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クラスの輪に馴染めなくなったのはいつからだろうか。自分が自分じゃ無くなったのはいつからだろうか
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第3話 きっと風のせい
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いつもと変わらない昼休み。
この前はオレンジジュースを持ってきてくれたあの娘。
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あの娘の名前は 林田花音ちゃん。
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クラスの中心とまではいかないけど、
みんなの話を上手に聞ける子だ。
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いつもおちゃらけて、
いいな人気者は。この辛い気持ちなんか到底あの娘には分からない。
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はぁっとため息を着いた自分の横にはあの笑顔が見えた。
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葵「あっ、びっくりした、、、笑」
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花音「なーにため息ついてんの!!!!毎回持ってくるのがオレンジジュースだから萎えてんのか?!ん?笑笑」
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葵「あ、や、全然違いますし…」
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花音「そんなこったろうと思ってね、今日はレモンスカッシュにしたよん︎^_^」
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「ほらこの前校庭の手入れ手伝ってくれたじゃん?!そのお礼も込めてレパートリー増やしたんだからねん」
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今日も、笑ってる。
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毎日友達のように関わってくる花音ちゃん。
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果たしてこの関係は友達と言っていいのかな。
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いや支配人と奴隷だよな。笑
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花音「ねえ、いつもイヤホンしてるけど何聞いてんの?」
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葵「えっ、あぁっと、、」
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そう言うと花音ちゃんは、
えいっとイヤホンの片耳を取って自分の耳に付けた。
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葵「え?、や、ちょっと何するんですか」
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不意に頭同士がコツンとぶつかる。
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何も言えずに黙ってしまった。
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花音「曲のセンスいいね。今度そのアーティストのオススメ教えてよ」
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その瞳は真っ直ぐにこちらを見ていた。
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獣を見る目ではなかった。
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こんなに近くで話す友達なんて
いつ以来だろうか。戸惑った。
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その時、そよ風が吹いた。
彼女の真横を通って。
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葵「あ、今日は柑橘系の香りがする」
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あ。言ってしまった
思ってる事が口に出てしまった。
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終わった。
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流石にこんなこと言われたらキモすぎるにも程がある。どうしよう。
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絶対キモがられた。
もう明日からは話しかけられないだろう。
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花音「ふふ、分かってくれた?」
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顔を上げると彼女は嬉しそうに微笑んでいた。
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それと同時に校内からチャイムが響いた。
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花音「行かないと!!ほら先行ってるよ!?」
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咄嗟に立ち上がった彼女を追うように言った。
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葵「あの、、!なんで……?」
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彼女は振り向いて笑顔のままこう言った
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花音「だって、毎日同じ私だと飽きちゃうでしょ?」