鶴崎×ふくらP
「今までに無いくらい」
ふP「鶴崎さーん!」
鶴「ふくらさん?」
「どうしたんですか?」
ふP「今日、月が綺麗に見えるって!」
鶴「ほんとですか?」
ふP「ほんとほんと!」
「ほら見て!」
鶴「……ほんとですね!」
ふP「しかも今日満月なんだって!」
鶴「え、奇跡じゃないですか!」
ふP「見たいなぁ〜…!」
鶴「一緒に見ますか?」
ふP「えっ、いいの?」
鶴「はい!」
「僕も見たいので!笑」
ふP「え、じゃあさ!」
「一緒に見ない…?」
鶴「いいですよ!笑」
ふP「やったぁ!笑」
鶴「でもどこから見えるんですかね…」
ふP「ん〜…」
「まぁ家から見えるんじゃない?」
鶴「そうですね!…笑」
「じゃあふくらさん家行ってもいいですか?」
ふP「うん、いいよ!」
鶴「じゃあ行かせてもらいますね!笑」
ふP「うん!笑」
ピンポーン
ガチャッ……
鶴「来ましたよっ!」
ふP「鶴崎!」
「わざわざありがとうね!」
鶴「いえいえ」
ふP「上がって!」
鶴「おじゃましま〜す」
ガチャッ……
鶴「ふくらさん家って綺麗ですね!」
ふP「そうかな?」
鶴「はい!」
ふP「まぁ伊沢よりはマシか……」
鶴「判定基準伊沢さんなんですか?!笑」
ふP「え、うん!笑」
鶴「絶対ダメですよ!笑」
ふP「え〜、いいじゃーん笑」
鶴「ダメです!笑」
ふP「はぁ〜い笑」
鶴「ふふっ…笑」
ふP「家から見えるって言ったけど、どこが一番見やすいかな?」
鶴「ベランダってないんですか?」
ふP「あるよ〜」
鶴「じゃあベランダじゃないですか?」
ふP「確かに!笑」
鶴「じゃあベランダにしましょ!笑」
ふP「うん!」
ふP「わぁ…!」
鶴「綺麗ですね〜!」
ふP「本当に、綺麗……」
鶴「あ、写真、撮っておきますか?」
ふP「え、撮りたい!」
鶴「ふふっ笑」
「いいですよ!」
ふP「~~~♪」
カシャッカシャッ…
ふP「うん、綺麗…!」
鶴「そうですね〜」
ふP「…………」
鶴「…………」
「チラッ……」
ふP「………」
この時のふくらさんは、今までに無いくらい
ふP「……!」
幼く、綺麗で、儚く、輝いていた
ふP「鶴崎!」
「今の見た?!」
鶴「え、見てませんでした!笑」
ふP「今流れ星落ちたよ!」
鶴「何か願い事したんですか〜?笑」
ふP「あ、忘れてた…笑」
鶴「そこが一番重要なところですよ!笑」
ふP「ふはっ笑」
「ごめんね!笑」
鶴「……!」
今までに無いくらいに、今のふくらさんは笑顔で
ふP「………!」
まるで、新しいおもちゃを見つけた時の子供のように、目が輝いていた
むしろ、ふくらさんが子供なのではないのかと錯覚してしまうくらいには、月や様々な種類の星に目を輝かせていた
ふP「………」
僕は今、ふくらさんにこの気持ちを伝えなくては、二度とチャンスは落ちてこないだろうと思った
鶴「……ねぇ、ふくらさん」
ふP「ん、なに?」
「鶴崎!」
やっぱり、ふくらさんには笑顔が似合う
たった1つの流れ星でこんなにもテンションが上がっている、そんな君は美しく儚い
鶴「ふくらさん」
「今夜は月が綺麗ですね」
ふP「ッ………」
あぁ、失敗したか
こんな所でカッコつけるなんて、間違いだったな
ふP「鶴崎……」
ほら、君の目はさっきみたいに輝いていない
むしろ、悲しげな目をしている
やっぱり、僕なんかに告白、ましてや有名な夏目漱石の台詞での告白なんて嫌だっただろう
ふP「それって、告白…?」
今にも泣き出しそうな君の瞳を見つめながらも思った
やっぱり君には触れない方が綺麗だった、と
鶴「そうですよ」
僕はどうせ振られるだろうと思っている
今にも零れ落ちそうになっている君の瞳には、涙が段々溜まってきて、夜空で輝く数々の星の光が反射していた
ふP「鶴崎ッ……」
君は今からなんて言うのだろうか
今にも泣き出しそうな君からは、口を開いたら感謝の言葉が出てくるのだろうか
それともやっぱり、君の泣き始めが先で、嗚咽が漏れ出てくるのだろうか
振られる覚悟は出来ている、いや、むしろ振られる覚悟しかない
ふP「……ありがとうッ…」
僕は感謝の言葉が君の口から出てくるとは思ってもいなかった
ましてや、必死に涙と嗚咽を堪えてまで感謝を伝えてくるとは思っていなかった
鶴「……ふくらさん、嫌じゃないんですか…?」
思わずそう聞いてしまった
だって、こんなにも涙と嗚咽を必死に抑えてまで感謝を伝えているんだから
君が我慢をしているんではないかと考えたから
ふP「嫌じゃないよッ…」
「俺も、鶴崎の、ことッ…!」
君は今からなんて言うのか、今の僕には想像も出来ない
君は『嫌じゃない』と言った
その一言の衝撃が強かった
僕は『嫌だ』という返事が返ってくるだろうと思っていたからだ
『嫌じゃない』、その一言は僕の頭の中には微塵もなかったのだから、その一言で僕の頭は混乱し始めた
ただ、まだ今は君からの返事を待つターンだ
ふP「うぅッ……」
ほら、泣き始めてしまった
今まで必死に堪えてきた涙と嗚咽が漏れ出てきた
けれど、そんな君の涙も嗚咽も綺麗で、君は本当に人なのかと錯覚してしまうくらいには、綺麗な涙と嗚咽
まるで、つくられた機械のような綺麗さ
僕は君が泣き終わるまで待つか、僕から話を切り出すか、この二択さえも君と僕の人生を変えるであろう
鶴「ふくらさん、大丈夫ですよ」
あぁ、またやってしまった
『大丈夫ですよ』、何が大丈夫なんだよ
今、何を思って『大丈夫ですよ』と言ったのだろうか
僕は覚えてない、恐らく考えてすらいない
君が泣いている姿のせいで、僕の頭の中はまた混乱し始めている
ふP「つるさきッ…!」
君はやっと口を開いた
たった数分間だけ君は口を開いていないはずなのに、一気に僕の時間感覚は狂い始めた
たった数分間なのに、数十分は経ったのではないかと錯覚してしまう
鶴「なんですか?」
そう、これでいいんだ
無駄な事は何一つ聞かずに、君からの返事を待つ
例えどれだけ時間が経っても、今日中に君から返事が返ってこなくても、僕は君からの返事を待ち続ける
その覚悟で僕も君からのこたえに返事をした
ふP「おれもッ、すきッ……」
君は先ほどよりかは早く返事をくれた
君からの返事は『俺も好き』、こんな事が現実にあっていいのだろうか
ここは夢なのではないかと錯覚してしまうくらいには、君からの返事は予想外だった
まさか、夏目漱石の台詞での告白をちゃんと受け取ってくれるとは思ってもいなかった
『俺も好き』、この一言がまた僕の頭の中を回っている
君はまだまだ泣きじゃくっている、まるでうまれたばかりの子供のように
さっきまで涙と嗚咽を必死に我慢していた君も美しかったが、今の涙と嗚咽を我慢せずに泣きじゃくってる君も美しい
僕は君からのこたえになんて返事をしようか
鶴「僕も好きですよ」
『僕も好きですよ』なんて、ありきたりすぎる返事をしてしまった
もう一度君の瞳と姿を見てると、先ほどよりも涙の量が増え、体も小刻みに震えている
君をどう慰めようか、そんな事を呑気に考えていたが、慰めるのは違う
さっき君は『俺も好き』と言ってきた
そんな君を慰めるのは違う、もっと僕が君に寄り添わなくてはいけない、そんな気がした
鶴「ギュッ……」
ふP「つる、さきッ…」
僕は君に抱きついた、もちろん真正面からちゃんと、抱きついた
君の涙の量はまた増えた、そして嗚咽の量も増えた
僕は今、君の瞳を見ることはできない
けれど、君の小刻みに震えている体、君の体温 、君の心拍音は、しっかりとわかる
気付けば僕も泣いていた、 君と一緒に泣いていた
君の着ているカーディガンをギュッと手で掴みながら、一緒に君と泣いた
君は僕が抱きついた時から、僕の着ている上着を必死に握っているようだった
君と僕は二人で泣いた
満月の夜、様々な流れ星が流れるように、君との時間はあっという間に過ぎていった
僕は心の中で恐らく流れているであろう流れ星に必死で願った
“ふくらさんと僕が一生一緒に居られますように”
そんな事を願った
『ふくらさん』じゃなくて『福良拳さん』にしておけばよかったかな
名指しだったら君と僕は、一生一緒に居られるかもしれない
願い事をした後に思った
“やっぱり君には、触れない方が綺麗だった”
君と僕の涙はまだ枯れることがないくらい、ずっと溢れ出てきている
君が掴む上着の力が強くなった
その瞬間だけは、満月の夜、夜空にたった一つの流れ星が落ちたようだった
コメント
1件
これは満月って聞いて思いついたやつです