鈴視点でもベル視点でも違和感ないような感じにしたかった。鈴視点に近いかも、ごめん
スタート
21年前ある家で一卵性の双子の姉妹が生まれた。
姉の名前がベル、妹の名前が鈴という。鈴は幼いことから優秀であったが体があまり強くなかった。ベルは比較的あまり優秀とは言えない子だったが体が強かった。2人はお互いに手助けしながら生活していた。
だが2人が小学校に入学する前の年くらいから親が2人の名前を入れ替えて呼ぶようになった。2人は単に間違えているのだろうと思い、ベルが一つ、鈴が二つに髪を結んで区別できるようにした。
だが、親も親戚も呼び方を元に戻すことはなかった。鈴は親に尋ねた。
鈴「わたしは鈴なのにどうしてベルって呼ぶの?どうしてお姉ちゃんのことを鈴って呼ぶの?」
母親「いい、ベル。うちの家で双子が生まれたら優秀な方が姉なの。でもね、戸籍は変えられない、変えない決まりなの。でも双子は見分けがつかないから私たちの中で勝手に変えてしまえばいいからね、いい、あなたがベルよ、わかった?」
鈴「でも、わたしはお姉ちゃんの妹で……」
母親「わかった?」
鈴「……はい」
その日から妹はベル、姉は鈴として生活した。ベルは優秀ではないからよく虐げられていた。でもベルとしてではなく、鈴として。鈴は優秀だったからよく褒められた。鈴としてではなくベルとして。
最初はベルは自分の名を、名乗っている妹が褒められているのが嬉しかった。だがだんだん、あくまで自分の本当の名前で褒められているだけで、褒められているのは妹でしかないと自己嫌悪に陥るようになった。自分さえいなければ鈴は本当の名前で本当の姿で褒められているはずだった。とそんなことばかり考えてしまうようになった。
鈴は、自分の名前など関係なく、姉が虐げられているのが苦しかった。自分がいなければ姉が幸せだったのかもしれない。そんな考えからはまっていた魔術の研究の実験台をネズミから自分に変えるようになった。故に11の頃から身体が成長しなくなった。
じぶんが成長しなくなったら姉が、姉として扱われるのではないか。そう思った時期もあったが身体なんて関係なかったようで、進路を明確に決める間まで、妹が姉として扱われ、姉が妹として扱われていた。でもお互いだけは自分を本当の姉、妹として扱い過ごしていた。それだけが2人にとって自分を保つ方法だった。
鈴が進路を決めるときに姉に相談した
鈴「姉さん、相談があるの」
ベル「ん?どうしたの」
鈴「わたし、医者になりたくてね」
ベル「そうなの?鈴にぴったりじゃん、人の役に立とうとするなんて。鈴は優秀だしすぐになれるよ」
鈴「でね、医師免許取るときの名前はね、鈴で取ろうと思うの
ベル「え、、どうして?鈴はベルとして扱われてる、医師免許取ろうとするときだって私の名前を…」
鈴「それだったら、自分の意思とは違うの。姉の名前で医者になるなら親の思い通り。それだけは死んででも避けたくて……、親の言いなりになるくらいなら、この家の人間じゃなくていい」
ベルも同じ考えだった。
ベル「じゃあ母さんたちには内緒ね」
鈴「…はい!」
〜鈴side〜
鈴「わたしが医師免許を取ったことを伝えようとした時は、姉は家にいませんでした。どうしても、姉に会いたくて…黒金鈴なるものをやっていると聞いて、わたしは冒険者になったんです……
末吉「なるほどな
鈴「わたしが、わたしが悪いんです、親の言いなりになってればこうなってなかったかもしれない……姉さんは悪くないんです!きっと何か事情が…
末吉「事情があったにしろ殺しをしてたことは変わりない、まぁ判断はかなたがするだろうけど
Re「え、じゃあなんで慌ててたの?
鈴「止めないと、二度と会えないような気がして、少しでも話したかったから…
Re「大丈夫それ、ワンチャンかなたが殺さない?
鈴「わたしに殺すなって言ったから大丈夫だと思います。
末吉「あいつバカだからわかんねぇぞ
鈴「………
ずっと考えてた。自分が魔力を最大限使えない理由。だけどどれだけ考えてもわからない。自分の力不足なのか、それとも何か過去の出来事が何か起因してるのか。自分が原因なのはわかってる。でも何が原因なのか全くわからない、やっぱり姉さんの言う通りわたしは出来損ないなのかな……
kanata『鈴ってさ、いつも本気で戦ってんの?
鈴『え、なんでですか?
kanata『いやー、鈴って、自己肯定感とか、自己認識能力とかが地中に埋まってるから魔力をちゃんと発揮できないんじゃないかなーって
鈴『いつも本気ですよ、魔力もちゃんと使えてます
kanata『まあ、今のままじゃ自分がやりたいことちゃんとできないんじゃなーい?
鈴『いや、馬鹿にしてますよねそれ
自己肯定感、自己認識能力が地中に埋まってる……自分をちゃんと認識できてないし、認めれてないってことなのかな。たしかに昔から魔力を抑えて弱いふりをし続けてきたけど…ほんとがわからなくなってるのかな
Re「関係ないかもだけどさ、かなた言ってたんよね、鈴の魔力は平均の2倍はあるって
鈴「そんなにないですよ!あってせいぜい平均の2/3くらい……
Re「………じゃあ2人が言ってたの合わせるとこういうこと?
※実際はボールペンで描いてます、多分
Re「青が鈴の本来の魔力、黒が平均、赤が鈴が思ってる魔力量ってことじゃない?
末吉「よくそんなん思いついたな
Re「勘
末吉「勘かよ
こんなに使える魔力が残ってたのか。なんだか納得いった気がする。かなたさんが言ってた自己認識能力が低いって言ってた意味。わたしは自分を完全に把握できてなかったんだ、身体、意思、魔力量でさえ。
鈴「わたし、もう一度姉さん……ベルのところに行ってもいいですか
Re「大丈夫なの?
鈴「大丈夫です、やれます……いや、やります!
末吉「がんばー
鈴「はい!
絶対に姉さんを正気に、元の優しい姉さんに戻す、それができるのはわたししかいないんだ。
おわり
コメント
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鈴もかなたんも頑張れ!ベルちゃんも!