テラーノベル
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距離はいつもと同じはずなのに、どうしようもなく遠い。
(言ってよ)
和葉は心の中で叫ぶ。
(気づいてよ)
でも声にはならない。
滉斗も同じだった。
(それ、俺のことだろ)
そう思ってしまった瞬間、全部が崩れそうで——
何も言えなくなる。
分かれ道に着く。
いつもの場所。
いつものはずの場所。
でも今日は、何かが違った。
「じゃあ」
滉斗が言いかける。
その時——
「滉斗」
和葉が遮った。
震える声。
でも、まっすぐな目。
「…なに」
「さっきの“好きな人”の話」
心臓が強く鳴る。
逃げたいのに、逃げられない。
「やっぱり、言わない」
結局、和葉は笑った。
でもその笑顔は、今までで一番苦しそうだった。
「…そうか」
滉斗もそれ以上追わない。
追えない。
それが優しさだと、自分に言い聞かせる。
「またな」
「うん、また」
別れる。
振り返らない。
もう、振り返れない。
——でも。
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