

じゃあ怪我でもした?

確かに身体痛すぎて動かせないし。

いや、そもそも何で怪我したんだ?

何で何も覚えていないんだ?


流石に名前は覚えてる。

家族構成も、自分の学校もわかる。

全てを覚えていない訳じゃない、 過去の出来事だって断片的な記憶はある。

けれど断片的過ぎていまいち情報が掴めないし、記憶の中の人物が誰かもわからない。

必死に思い出そうとしても何も浮かばない。

“忘れている”というよりも”もともと空白だった”の方が近い感じ。

自分がどんな人間だったのかわからない。

それに気付いた時思わずぞっとした。


ふと左腕に違和感を覚えた。

点滴が繋がれている。

点滴を打たれるってよっぽどだと思うのだが、そんなに重症なんだろうか。

というか、こういうときってナースコール押した方がいいのかな。

ドラマとかだとこのタイミングで看護師さんが来て、先生を呼びに行くのがよくあるケースだが、実際そんなことはないので大人しくナースコールを押した。











医師が言うには僕は交通事故にあったらしい。

事故の影響で一部の記憶が混乱している、つまり記憶喪失という訳だ。

僕の場合は自分自身に関する記憶が曖昧で、新しい出来事を覚えるのにも少し苦労する可能性があるらしい。


『人格そのものが失われたわけではない』


医師の言葉を頭の中で繰り返す。

人格が失われていないなら、今ここにいる僕はちゃんと僕なんだろうか。

昔の蒼井茜も、今の蒼井茜でさえも僕はよくわかってない。

もし「今の僕」が、過去の僕の続きじゃないとしたら。

もし「昔の僕」が、誰かの記憶の中にしか存在しない人間になってしまったら。

怖い、自分がわからないのが怖い。


答えの出る筈のない考えが、ずっと頭の中をぐるぐると回っている。

寝付けない。

まぁ今までずっと寝てたから寝れないのも当然なのかもしれないけど。


…..そういえば、僕が寝ている間にもお見舞いに来てくれた人がいた、って看護師さんが言ってたな。

お見舞い…、僕のことを知っている人達…..

そうだ、その人達から話を聞けばいい。

きっと記憶を無くす前の僕のことがわかるはず。


自分が誰だかわからない恐怖を押し殺し、無理矢理目を瞑る。



明日になれば大丈夫

明日になればきっと…..

君だけが何処にもいない

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