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別れた後のはるみか前提
深影ちゃんがモブに歯折られた話
暴力表現アリ
顔に衝撃が走る。切れた口から血が零れて、コンクリートの地面にシミを作る。
事は数十分前。逃げ込んだネズミを始末しろとお達しがあったため、蛇草深影は廃工場へと足を運んでいた。壊れた配管から漏れる水が滴る音以外にはなんの音もしない。別の棟か、と足を運ぼうとした時、背後から殴られる、ところだったのだが、武器だけ影に取り上げさせて、そのまま足を掴んで投げさせた。奇襲に失敗した男はゴロゴロと転がって、地面に倒れ伏す。そのまま叫び声を上げて殴りかかってきたのを避けようとして、今に至る。
「知らなかった、アンタのシンドローム、キュマイラだって聞いてたんだけど。エグザイルも入ってるんだ?」
「うるせぇ!!お前を殺せばまだ生きれるんだ!!!俺は死にたかねぇ!!!」
「あっそ、だとしてもアンタは死ぬけどね」
鼻血と口の端を拭って、そのまま男を正面で捉える。男に向かって、深影は何かを吐きだした。
折れた奥歯だった。男は怯んで咄嗟にブレーキをかける。そのまま手で顔面を引っ掴んで、地面へと叩きつける。
「虫歯とかしたこと無かったんだからやめてよね、医者にも褒められてたのに。ねえ、聞いてる?」
衝撃から、男は気を失っており、動く気配は無い。端末を取りだして、そのまま支部へ連絡を入れる。後に回収班が到着するようで、拘束具を配管へと繋ぎ、そのまま深影は立ち去る。
そのまま家へと戻り、数十分もすれば、アドレナリンが切れたせいなのか、殴られた箇所がジワジワと痛みを訴える。
「もー、なんかいたーい。」
適当なビニール袋に水と氷をぶち込んで、簡易氷嚢を当てる。病院行かないとかな、などと考えながら、ソファーへ寝転ぶ。ハルが見たらめちゃくちゃ怒るんだろうな、などと、別れて数年も経つ恋人のことを思い出す。
「・・・帰りたーい」
誰にも聞かれることの無い呟きは、1人の空間に消えた。