コメント
2件
移動させた出佐4です✌🏻
_ケーキバース説明_(知ってる方飛ばしてください)
ケーキ…先天的に生まれる”美味しい”人間のこと
フォークにとっては極上のケーキのように甘露な存在で、彼らの血肉はもちろん、涙 唾液 皮膚などすべてが対象となる。
ケーキは自分自身がケーキと気付く事は出来ない。その為フォークと出会うまで当人も周囲も知らないまま一生を終えるケースもある。
だが反抗すらできない幼い時期に監禁・誘拐されたりと半数が捕食されてしまう為、上記のようなケースは少ない。
ケーキは固体ごとにそれぞれ違う味を持ち、フォークからすればチョコや生クリーム、キャラメルのように味わいが違う”らしい。また涙や唾液はシロップのように甘い。
フォーク…ケーキを”美味しい”と感じてしまう人間のこと。その殆どは後天性で、何らかの理由で味覚を失っている。
味覚の無い世界で生きるフォークはケーキと出会ってしまったときに、本能的に“ケーキを食べたい”という欲求を覚える。
ケーキの全てがフォークにとっては甘い誘惑。頭からつま先まで飲み込んでしまいたい衝動に包まれる。しかしケーキと出会ってすぐに捕食行動へ走るケースは稀だと考えられる。
一般的に、フォークは平凡な人間であるケーキを捕食する猟奇的殺人事件を起こす事があるため、フォークと判明すると社会的に“予備殺人者”として忌避される傾向がある。
味覚が無い、ケーキを食べてしまう点以外は”その他”の人間と目立った差異はない。
(ピクシブ百科事典から引用)
◤◢◤◢注意◤◢◤◢
・暗い
・🔞 R18G (どちらでも捉えれます)
・メリーバッドエンド
・ケーキバース
・出水家 捏造・幼少期出水
・中学生佐鳥捏造
・えげつなく捏造
・出水視点
・一応ボーダーはあります
「…あれ?ねぇまま、味しない」
おれ、出水公平、6歳。突如味覚が無くなってしまった。母は嫌な予感がしたんだろう。直ぐにおれを病院へ連れていくと案の定。”フォーク”だった。母親は泣き崩れ、おれを孤児院へ預けた。そこから11年。孤児院を出る日だ。
***
「うっわ、眩し…」
11年振りの日差しはおれの目に刺激的だった。この後は孤児院が用意してくれた男子校と自宅へ行く。その男子校は”フォーク”だけでなく”ケーキ”居るらしいが、もしフォークがケーキを襲ったり食べたりしたら校舎内に配置されているカメラですぐにわかるようになっている。すごい設備の男子校な訳で。
「さて…まだ三時間もあんのか。とりあえず家行ってみっかな」
その刹那。誰かとすれ違った。街だから必然なのでは、と思うが、一際いい香りがした。甘くて、香水でもないようなその匂い…すぐ振り返っても、その場には誰も居なかった。
「…んだ今の…」
少しの間呆然としていたが、人と肩が当たったりした為、ちょっと頭を下げて誤って、直ぐに歩き出した。
***
「ドーモ、転校生の出水公平です」
チョークで黒板に自分の名前を平仮名で書き殴り、軽く自己紹介する。我ながら字汚ねーなおれ。
「よろしくお願いしまーす」
軽くぺこ、と頭を下げると、担任が席を指さす。そこには空席が。先日フォークが転校したようだ。なんらかがあったみたいだが、詳しくは突っ込まない。
「じゃあ…出水くんは窓際で」「うっす」
この学校ではフォークは窓際、ケーキは廊下側、と対処されている。少しでも距離を空けるために。つまり授業中などもフォークがケーキを襲えない。いい設備だな〜、とか思いつつおれはボーっとしていた。先程すれ違った匂いが忘れられなかったから。
「なー、出水クンだっけ?」「へぁ、」
突如前の席の生徒に話しかけられ、情けない声を上げる。カチューシャ?で前髪を上げている目が虚ろな、なんか不気味そうな奴に。
「そだけど…誰?」「えー、ボーダーで一緒なのにひでぇな〜」「…誰だ?」「米屋陽介。知んない?」「ん…?、あー!いたいた!三輪隊のな?!」
そこから色々話をし、仲良くなった。フォーク同士、同級生同士で、とても気が合う。友達が一人出来た。ありがたい。
***
「じゃあ帰っか」
学生鞄を持ち上げ、帰る準備をするおれと米屋。そうすると米屋はおれの肩に手を置いて話しかけて来る。
「おまえ防衛任務ある?」「ないー」「同じく〜」
今日のA級防衛任務シフトは、太刀川隊でも三輪隊でもなく風間隊だ。準備が終わり周りを見渡す。そこでおれは一個気づいたことがある。
「…あ?なぁ米屋、ここ他生徒出入りしていいのか?」
妙にガヤガヤしていると思えば、制服でない人間も出入りしている。年齢、体格、身長、全て違う人間が多く出入りしている。例えばスーツの人間であったり、六歳ほどの子供も。多種多様な人間が出入りしていた。
「おう。ケーキを迎えにくるケーキとか、ケーキ迎えに来るフォークとか…色々居るからな。大抵の学校はそうだぜ」「へー…」「知らねーの?」「あ、あぁ、まぁ…」
その音に紛れ、米屋の所に1人の生徒がやってくる。ふわふわの茶髪を揺らして、女みたいに歩み寄ってくる一人の男。
「米屋センパーイ!」「おー佐鳥」
その直後、あの香りが漂ってきた。その香りは紛れもなく、目の前にいるそいつからだった。ああ、いい匂いがする、麻薬みたいな、なんて素敵な。
「わぁ、どなた?」「転校生の出水クン」「はぇ〜、出水センパイよろしくお願いします!」
どうやら米屋はこいつの香りに気付いていない様だ。なぜ自分だけなのか、という事を考えている暇もなく出水の脳内は”食べたい”、この一つだけで埋められていた。
「ぁ…」「出水センパイ?」「ッ、あ、」
思わずの涎が出る。直ぐに裾で拭う。あまりに美味しそうな匂いで、もう、人目なんて気にせず、退学してもいいから喰らい尽くしたい。
「佐鳥もボーダーなんだよ。途中まで一緒に帰ろうぜ」「…おう」
***
あの後、特に何もすることなく別れた。帰り道が一緒の佐鳥とおれ。おれは堪えることしか出来なかった。
「出水センパイ?」「…どうした」「いえ、なんか悩んでるのかなぁって」
おまえのことでな、と心の中でツッコミを入れたあとだった。
「…センパイ、おれね。ケーキらしいんだ」
空を見上げ、話し始める佐鳥におれは驚愕する。ケーキ、ケーキな、知ってるよ。だって、いい匂いするんだもん、めっちゃ。
「…もしおれがおまえ喰おうと思ってたらどうすんだよ」「いーよ?センパイ、そんな人に見えないもん」
満面の笑みでおれを見る佐鳥。その目が、おれにとって凄く痛かった。だって、めっちゃおまえのこと喰おうとしてるもん。その目やめてくれ。
「ケーキだから、命の危機になったことだってあったよ。狙われてさ…でもね、ボーダー入ってから元気出てきたんだ」「…へぇ」
直視してはいけないのを第六感で感じる。絶対に、食べてしまうから。少し赤く染まった頬。まるで林檎のような佐鳥に、おれはまた食欲が出てきてしまう。堪らなく美味しそうだ。
「…出水センパイ、鈍感だなぁ」「へっ」「あははっ!なにその声!」
急にそんな事を言われ、情けない声を出してしまう。反射的に、佐鳥の方を見てしまった。その顔は満面の笑みで溢れていた。なんて可愛く、美しく、美味しそうなのだろう。
「はぁ…笑った。覚えてない?出水センパイ。ボーダー入ったの3年前でしょ」「え、あぁ…」「その時にさぁ、男子中学生助けなかった?」「分かんな…」
そう言おうと思ったが、パッと頭の中に思い浮かぶ。センター分けで顔に傷だらけの学ラン姿の中学生。妙に異質だったから覚えている。髪色は黒色で、眼鏡もかけていたし気弱っぽそうだったがのが異様に脳にこびり付いてる。
「まさか、あの時の、」「そうだよ。その時の出水センパイの一言で、おれイメチェンしてボーダー試験受けたんだぁ」
なんと言ったか、脳内で記憶を掘り出す。…思い出した。
***
「あ?おまえ…すんげー弱そうだなぁ…ははっ!…すまんすまん…なんでもない。おわ、いやまじ何でもねぇってば。なぁ、急だけどよぉ、おまえボーダー似合うと思うぜ?おれよりもなー、まぁ一人の学生の独り言だと思ってくれや」
***
「それで本部に帰る時にボーダーのロゴ見えてさぁ…出水センパイは今でもおれのヒーローだよ」
満面の笑みを浮かべた佐鳥に、おれは真実を打ち明けざるを得なかった。だって、こんな美味しそうなご馳走を前に、嘘をつくなんて。
「…さとり…」「ん?」「おれ、おまえの匂い、気づいてた」「…へー、そうなんだね」
ケロッとした顔でおれを見つめる。その翠色の目には、一点の曇りもなかった。明かしたおれが驚く程に。なんで俺が驚かねぇといけねーんだよもう。
「驚かねぇの…?」「驚かないよ、薄々そうかなーって思ってたし」「…喰うぞ…」「出水センパイにならいいよ」
ふふ、と笑う佐鳥。その顔を向けられる。本当に食べてしまってもいいのかと、思い上がってしまうじゃないか。
「おまえ、いいのかよ…」「いいよ。好きだったんだから」「は、」「おれはね、出水センパイの事が好きだったんだよ。いじめられて、死のうかなって考えてる時に無意識に危険区域に入ってたんだ。それで近界民がきて、出水センパイに助けられて…初恋だったな」
首を傾げ、おれを見る佐鳥。ふわり、と茶髪が揺れる。かわいい、おいしそう。
「…いい…の」「うん」
佐鳥の手首を掴み、路地に入る。だが、まだわなわなとしてしまう。そんなおれに痺れを切らしたのか、頬をぎゅうっとしおれの唇にかぶりついてくる。
「ッ?!」「ん…」
佐鳥の唾液はシロップの様で、とても甘かった。夢中になってしまう。吸い尽くしたいくらい、とっても甘かった。脱水症状にしてやりたい。
「っぷは、ねぇせんぱい…おれ、美味しい?」
ここは一応路地だが、人も通ると言うのに。2人して必死にキスをする。周りなど気にしない程に。音も、水音しか聞こえない。
「ん、せんぱい…」「さとり…さとり…」
酸欠か、佐鳥の目尻から雫が滴り落ちる。滴り落ちた雫を口に入れる。
「うまい…」
未だに目尻から流れる涙を吸い尽くす。唾液とはまた一味違く、砂糖のような、とっても甘い、頭がクラクラする程の甘さだった。本当に、麻薬だ。
「嬉しい…いずみせんぱいが、おれのことこんなに…」「…じゃあ…喰わせて、賢」
佐鳥は目を丸くした後、にこりと慈悲を与える女神のように微笑んだ。
「…うん、いいよ、骨の髄まで、喰らって、公平さん」
おれの頭を一撫でするのを合図に、佐鳥の鎖骨にかぶりつく。
「いた…っ」「…チョコレート、みたい」
そのまま、二人はそこにいた。どうなったかだなんて、我々に知る権利はない。彼らが幸せならば、それでいいんだろう。
[END]
*あとがき*
✌🏻不穏出佐大好き星人✌🏻