「佐野さ〜ん起きてくださ〜い!」
「むりぃまだ寝みぃ…」
それからというもの、こんな感じで俺たちは同棲を始めた。もちろん、メンバーには今のところ内緒にしている。グループでは"俺についてこい!"と言わんばかりの態度のあいつが、意外にも寝起きが悪く甘えたである一面を俺だけが知っていることに優越感を感じ嬉しくなる。
「勇斗!そろそろ起きろ!」
「素敵なお姫様のおはようのちゅーがないと起きれません。」
「何言ってんだよバカ」
「…」
(ほんとなんなんだよこいつ。今日はリハがあるっていうのに、時間がないんだよ。)
そんなこと思いつつもビクともしない佐野に結局折れてしまう自分が嫌だ。
「ん。おはよう、これで起きれるだろ」
「おはようお姫様」
「気持ち悪ぃ…朝ごはん出来てるから食べよ」
「おー!美味そうだな」
そんなこんなでただでさえ時間に追われているというのに、このでっかいわんこは更に俺を忙しくさせる。ほんとなんなんだか…
朝食を終え食器を洗っていると後ろから急に手を回しきた。首元が一瞬冷たいものを感じる。
「そういえば今日記念日だよな!これプレゼント」
「あ、そうだわ。てか、お前ほんとにプレゼントすんの好きだよな笑」
「忘れんなよ笑ネックレス、肩身離さず付けとけよ。」
「それは無理かな〜気が向いたら後で付けるわ」
「は〜???」
って、こんなことしてる場合じゃない。
時刻は少しずつ迫ってきている。
「勇斗もうそろそろ家出るぞ」
「やべ。急いで準備するわ」
これだからこいつは。まぁ、こんな騒がしい日常すらも幸せに感じる俺も俺だけど。
「よし、行くかー」
「忘れもんは?」
「ないよ」
じゃあ、
"行ってきます!"
「じんちゃんおはよ〜」
「お、だいちおはよう」
「佐野さんもおはよ〜」
「おはよだいてぃーん 」
俺たちは時間ギリギリに楽屋に着いた。ほんとどうなるかと思ったわ…部屋に入ればそれぞれ定位置に荷物を置き座った。
「あれ、珍しいネックレスしてんね」
「お、柔気になる?これね俺の好きな人とお揃いなの。よくね?」
「へぇ〜」
「え、好きな人とかいたんだ…これ聞いたみ!るきーず泣くな〜笑」
「おい大智〜んなこと言うなよ〜、ちょっと俺トイレ行ってくるわ」
勇斗、大智、柔太朗はいつも通り。まぁ内容は置いといて、、、もう1人はと言うと俺の横に突っ立ってスマホ。(ほんとそれぞれだよなぁ)そんなこと思っていると舜太がボソッと口を開いた。
(あれ、じんちゃんネックレス服の中に入ってる…)
「あ〜そういうことね笑」
何かを確信したように、さりげなく俺に聞こえる声で言った。
「じんちゃんもいいネックレスしてるね 」
「おい、ちょっお前!」
ヤバい。バレたかもしれない。あ〜終わった、、、これからどうすればいいのだろうか。
「みんなそろそろ始めるぞー」
トイレから戻った佐野が開始の合図をした。俺は慌てて逃げるように楽屋を出て向かった。
「ほんとそろそろ俺たちにも言えばいいのにね笑」
「あれでバレてないつもりなのかな笑」
「流石に何年も一緒にいれば分かるわ笑」
"ほんとあの夫婦は可愛いんだから"
end.
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