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あの日から俺は元貴の元へ行けていない。
怖かった。単純に。
そして何も出来なかった自分が悔しい。
どうしたら良かったのかこれから元貴にどう向き合おうか、そう考えているうちに数週間過ぎ去ってしまった。
いつものように出勤をすると俺があの家で身体を売っている、そう噂が流れ始めていた。
近付くなと言われているあの家に毎週毎日行っている。
そうして変な噂が広まってしまった。
俺は元々会社でもそんなに話すタイプではなかった。
1人の方が楽だから。それが今裏目に出ている。
ある事ない事ヒソヒソと言われる日々に俺は段々やつれていった。
そんなある日社長に呼び出された。
噂の事か、そう思って社長室に行ったら違った。
俺がいじめをしている。
噂が変な方向へと行ってしまったのだ。
俺は必死に違うと訴えた。しかし人脈がない俺は信じてもらえなかった。
俺は1ヶ月の謹慎処分となった。
元貴とは話せず、会社はクビ間近。
もはや生きる意味を見失っている。
俺は自分から退職しようと届を出しに会社へ向かった。
会社の人に会いたくは無いが手続きをしないと辞められない。
重い腰を上げて社内へ入った。
「あれぇ涼架ちゃんじゃん!」
そう声が聞こえて振り返る。
同期達がそこにいた。
「身体売り飛ばしてる性欲モンスターの涼架ちゃん。」
そう言われて俺は無視して向かおうとした。
「おい待てよ?どうせ辞めんなら、俺たちに付き合え。」
そう言って俺を会議室に無理矢理押し込んだ。
「俺らさぁお前のこと一発やってみたかったんだよな。男だけど全然抱けそうな顔してるし。」
そう言って数人で追い詰めてきた。
「や、やだ…。」
俺は恐怖で固まってしまう。
「いいね、その顔。そそるわ。」
そう言って服を無理矢理脱がそうとしてきた。
「やめてっ!」俺はやっと抵抗する。
「うるせぇな。」そう言って1人が殴ってきた。
「いっ…。」
俺は殴られた衝撃で頭が回らなくなる。
「あとさーいじめの噂流したん、俺らだから。」
とヘラヘラしながら言ってきた。
「噂流れ始めたしこうやって犯せる日、来るかなーと思って。」
俺は涙と恐怖でぐちゃぐちゃだった。
「ま、一発やらせろ、よ!」
そう言って腹を殴られる。
「う……。」
怖い。痛い。助けて、そう思っても助けを呼べない。
呼べたところで誰も味方はいない。
俺はもう、なんでもいいと思ってしまった。
その瞬間元貴の顔をふと思い出す。
だめだ、まだ元貴と話をしてない。
「いやっ!!!」俺は全ての力を出して突き飛ばした。
「いって……!」
俺は乱雑に扉を開けて無我夢中に走る。
殴られた腹が響いて痛い。
限界に近くなって違う部屋へ駆け込んだ。
「はーっ…はっ…うっうぅ…。」
俺は何も考えられず泣くことしか出来なかった。このままでは同期達に見つかってしまう。
「うっ…ひっ…………元貴っ…。」
俺は元貴の名前を口に出していた。
俺の好きな人の名前を。
「涼架。」
すぐ後ろで声が聞こえた。
俺は驚いてぐちゃぐちゃな顔で振り返る。
そこには元貴がいた。
「も……とき…。」
その時同期達の声が聞こえてくる。
「どこいったあの野郎!」
「ぜってぇ捕まえる。」
その声に俺は再び震え出す。
「あっ…あっ…。」
カタカタと震え涙も止まらない。
「涼架、しっかり捕まってて。」
そう言って元貴は俺をフワッと持ち上げお姫様抱っこをした。
元貴は窓から飛び降りる。
何が起こっているのかよく分からない。
でも元貴を見て安心してしまった。
「うぅぅ〜…。うぁぁ…! 」
俺は子供のように泣きじゃくる。
元貴を抱きしめながら。
元貴はどんな顔をしていただろう。
「元貴っ…もぉこんなのやだっ…噛んでっお願いっ…噛んでぇっ…!」
俺はそう言って泣きじゃくった。
元貴は静かに
「……とりあえず家帰ろう、涼架。」
そう言った。