この作品はいかがでしたか?
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自分には特別何かできる能力がなくて、いっつもノロノロしてて自信がない。暗いし、頭がいいわけでもない。成績はクラスの中でも下から数えて数番目。どうせ何にも価値を見出せないで死ぬんだろうなって思ってた。
状況が変わったのは数年前。高校になってクラスメイトがみんな知らない人になっちゃった。友達ができる可能性はほんの数パーセントで、それに賭けるのもなんだか馬鹿らしいからずっとひとりだった。学校なんか勉強して昼ご飯食べて掃除してふらふら帰路について。
気づいたらみんなから煙たがられてた。
校舎裏にひっそりとあって、誰が整備してんのかわかんない自販機の横でジュース飲んでケータイいじってたら声かけられた。「*お金、小さいのとか持ってないかな?*」って。今思ってもなんで聞き取れたかわかんないほど辿々しくって、思わず、フェ?みたいな声出しちゃったのさ。
ちょっと短いスカートの、破けた裾のとこをこねくりながらちょっと俯き気味に話してて。
そのあととりあえずお財布あけたら小銭一杯あったから、500円一枚と100円を5枚、ヒョイって摘んで手のひらで渡したの。これどーぞって、ストロー咥えながら。
そしたらその子、ぱって顔赤らめてさ、おずおずと一万円札出してきたの。流石にジュース吹き出しそうになったわ。
んで、近くのコンビニに連れてって(って言っても結構わかりづらいとこにあるんだよね〜…)一緒にジュースとか選んで支払い方教えて、その子は無事お金崩せたってわけ。
それがアタシとバングラデシュの馴れ初め?ってわけなのさ。
アタシのこと? …まあ気軽に、にゃぽんって呼んでよ。
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