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今回はリクエストです。
ママあいを書くのが久しぶりなので
語調などに違和感を感じる
可能性がありますが、
ご了承ください。
世界線:全員が無事に産まれている
「お兄ちゃーん?」
「あー?なんだ?
かくれんぼでもしたいのか?」
「もうそんな歳じゃないよ!
勉強を教えてほしくて…」
僕は六つも上の兄に勉強を教わる。
お兄ちゃんの頭が良いかはさておき、
気軽に聞ける相手はこの
1番目のお兄ちゃんしかいないのだ。
「おれってそんなに
勉強できるように見えるのか!?」
「見えないかな」
期待された目で見られたが
僕には咄嗟の対応力がなかったため、
本音が漏れてしまった。
がっかりとした表情を見せた後、
お兄ちゃんはため息を一つつく。
「んで?教わりたいのはどこだ?」
「えっと、ここの問三の……」
見た目とは裏腹に、
意外と勉学のできる兄に驚いた。
「なんだぁその顔、
おれはそんなに頭悪くないぞ!」
「ご、ごめん…
いつも2番目のお姉ちゃんが
『アホ』って言ってるから…」
「……口癖、だよなぁ」
なんだか煮え切らない返事をされた。
「なにか悩み事でもあるの?
僕でよければ聞くよ!」
「なら6番目!
折り入って頼みがある!」
「な…なぁに…?」
勢いよく肩を掴む
お兄ちゃんの迫力にやられ、
話を聞かざるを得なくなってしまった。
「実は……───」
「………え?」
お兄ちゃんからの相談は、
予想外のものだった。
「反抗期になりたいって…なに…?」
「あっは!そのまんまの意味だぜ!
反抗期とやらが
おれにはきてないらしいからな!」
相談相手を
とても間違っているとは思うが、
聞いてしまった以上
聞き流すことも出来ない。
知恵を捻り出し、
反抗期になるための材料を
かき集めてみる。
「…じゃあ、例えば──」
まずは作戦一、返事をしない!
何を言われても無視を突き通す…
正直お兄ちゃんには難しい気もするが、
考えないことにしておく。
「1番目〜?いる〜?」
「………」
早速ママがお兄ちゃんを呼んだけれど、
いい感じに無視ができている。
この調子なら、少しであれば
反抗期にはなれているのだろう。
「いないのかしら…
せっかく1番目の好きなプリンを
買ってきたのに…」
「いる!
ここにいるぜ!ここに!
プリン食べる!」
お兄ちゃんは物欲に弱いことが
よく分かった。
次は作戦二、反論をする!
反抗といえば反論だよね!
よく分からないけど!
「ちょっと、アホ。
そこ退いてもらいたいんだけど?」
「見たいテレビがあるんだ!」
次に来たのは2番目のお姉ちゃんと、
3番目のお姉ちゃんだった。
「…聞いてるの?
退きなさいって言ってるのよ」
「おれはアホじゃないから退きませーん」
お兄ちゃんが2番目のお姉ちゃんに
反抗しているところは初めて見た。
だからこそ、
相手を間違えたのかもしれない。
「あら、それなら
ミノムシ?ミジンコ?
…いえ、比べられるミジンコ達の方が
可哀想ね。そこの害虫、退きなさい」
「そこまで言わなくても
いいじゃねぇかよー!」
「お姉ちゃん、さすがにそれは
言い過ぎだったかも…?」
泣き喚くお兄ちゃんをよそ目に
2番目のお姉ちゃんにしれっと
謝罪をさせることを試みる
3番目のお姉ちゃん。
でも、否定はしなかったんだよね。
なんでだろ?
作戦三!常に反抗期の人に聞いてみる!
「バカにしてんの?」
「あっは!んなわけねぇだろ?
敬ってるんだよ」
4番目のお兄ちゃんは
いつも反抗しているイメージがある。
食事のときも
「…なにこれ」
「おれの愛情を込めた
オムライスだぜ!」
「食欲失せた。残す」
「ちょっと、4番目!?」
下校時に見かけたときなんて
「私、ずっとあなたの事見てて…!」
「気持ち悪い…ストーカーってやつ?
嫌われるだけだよ。
現に今も君の事嫌いになった人が
いるわけだし」
「でも…!」
「僕の言ってることが聞こえないの?
とっとと消えろって言ってんの」
「…ごめん、なさ…」
「日本語わかんない?
消えろって言ってんだよ!」
このように、誰にでも反抗期なのだ。
「それで、反抗期のなり方を
教えてほしくて…」
「なりたくてなってる訳
じゃないんだけど」
4番目のお兄ちゃんの
言いたいこともわかる。
反抗期のなり方を教えろ、
なんて言ってもそれは
『お前は反抗期だ』と言っているのと
同じなのだから。
「…今まで何してたの」
「えっと、無視したり、反抗したり!
でも、お兄ちゃんことごとく
失敗してて…」
今までの事をこと細かく話す。
少し考える素振りを見せたあと、
お兄ちゃんは口を開いた。
「ならもう性格から叩き込まないと」
「叩き込む…?」
思ってもいなかった解決策がでてきた。
「ヘタレだから反抗できないんでしょ?
ならヘタレを治さないと」
「ヘタっ…!?ヘタレじゃねーよ!」
「確かに、お姉ちゃんに
泣き喚いてたくらいだし
ヘタレなのかも…!」
「お前ら酷くないか…?」
ピンと来てしまった僕で
追撃を喰らったのか、
お兄ちゃんは半泣きの状態になっている。
「アンタが反抗期になりたいって
言うからここまで
手助けしてやってんのに
文句言うの?図々しいにも程があるでしょ」
そして、トドメを刺されたのだろう。
お兄ちゃんはその場で気絶してしまった。
1side
「…ぅあー…んん…?
ここは…」
「お、目ぇ覚めたか」
情けない声を出しながらも
瞼を開くと、
そこには弟の5番目がいた。
「6番目と4番目は?」
「二人とも勉強してたけど、
今は寝てんじゃねぇかな」
「…今、何時だ?」
今は寝ている、
という言葉に違和感を覚えた。
「今は…深夜二時くらいだな」
「おれ、めっちゃ寝てたんだたな…」
「6番目から話は聞いたけど、
相当ショックだったんだろうな」
5番目は反抗期では無いが、
かっこよくはある。
第一に弟のことを考えて、
自分を犠牲にできる
かっけぇ兄ちゃんだ。
「…なぁ、
反抗期ってどうやったらなれんだ?」
「オレにも聞くのかそれ…
つっても、別に反抗期に
こだわらなくてもいいんじゃないか?」
希望を抱かずに
聞いてみた事だったからこそ、
内容を予想することは出来なかった。
「いやでも…大人ってあれだろ?
反抗期を乗越えてできる人格だろ?
おれは、ママや2番目みたいに
反抗できるように
成長出来なかったから…」
「それでも、
今までを生きて大人になってるんだから、
それでいいじゃねぇか」
きっと、彼に慰めようだなんて
気持ちはないのだと思う。
これが彼の素の優しさなのだ。
「それに、兄貴が急に反抗的になっても
解釈違いしかないしな」
「そんなにイメージないか…?」
「そりゃあそうだろ。
兄貴はバカやって笑ってた方が、
よっぽど兄貴らしいよ」
歯を見せて笑う5番目は
とても輝いて見えた。
6side
「2番目ー!」
「なんなの!?
昨日の今日で変わりすぎでしょ!
きもい!」
「あっは!そんな事言うなよー!」
暁から数時間後に
お兄ちゃんを見たときには、
反抗期なんて知らない
と言わんばかりの雰囲気だった。
「おにぃちゃん何したの…?」
「あー?普通に
オレなりに話しただけだよ」
おにぃちゃんは1番目のお兄ちゃんが
起きるまでずーっとそばにいたらしい。
ママは前に
「5番目は困ったときに
無意識に手を差し伸べてくれるから、
ママも助けられたことが
何回もあるのよ」
と言っていた。
ママの手伝いだけでなく、
兄弟の悩みすら解決出来てしまう兄を、
僕はずっと尊敬している。
「おにぃちゃん!遊ぼ!」
「いいぜ、何して遊ぼうか?」
僕は個性豊かなこの家族が大好きだ。
リクエストありがとうございました。
ほのぼのかよく分からないものに
なってしまいましたが、
楽しめていただけたら幸いです。
それでは。