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こんにちは、LINEマンガで読める漫画、
作戦名は純情が大好きな「哀愁」です。
作戦名は純情ファンの方なら分かると思いますが、今現在作者の方の体調の関係で108話で
更新がストップされています ; ;
dledumb様の
体調が一刻でも早く回復しますように。
そして今回、
作戦名は純情の続きを書こうと 思った理由は
活動休止期間が無期限なのと、
続きが気になりすぎて仕方がないので
自分で続きを書いてみることにしました︎^_^
主人公の愛美が 自分の好きな漫画のスピンオフ小説を書いているというのも理由の一つです。
私の名前が哀愁なのも、
愛美をリスペクトしてです笑
読んでくださる方がいるのかは分かりませんが
もしいるのならば、作戦名は純情が再開するまでの暇つぶしとしてお楽しみください(^_-)-☆
前回までのあらすじ
色々なことがあったが、順調に付き合っていた
橘くんと愛美。
しかし、橘くんの父親と音楽教師のキス写真が
来夢によってネットに投稿され、
2人の不倫が公になってしまう。
それから学校に来なくなり、
音信不通になった 橘くん。
そして、心配していた愛美に何も言わず、
海外留学に行ってしまったことが分かった。
橘くんのこともあり、
10年間恋愛をしてこなかった愛美 を心配して
友達の春奈が良い人を紹介してくれることに。
恋愛する気はなかったが、 春奈が心配してくれているのを わかっていたので、
ブラインド デートをすることになった愛美。
しかし、なんとそのお見合いのレストランには
帰国した橘くんが!
仕事の関係でまた再開することになった
愛美、橘くん、百谷くん。
10年ぶりに集まることになる3人の
関係性はどうなっていくのか…?
作戦名は純情109話
私を見て橘くんが笑った。
本当に憎らしい。
私を何年も苦しめて、傷つけた橘くんが
目の前で笑っていたから。
「だって、先に敬語を使えって言ったのは木無さんなのに。」
「あっ⋯」
「俺は別に敬語じゃなくてもいいですけどね。
このまま話しますか?」
「敬語のままで。」
「分かりました。」
そう言ってため息をついた橘くん。
自分でも気付かないうちに敬語を
崩してしまっていた。
あの頃が懐かしいのだろうか、
体は感覚を覚えてるってよく言う。
(それにしても橘くんの態度は
どうにかならないの?)
18歳の冬、あの真冬に凍えそうになりながら橘くんの家の前で会えるかもしれない、と無駄な希望を抱いて待っていた私。
18歳の春、卒業式には来るかもしれないと思って、ひたすら学校の門を見ていた私。
どれだけ傷ついても私の願いは変わらなかった
1回でいいから、
会って欲しかったし、
電話に出て欲しかったし、
メールを返して欲しかった。
無論、その願いは叶わなかった。
橘くんのことを考えるのが辛かったから、
あの頃の淡い思い出は全部
クローゼットの片隅にある箱にしまった。
あれだけの思いで、気持ちを整理して、
精一杯頑張ってきたのに
会ってしまったら、また崩れそうで怖かった。
でもその心配はもう必要ない。
あいつなんか嫌いだから。
作業室がある建物はここかな?
綺麗なビルの前で車が止まった。
橘くんが車を降りて、
私の扉の前までまわって扉を開けた。
(今更優しくでもするつもりなの?)
そう思ったからお礼は言わなかった。
ビルの中に入っていく橘くんに続いて私も入って行った。
何も喋らないから、気まづい空気が漂う。
そのままエレベーターまで来た。
正直最悪だと思った。
ただでさえ気まづいのに狭い密室にいると
もっと気まづくなる気がするから。
2人きりのエレベーターの中で、前に一緒に乗った時はドキドキして胸が破裂しそうだったことを思い出した。
あの頃は殺人予告がされていた状況だったから、余計怖かったし。
2人で乗るには少し広いエレベーターで
距離を空けている私たち。
エレベーターには
人の距離を縮める効果があるのだろうか?
7階でエレベーターが止まり、
会社員たちが10人近く乗り込んできた。
自然と端の隅に追いやられる私たち。
壁に片膝をついて、
私の壁になってくれる橘くん。
少し汗くさかったあの日。
お互いを誤解していた私たち。
クラスメートから逃げるために部室の隅に追いやられ、見つからないようにギリギリまで近づいていた。そんなことを思い出していると、少し鼓動が速くなる。
(まさか私はまだこんなクズ野郎が好きなの?)
いや違う。
好きなわけが無い。
だって私の想像していた
再開とは全く違っていたから。
橘くんはなにか事情があって、私に何も言わずに留学に行き、そのまま音信不通になってしまったんだと思ってた。
橘くんも連絡したくて仕方なかったはず。
だって私がそうだったから。
私に連絡がなくても、きっといつかは
弁解してくれるって、そう思ってた。
時間が経つにつれて、
橘くんへの寂しさは怒りに変わった。
でも心のどこかではまた会ったら
何があったかを全部教えてくれて、
謝ってくれるって思ってた。
現実はそうはいかなかったけど。
謝ってすらくれない、こんなクズ野郎を
好きなわけがない。
多分、色んな感情がごっちゃごちゃになって
整理が追いついていないんだと思う。
17歳の私が背負うには、
あまりにも重い恋愛だった。
それに比例し、未練も大きくなり
ずっと心で引っかかっていた人だからこそ
どう接していいか分からない。
(相変わらず身長が高いな…
顔つきも大人っぽくなってるし。
まあ10年だもんね…)
距離が近いから橘くんの目が見れない。
橘くんも上を向いてる…
気まづいのはお互い様だね。
(あっ。)
2人の目が合った。
ここで逸らしたら逆に
気にしてるみたいで変だよね?
そう思って逸らさなかった。
橘くんも逸らさなかった。
(なんで見つめてくるの?
そっちが先に逸らしてよ。)
橘くんとこんなに目が合うのは
本当に久しぶりだった。
先に逸らしたら負けたみたいで、
嫌で、逸らさなかった。
でも橘くんが狼狽える様子は一切なくて、
私はこんなに近くで目が合って動揺してるのに、橘くんは全然そんなことなくて、
恥ずかしかった。
アメリカに留学に行ったんだから、
この距離で動じる方がおかしいのかもだけど。
分かってるけど、でも私だけ気にしてるなんて
まるで私たちの間には
何も無かったみたいじゃない。
ただのクラスメートみたいに。
22階でエレベーターが止まった。
橘くんが「降りますよ。」と目を逸らして言った。
22階ですってアナウンスが。
でも人が多くて降りれそうにない。
「すみません。通ります~」
って言ってみたけど、通れそうにはない。
(あぁ、閉まっちゃう。どうしよう。)
その時、彼が私の手を握った。
不意打ちのことだからまた鼓動が早くなる。
「すみません。通ります。」
私の手を握ったままエレベーターを出た。
「あっ。」
状況に気づき、瞬時に手を離した。
橘くんが、
どこか残念そうな顔をしていた気がした。
(そんな訳ないのにね。)
また静寂さが戻った。
エレベーターの外は綺麗な廊下だった。
インテリアも置いてあり、洒落てる所だった。
橘くんに続いて歩き続けていると、
あるドアの前で止まった。
「ここが作業室です。どうぞ。」
ドアを開ける橘くん。
部屋に入るとびっくりした。
綺麗好きそうな橘くんにしては
散らかってる部屋だったから。
クシャクシャ丸めた紙が机上に広がっている。
このビルはすごく綺麗なのに、
橘くんの作業部屋には人間味を感じた。
数週間前まで、橘くんが生きているという
実感がなかった。なんの痕跡も残していかなかったし、私の情報網で橘くんの現在を知るには限界があったから。
とっても有名になった百谷くんと同じぐらい、なぜか遠い人のように感じていたのに。
なんだかちょっと親近感が沸いた。
「散らかってますよね?」
そう言ってニヤッと笑う橘くん。
「まぁ。そうですね。」
そう返した愛美。
「このデスクで作曲などの基本作業をしてます」
黒のデスクを差す橘くん。
机上には外国の本と、ヘッドフォン、
パソコンなどが置いてあった。
「例えばこういう風に曲をアレンジしたかったら、ここを押して~」
マウスを押した。
「こういう風にするんです。」
「凄いですね。」
「橘さんは作曲をする際、どのような物からインスピレーションを受けてますか?」
「そうですね、本や映画を読んでその影響を受けることも多いですし、忘れたくないと思ったことはすぐメモするようにしています。」
「なので、自分の過去の思い出なども曲にしたりしています。」
メモをとる愛美。
(忘れたくないもの…
そのメモに私との過去は載ってるのかな。)
「…」
「そうなんですね。有難う御座います。」
「小さなインタビューなので、これで終わりです。正式なインタビューは今度あるのでそこでも詳しく教えてください。」
「こちらこそ有難う御座います」
車で愛美を送った橘くん。
(もうすぐ会社…気まづいし居心地悪い。)
(早く着かないかな…)
車が止まった。
「木無さん。」
「はい……??」
「この後予定ありますか?」
「いや、仕事が…」
「なら待ちます。一緒にご飯でもどうですか?」
「あ…」
(デート?ってことだよね?)
もしかしたら…
何も言わずに私の元を去ったことの
説明をしてくれるのかもしれない。
本当は知りたいのに、聞きたいのに、
素直になれなかった。
「忙しいので。」
「そうですか、わかりました。また誘います」
そう言って車を降りた愛美。
(あぁ、行くって言えばよかった。
説明してくれたかもしれないのに。)
(いやいやダメダメ!今更説明したから何よ!)
素直になれば良かったと思う反面、
これで良かったと安心する自分もいる。
(もし行ったとしても、
今更何を話せばいいのか分からないし。
これで良かったんだ。でもまた誘うって…)
頭の中は橘くんの悩みばかりだ。