「さーもーさん!」
「どうしたの?凸さん。」
「実はさ、遊園地のチケット貰ったんだよ。だから一緒に行かない?」
「もちろんいいよ。」
「やった!めっちゃ楽しみ!…あ、俺用事あるんだった。」
「さもさんまたね!」と手を振る凸さんに手を振り返して凸さんを見送ったあと、俺ははっと気づいた。
待ってこれ…デート…?
はあ…デート…大丈夫かな…
「…あれ、さもくんじゃん。」
後ろから声をかけられて、振り返るとそこには中学時代の同級生であるべるさんがいた。
「久しぶりだね、なんかあったの?悩んでそうだったけど。」
べるさんに公園のベンチに連れられて一緒に座る。
「…なーるほど!」
話を聞いてくれたべるさんは嬉しそうに頷く。
「うんうん、さもくん凸さんのこと大好きだもんね〜デートは嬉しいよね!」
「…うん。」
「…にしてはなんか悲しそうな顔してるけど…」
「…少し、怖くて。」
べるさんは口を閉じて静かに俯いている俺の顔を覗き込む。
「…凸さんに告白して、もしも断られたらって…今までの関係を壊しちゃうような気がして…最近、それが頭の中にずっとあって、もやもやするんだ。」
「……………」
「その状態でデートなんて行って、ちゃんと楽しめるかなって…」
「…………………ふーん…さもくんはさ、どうしたいの?」
「…え?」
「今すぐに告白したいってわけじゃないよね?告白なんて簡単にできるものじゃない。その人の愛相応の覚悟がいる。」
「…え、あ、えっと…」
「さもくんは凸さんと一緒にデート行って楽しみたくないの?…違う、思いっきり楽しみたいはずでしょ。…だから」
べるさんが大きく息を吸う。
「…だから!今は細かいことは考えずにデートを楽しんできたらいいんだよ!告白うんぬんはその後!未来のことを考えすぎても仕方ない!」
「………………………」
俺はべるさんの勢いに何も言えなかった。
「…………………あっ」
べるさんははっとして慌てて自分の口を手で塞いだ。
「…………………えっと、ごめん、勢いで色々喋っちゃた。」
「…………………いや、大丈夫。」
…そっか、そうだよね。
「俺、凸さんとデート楽しみたい…絶対に!」
「うんうん、私はそれが聞きたかったんだよ!」
「…べるさん、ありがとう。」
「どういたしまして!」
べるさんはそう言いながら立ち上がった。
「…そろそろ帰らなきゃ、じゃあまたね!」
「うん。またね!」
俺とべるさんはお互い手を振り合って家へと向かった。
…私さもくんにちゃんとアドバイスできてたかな?
勢いで言っちゃったけど…まああの二人なら大丈夫かな。
だって、凸さんもさもくんのこと好きだもんね〜
嬉しい気分で歩いていると、鞄からスマホが鳴る音が聞こえた。
「…もしもし、ななっし〜。」
『もしもし!あのさ、急で悪いんだけど…』
『…………………その、映画…行かない?』
「…………………あ、え?」
『…ご、ごめん!ほんとに急で…断っていいかr』
「いいよ」
『…え、』
「…いいよ」
『……………………………………』
「……………………………………」
「………す、」
『…”す”?』
「…好きだよ、ななっし〜…」
『〜〜〜!』
「…えっと、」
『…なんか、べるから”好き”って言ってもらえたの、久しぶりな気がする…』
「…だ、だって恥ずかしいし…」
『………べる』
「な、何…?」
『………好き、だよ…』
「………………!?」
『………じゃあ、また学校で…』
「…あ、うん、またね…」
電話を切ったあと、私は恥ずかしさでその場で立っているのがやっとだった。
コメント
5件
うん、最高(満場一致)
ななべるもいいんだよな〜、この物語でななべるは付き合ってます。つまりGえ(((殴